第1話 女神の大失態で異世界転生
『貴方の事を愛しています。公爵令嬢ではなく、一人の人間として』
「よっしゃ!クリア〜!」
テレビ画面に映し出された金髪碧眼の美少女に告白されて、ガッツポーズを決める成人男性。
それがこの俺、下沢 夏向(28歳)
たった今、美少女恋愛ゲーム『恋と魔法のハピネスストーリー』通称『恋ハピ』の最高難易度エリザベート・キャンベルと恋人となり、見事全キャラの攻略に成功したのだ。
「いや〜苦労したなぁ…中々ルートに入らないし、邪魔は入りまくるしでリセットしまくったもんなぁ」
エリザベートのエンディングを観ながらしみじみと呟く。
このゲームはファンタジーと学園モノが合わさった恋愛ゲームで、魔法を学びながら卒業までに攻略対象と恋人になるのがクリア条件だ。
難易度の低いキャラだと卒業前に恋人になりやすく、残りのイベントを恋人として参加出来たり、難易度によっても楽しみ方が変わっていて満足度の高いゲームだ。(因みにエリザベートは卒業ギリギリでクリア出来た)
エンディングを見終わると『隠しキャラが解放されました、セーブを行い最初からプレイしますか?』とゲーム画面に表示され、俺の心は一層沸き立った。
「おぉ!やっぱり全キャラ攻略すると隠しキャラが解放されるんだな!どんな娘なんだろう?」
まだまだ楽しめるとワクワクしながら『はい』のボタンを選択する。
ーーガシャーーン!!!!ーー
突然の耳をつんざく様な破壊音。
そして俺の意識は真っ白に染まった。
『もしもし?もしも〜し!聞こえてますか?』
(誰だ…?っ痛い!身体が動かない!?)
パニックになりながらも何とか目を開け周囲を確認すると、ぐちゃぐちゃになった俺の部屋にトラックの前面がこんにちはしてて確実に事故現場だ、なのにその場に似つかわしくない白い服を来た美女が仄かに発光しながら浮いていて更に混乱する。
(…は?)
何だこの状況!?ってか声が出ない!喉潰れたのか!?
あわあわしてると俺の意識が戻った事に気付いた美女が申し訳なさそうに話し始めた。
「すみませ〜ん!私女神で勇者を私の世界に転生させようとしたんですけど、眷属の召喚座標を間違えてしまって〜」
スッとトラックを指差して説明をしてくれてるけど、俺の怪我は無視ですか!?
結構重症なんですけど!?
座標を間違えたって、俺が勇者って事じゃないのね!?
女神?転生?トラックが眷属?ってことは異世界トラックって女神の眷属なの?ってか異世界転生ってマジであるの!?と言うか…。
(申し訳ないと思うならその喋り方何とかしろよ!!)
痛みとイレギュラー過ぎる状況に脳内処理が追いつかない。
(でもあれ?痛みがなくなってきた?って言うか身体の感覚が麻痺してるって言うか…目も霞んで…あれ?)
「あっ!貴方もう少しで死んでしまうんですけど」
(死ぬの!?女神様なら何とか出来ないの!?)
「でも私〜世界を創る事は出来ても人体の蘇生とか回復は専門外でして〜」
(世界を創れるんなら人の怪我治せるでしょ!!)
「ですが貴方の望む世界を創造して、魂を転生させる事は出来るんです〜」
(ダメだこの女神、脳内に話しかけるタイプじゃないから会話が出来ない…ん?)
ってか何て言った?俺の望む世界を創造して転生させる?
「どこかご希望はありますか〜?」
そう言われても声は出せないし、脳内で会話は出来ないし、その時手にコツって何かが当たって見てみると。
(あ…。)
さっきまでプレイしていた『恋ハピ』のパッケージがそこにあった。
何とかたぐり寄せて女神に見せる。
「成る程〜そちらのゲームの世界ですね!
転生先の人物のご希望はありますか〜?」
(希望の人物?そんなん主人公一択に決まってる!!)
霞が酷くなる目で何とか主人公を見極め、震える指先で彼のイラストを指した。
「承りました〜!
それでは最後にもう一つお詫びとして、女神の加護を付けちゃいますね!」
それでは行ってらっしゃ〜い!っと手を振る女神に対して|(アトラクションか!)と心の中で突っ込んだのが、俺の人生の最後の記憶だった。
はじめまして!
初めての投稿でTSってどうなんだろうとドキドキですが、自分の書きたいものを漸く形に出来ました。
次回から女の子に転生した夏向(28)の物語が始まります。




