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第69章:思いがけぬ光景
6月のある日のこと。
いつものように電車に乗り、自分の乗るY駅で、改札前に来る車両の中の柳原まゆみの姿を探していた茂は、そこで思いがけない光景を目にすることとなる。
この車両で、毎日合流していたまゆみの姿が、この日、どこにも見当たらない。
ごったがえす車両の中、無言で新聞をバサバサと広げる、仏頂面の迷惑オヤジ連中、朝から胸くそ悪いニオイをまき散らす「ハンバーガー高校生」、これみよがしに人前で堂々と化粧をするOL陣・・・いつもこの車両でごいっしょする「おなじみさん」だ。
しばらく車両の揺れに我が身を任せていたとき、その車両の端の部分・・・そこに、茂にとって、さらになじみのある、「あの二人」の姿を認めた。
・・・まゆみと桑川だ!
(ええっ? なんだ、これは・・・!?)
混乱する茂。
すると、彼と目が合ったまゆみが、桑川の首に両腕を巻きつけ・・・二人は、熱いキスを交わし始めた。
抱き合いながら、長いくちづけを交わすふたり。
そして、今度は桑川と目が合った。
彼は、まゆみと唇を重ねながら、ニヤリとして茂を見やった。
(桑川・・・おまえがどうして・・・。)
わけもわからぬ、乱れた感覚のまま・・・やがて電車は、目的地のU駅に到着した。




