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下町とニア  作者: oga
14/25

 階段を駆け下りる二アに向かって、俺は叫んだ。


「二ア、アレが何だってんだよ!」


「エイリアンの卵だ! 羽化したら人類が滅亡するっ」


 マジかよ!

エイリアンの卵、宇宙船から入手したのか?

だとしたら、既にどっかに着陸したってことか?

ずっと空を見上げてたけど、そんなシロモノがやって来る気配は無かった。


「……そーか」


 カップ焼きそばのUFO。

あんな風に、何かに擬態した状態で着陸したのかも知れない。

道路に飛び出すと、左右を窺う。

左手に男と二アを見つけた。

先行して男を追っていた二アは、地面を蹴ってジャンプ。

移動する男に、跳び蹴りを背後から見舞った。


「うぐっ」


 男は、卵を抱えたまま地面にうつ伏せに倒れ込む。

ぐしゃり、と卵が砕け、黄色い液体が地面を伝う。


「ふうっ、間一髪」


 額の汗を腕で拭うと、黄身まみれの男がゆらりと立ち上がった。

男は、恨めしそうな目つきで二アを見やると、呟いた。


「……どうしてくれんだ。 せっかく海外から持ち帰った貴重なダチョウの卵が……」


「えっ、ダチョウ?」


「そうだ。 これはな、世界一でかい目玉焼きを作るっつー企画の為のモンだ!」

  

 男は胸ポケットから名刺を取り出し、二アに差し出した。


「俺は、こういう者だ」


「あ、俺、二アです」


 何故か二アも胸ポケットから名刺を取り出し、交換する。

……営業のサラリーマンかよ。


(使わねーのに名刺なんていらねーだろ)


 そんな風に思いつつ、二アが持っている名刺を後ろから覗き込むと、こう書かれていた。


「ユーチューバー?」


「ああ、そうだ。 俺はユーチューバーのベーコン。 それより、ダチョウの卵、どーしてくれんだよ!」


 黄身まみれでベーコンとか、朝食みてーなヤツだな。

すると突然、その場で二アが高笑いをした。


「はっはっはっはっ! 小せぇ男よ」


「何が可笑しいっ」


「そんな企画じゃ、再生回数は稼げないっつってんのさ」 


 挑発的な態度の二アに、俺は心の中でツッコミを入れた。


(今回は土下座せんのかいっ) 

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