現れたのは
「いづれの御時にか、女御・更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれてときめきたまふありけり」
…はい?
いや、わかるよ?
「いつの時代かわからないけど、女御とか更衣とかたくさんつかえておられる中に、たいして身分が高い訳ではないけど、とてつもなく愛されてる人がいました」ってことでしょ?
わかるけどっ!!
源氏物語54巻、違うっ、54帖全て解説しろっていうのは無理なんじゃないかな?
こっち高校三年生っ!
内部進学で、わりといい大学の国文学科に推薦決まってます。
だからと言って夏休みから卒業するまでに54帖全て読めと!?
「できるかー!!!!」
そう言って俺は、源氏物語と書かれたぶ厚い本を投げた。
俺の心からの叫びと共に投げられた本が、崖にぶつかるか否かって時、本当にいきなりだった。眩しい目もくらむような光が俺の部屋中に広がった。
「うわっ!」
びっくりした。漏電かな・・・
目を開けるとそこには、長い長い、背の高さよりも長そうな黒髪を持った女kの子が座っていた。
「「・・・・・・」」
あまりにも驚いて見つめていると、目があった。可愛い・・・。透き通るような白い肌、黒目がちな瞳。香水とは違ういいにおいが漂ってくる。
じっと見つめていると、彼女の顔がみるみる赤くなっていく。彼女は扇子のような大きめのものを広げると顔を隠し、そのままずりずりと部屋の端に移動する。
そして、ぷるぷる震えていた。
「え?大丈夫?」
尋常でない怯え方に驚いて、近付こうと立ち上がった。それに気付いた彼女は真っ青になりなにかを呟き気を失った。




