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美少女恋愛ゲームに異世界転生したのに攻略対象(チョロイン)だったんだが!?  作者: 萌奈菓


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19/19

第19話 初デート

ガタガタと石畳の上を走る馬車が、街の中央に向かっている。


「まさかエリザベート様が馬車だけでなく、護衛も付けて下さるなんて…」

「エリザベート様ご本人の提案だし、デート中リリアに何かあったら大変だからね」


そう、今現在俺とヴィルティスは婚約者として振る舞うべく、街歩きデートをする為にキャンベル公爵家の馬車を借りて中央広場まで送ってもらっている最中だ。


(隠密に長けた護衛を付けたから、周りを警戒せずに楽しんでねって致せり尽くせりだな)


確かにゴリッゴリの護衛が俺達のそばに付きっきりだとデート感がないもんな。


そんな事を思っていると、馬車止(ばしゃど)めに着いたみたいで、御者の人が扉を開けてくれた。


「お待たせ致しました、足元にお気をつけ下さい」

「ありがとう、さぁリリア」


先に降りたヴィルティスがスッと左手を差し出したので、右手を添えて俺も馬車から降りる。


「ありがとうございます」


(手を繋ぐって経験あんまりないから、エスコートって分かってても何か照れるよなぁ)


「では私はここでお待ちしておりますので、15時にはお戻り下さいますようにお願い致します」

「分かりました」


(朝から集合したけど、話し合いと移動をして現在はお昼前だから、3時間ちょっとあるのか)


あんまり長く滞在しても護衛の人も大変だし、キャンベル公爵家に帰ったらアイリスと合流して寮まで帰らないといけないから、それぐらいがちょうど良いんだろう。


「さて、どうやって周ろうか?お昼時だし先に何か食べる?」

「そうですね、あんまり遅いと混んでしまいそうですし」


じゃあ決まりだと、繋いだ手はそのままに歩き出した。


(ヴィルティスって手ぇ大きいよなぁ、リリア()はちょっと手が冷たいけど、ヴィルティスは温かくて何かホッとする……あぁ~!駄目だ!雰囲気に飲まれるな俺!)


「ヴィル様、実は私王都には詳しくなくて、ヴィル様のお勧めのお店ってありますか?」


気持ちを切り替えようとヴィルティスに話題を振る。

実際に『リリア』は王都に遊びに行った記憶はなくて、ゲームでもスチルイラストでしか街並みは見れてないから、俺も何処に何があるか把握していないんだよな。


「う〜んそうだねぇ、あそこの赤い屋根のお店はパスタが美味しいし、あっちの角のお店はミートパイが有名だよ」


(えぇ~迷うなぁ…でも食堂でパイ系ってあんまり出ないんだよな)


利用する生徒も多いから、一つずつ包んで焼くのに時間がかかってコスパが悪いんだろうな。


「俺は両方行った事があるから、リリアの食べたい方に行こうか」

「ではミートパイが食べたいです」


俺が即決したのを見て、ヴィルティスが少し驚きながら連れて行ってくれる。


「意外だね、女の子ってこう言うの迷いそうだと思ってたんだけど」

「ちょっとは迷いましたよ?でも久し振りにパイ系を食べたいと思いまして」


前世でも割と食事は即決する派だったし、今日は時間も限られてるからね。


お店に入ると、お客も少ないからと広めの窓際に案内された。

ヴィルティスお勧めのミートパイとサラダ、それにスープを頼んで一息つく。


「今日は朝からバタバタでしたね」

「本当に、いきなりゲイルに呼び出されて何事かと思ったよ」

「ゲイル様もジェニー様やエリザベート様と同じで、寮ではなく通学でしたよね?」

「そうそう、三人とも王都に住んでるからね」


(何だ、いつも通りじゃん)


デートと言われてちょっと緊張してたけど、学園で一緒に食べてるのと変わらない雰囲気に安堵する。


「わぁっ凄く美味しいです」


暫くして頼んでた料理が運ばれてきて舌鼓を打つ。

サクサクのパイの中に、ぎっしりと挽き肉と野菜が入っていて大満足の一品だ。


「気に入ってくれて良かったよ、スイーツ系のパイもあるけど頼む?」

「いえ、ちょっと入らなさそうです」


思ってたよりボリュームがあるから、デザートは無理そうだな……ちょっと残念だけど。


「そっか、じゃあスイーツ系はまた今度食べに来ようね」

「…はい、楽しみにしていますね」


(そっか婚約者なんだから、これからもデートってするもんな)


