21話
「一応聞いてやる、何故奴と話をしたがる」
「んなもん決まってるだろ、仲間に率いれるかどうかをみたいからだよ」
ニヤリと意地が悪い笑みを浮かべる。今度はクライフがこいつ正気かと驚愕な表情を浮かべる。
いや、多分、他のものがこのことを聞いても彼と同じ反応をするだろう。
なんたって禁忌と呼ばれ恐れられている悪魔を仲間にしようと思っている。
しかもそいつは終身刑で一生牢屋の中、普通のものなら気でも狂っているとしか思えなかった。
フェーリスにいたってはまったく隠す気がないくらい嫌悪感を抱いていた。
「やはり貴様は狂っている、奴を仲間に出来るはずがないだろう。奴は史上最強にして最恐の悪魔だぞ、誰の言うことも聞かずただ殺戮の限りを尽くす異常者だ」
「じゃあなんでその悪魔は今も生かされているんだ? 普通何百万も殺したやつを生かしておく理由はないだろ」
「……奇しくも奴もまた神子だ。王家の命令で処刑することは出来ぬ」
史上最悪の犯罪者が今も処刑されずに生かされている、その理由は彼もまた神子の一人であるからだ。
神子は絶対的力を有しており数も少ない。ゆえに王家が超法的処置を駆使して生かしているーー、
「おい、俺を騙そうとしてんじゃねーぞ」
表向きにはそういう理由になっている。だがヴィルグはわかっていた、何故その悪魔が今まで生かされている理由が他にもあると。
「騙す、いったい何のことだ?」
「確かに今生かしている理由はそうだろうな、誰も神子なんていうレアものを手放したくない。けどそいつ大戦前の大罪人だろ? ……じゃあ何で大戦前の時点でも生かされているんだ?」
確かに神子ならそう簡単には殺されはしないだろう。だけどそいつは大戦前の大罪人。神子とわかる以前の犯罪者。とっくの昔に処刑されてもおかしくない存在。
他に何かしらの理由がある、その理由さえ分かればもしかしたら仲間に出来るかもしれない。
今の状況を考えれば悪魔だろうが天使だろうがなんだって使いたいとヴィルグは思っていた。
「……当時の技術では殺せなかった。だからこそ当時のもの達は奴を捕らえるしかなかった。それが理由だ」
「なるほどね」
「理解したのならそろそろお引き取りを。これでも私は忙しい身だからな」
「それもそうだな。俺も色々とやらないといけないしそろそろおいとまさせてもらうわ」
先ほどまでの態度とは打って変わり潔く身を引く。ヴィルグは椅子から立ち上がり軽く頭を下げてその場から去って行きその後をエルドアンもついて行く。




