【貴様二太郎様よりアストリット】
※こちらは貴様二太郎様(https://mypage.syosetu.com/358768/)より頂いたアストリットのイラストです。
――ふふ、今日の祝賀会の主役の座は明け渡してもらうわよ!ノヴァーリス!
鼻息荒く意気込んで現れたアストリットは、自信満々に綺麗な脚を曝け出していた。その為だけに特注で作らせた、パックリと中心よりも少しだけ角度をつけて大胆に開いた赤のドレスは、やはり注目の的だ。
作戦成功だと言わんばかりに、アストリットはお目当ての人物を目で探す。
――いた!
「シウンっ!」
「あぁ、これはアストリット様」
眉目秀麗とはこの人のことだと、アストリットは五年前からずっと想っている。初めて出会った頃から、その特筆すべきその容姿に彼女はずっと心奪われていた。
――ど、どう?この美しい脚を見てちょうだいっ!そしてノヴァーリスよりも私が勝っていると、褒め称えてくれていいのよ!
だけど他の男とは違い、彼はなんの反応も示さない。
何年も見ている上辺だけの笑み。
崩れることのない、ポーカーフェイス。
――あぁ、違う。……あの子の前だけは……っ
崩れる。完璧な彼は其処にいなくなる。
ノヴァーリスの前でだけ見せる、こちら側には決して向けられないシウンの表情を見ながらアストリットは差し出された赤ワインを飲み干した。
――いつか、絶対に……
「奪ってやるわ……」
(おわり)