大平原を駆ける男 << 平原ギルド ルーデル >>
スピキオ・アフリカヌス。
カルタゴのハンニバルを破った、ローマの名将だが、俺はこれをオークション課金で入手した。
3000$で入札していた人がいたが、オークション終了直前で俺が3001$を入れて落札した。
スピキオを獲得したら、騎兵3000騎も獲得できた。
このボーナス兵士は、維持費を必要としないので助かった。
3000騎もの兵力を養う力は俺の村にはない。
さらにグラディウスという剣の製造技術も獲得した。
この課金は、俺のゲームのスタートダッシュを大いに助けた。
俺は初期からほぼ無敵だった。
騎兵3000騎を一部隊にすべて入れるだけの、1部隊数上限の技術を作ることが出来なかったので、まずは3部隊までは部隊数を増やして、各隊に分散して使用した。
またグラディウスの製剣技術は、通常の技術系統とは別にあり、強さは製鉄技術と同レベルのものだったが、製造コストが低くなっていた。
そもそも、製鉄技術はこのゲームの核心的技術の一つであり、ゲーム開始時は誰も保有していないものだったので、俺はこの課金で最強レベルの技術を保持するプレイヤーにもなっていた。
だがこの強さが、俺のギルド育成を遅らせた。
自分自身の強さを求めるあまり、ギルドの創設が遅れたのだ。
一方で、スピキオの入札で負けた男は、ギルドの育成で成功した。
俺が競り勝ったのは、セルバートという男だった。
彼はもう、そのことも気にしていないだろう。
俺は入札が終わった時、意味が伝わるかわからなかったが「笑」と王国チャットにコメントした。
そうしたら、たぶん数時間してから入札に負けたことに気づいたんだろうね。
「ルーデル、おめでとう。戦場での君の活躍を楽しみにしている」
とコメントを返信していた。
オークションの状況を見ていた人が他にもいたのだろう。
「セルバート、いいね」のメッセージがいくつか見られた。
俺もそう思った。
彼とはいつか、戦うときが来るのだろうか。
俺はロマール地方北部の平原を駆け巡りながら、草原の草と風の音楽を、心ゆくまで聴いていた。
ギルドの創設は若干遅れたが、挽回のチャンスも手にした。
俺の平原ギルドも、俺の強さを見て、徐々にメンバーは増え、ついに上限の50人に達した。