『また』と言う言葉に胸がムズムズしながら返事をして、食事を続ける。


「通りに人が増えて来ましたね」

「そうだね、そろそろ出ようか?ゲイルが良い装飾品店を教えてくれたんだ」


食後のお茶を飲みながら窓の外を見るとチラホラと同年代の人達も見えるから、学園の生徒も居る可能性がある。

婚約者として見てもらう為にも、自分達も外に出ようと店を出た。


(…うん、普通に奢ってくれるんだよなぁ)


初デートだし貴族社会なら当然なんだけど、中身が男の俺としては違和感を覚えてしまう。

でもここで『自分が払います』と言ってもヴィルティスに不信感を与えてしまう可能性があるから、大人しくお礼を言っておく。


再び手を繋いでヴィルティスが言っていた装飾品店へと向かうと、チラチラと視線を感じるから学園の生徒達だろう。


(でも意外と声はかけられないんだな)


学園と違って街中だし、辺境伯家のご子息のプライベートだから不躾に聞けないのかね?


「あった、ここだよ」


ゆっくりと歩いて着いた先に、見覚えのある外観の装飾品店が建っていた。


(ここは!イベントで来る店じゃん!)


何たる偶然か、それとも必然なのか、ちょっと感動しながら入店する。

店主に挨拶しながら「ここからは各自で選ぼう」と言われて、商品を見て周るとこれもまた見覚えのある装飾品が目に入った。


リリア()の瞳と同じの色のハニークオーツがあしらわれたラペルピン。

ブローチの様に襟に着けられるから目立ちやすいし、ゲームでもお馴染みのアイテムだから迷わずにそれを取る。


(好感度が上がってデートをすると、各キャラの瞳の色に合わせたこのラペルピンを貰えるんだよな、何かもう懐かしささえ覚えるよ)


「ヴィル様、決まりましたよ」

「俺も決まったよ」


ヴィルティスが銀細工で出来た蝶々の髪飾りを持って振り返った。


(こっちも見覚えある〜!)


デートイベントで攻略対象に送る、ヴィルティスの瞳と同じ色の銀細工の髪飾り。

蝶々の目の部分には、小さいけどダイヤが付いていてキラキラと輝いている。


(ヴィルティスもゲームのアイテムを選んだのか、何か惹かれるものがあるのかね?)


「リリア?どうかした?」

「いえ、素敵な髪飾りだと思いまして」

「ありがとう、リリアはラペルピンかな?制服にも私服にも着けやすそうなデザインだね」


お互いに支払いを済ませて贈り合うと「早速着けよう」と言うヴィルティスの提案に、お店の鏡を借りて髪に着ける。


(おぉ~!髪飾りを着けたバージョンのリリアだ、立ち絵が変わるの凝ってたよな)


ゲームの記憶を思い出しながら色んな角度で見ていると、小さく笑うヴィルティスの声が聞こえて振り返る。


「ふふっごめん、喜んでもらえたようで嬉しいよ」


(あっしまった、はたから見たら髪飾りにはしゃいでる様に見えるのか!?)


「そっそんなに笑わないで下さいよ」

「いや、だって可愛くて」


(ナチュラルに可愛いって言うなよもう!)


「え〜っと、ヴィル様も気に入って頂けましたか?」

「うん、毎日着けるからね」


(毎日はちょっと重くない!?)


心の中でツッコミを入れつつ装飾品店から出ると、まだ時間があるからと、ぷらぷらと歩きながらヴィルティスに街を案内してもらう事にした。


(お互いの瞳の色の装飾品を贈り合ってデートをすると言う、エリザベートからのミッションは完遂したな)


周りからめっちゃ見られてるけど、これも計画の一環なのだから気にしないようにして、時間いっぱい街歩きデートを楽しんでやった。


いつも読んで頂きありがとうございます!


遂に書けたデート回、リリアの髪飾りは最初から決まってたけど『男性用の装飾品って何が良い!?』とギリギリまで悩んでおりました。

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