20話
「……で、君は私に何の用だ?」
ギロリ、凍てつき射す視線をヴィルグに向ける。
フェーリスは部下から彼らの情報を聞いている。この王都に来て半年、Bランクになったのはつい最近……と。
そんな彼ら煌く華はたった四人で悪名高い中堅ギルドに殴り込み、完膚なきまで叩きのめし、あまつさえそのギルドの何もかも強奪した。
聞いた時は何を馬鹿なと思ったものだが、後で用意された資料にはそれらが事実と物語っており、どこの盗賊団だと思い頭を悩ませた。
しかし、手にした方法は至極真っ当な方法であり彼ら自身もこれといった前科がある訳でもない。
それでもフェーリスの直感は警告していた。彼らは近い将来何かをやらかす、何よりあのギルドを叩きのめした実力を無視することは出来なかった。
あのギルドマスターだった男は使徒、その使徒に勝ったということはつまりはーー、
「面会を頼みたい」
少し考えに耽っていたフェーリスはヴィルグの声によって現実へと引き戻される。
この目の前にいる青年はとても落ち着いた態度で自分を見ている。その態度と彼のうす気味悪さにより思わず眉をひそめる。
「面会? いったい誰に会いたいんだ?」
「ジャンバルボーナ、あんたなら奴との面会は可能だろ?」
にやりとヴィルグはあくどい笑みを浮かべる。
「貴様……それを本気で言っているのか?」
だが、彼女はまったく笑えなかった。それどころか部屋の空気が凍りつくほどの緊張感に満ち溢れ、その空気を出しているフェーリスはそれだけで殺せると思うほどの厳しい視線を彼に向ける。
そんな視線を向けられているというのにヴィルグは落ち着いており、あくどい笑みを浮かべたまま大胆不敵にも机の上に肘をつつけながらフェーリスのことを見ていた。
「本気じゃなかったら禁忌の名前なんて口に出さねーよ」
やはりそうだ、この目の前にいる青年は危険すぎる。よりにもよってあの悪魔と会わせろと言うなんて……異常以外なんでもない。
もしかしたら自分はとんでもないやつと対峙してしまったのではないのかと思ってしまう。
「ヤスさん、その人っていったい……」
「……君も聞いたことがあるだろう。街一つを滅ぼし数万の大軍を討ち滅ぼした伝説の悪魔の物語を」
「それって空想上の話では」
「君達若い世代ではそうだろうね。でも私達第二世代では言ってはいけない禁忌の名前。そして第一世代以前では悪魔の代名詞と呼ばれているよ」
古い古いお話。時代は第一次グルーミア大戦前、まだ天使と悪魔が争っていた時のお話。
とある都市が跡形もなく消し去り調査にやって来た軍が壊滅の危機に陥った。誰も話してはいけない禁忌の物語。




