魔道士ヨーネス VS 魔道士マイノス << マール 16歳 18 >>
奇妙な魔法使い マイノス << マール 13歳 >>
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この世界の成り立ち << マール 16歳 15 >>
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魔法の粉の仕組み << マール 16歳 16 >>
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五月雨式に好きになっていく << マール 16歳 17 >>
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ギルドミーティングと鷹の目ギルドとの抗争 << マイネ 7 >>
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ギルド拠点は、島の中ではなく、対岸の大陸側に設営していたので、そこで襲撃を察知して、前もって村々への襲撃情報を掴める手はずにしているはずでした。
しかし、エルドンは息を切らしながら、そうはならなかったと言いました。
エルドンが敗残兵から聞いた話では、拠点からの報告がないまま、島へ上陸して、村への襲撃が始まったとのです。
そしてそれは、大軍勢ではなく、200名程度の部隊とのことでした。
一人の領主に率いられた部隊で、その領主は何と子供とのことでした。
「聞いたことがある。この地方で最も強力な魔道士は、子供だということを」
マイノスさんは、エルドンに情報の詳細を求めました。
話によると、その軍団は突如、島に現れ、そしてドノフとマフナドとジェメニナイの村を襲撃した後、私たちの村に向かって来ているとのことでした。
村の城塞も、屋敷と同様に石で出来ているし、その外には水堀もあるので、簡単には攻撃できないとは思いましたが、私もマイノスさんも、監視塔に向かい、敵の襲来を待ちました。
それから3時間ほどして、子供魔道士の部隊はやってきました。
「やぁ。俺はヨーネスです。マイノスさん、あなたはギルドの盟主でしょ?隠れてないで、出てきなよ。俺と戦おう。来なければ、他の村を襲うよ」
私は160名の自分の部隊を率いて、村の門を開け、橋桁を降ろし、誰の了解も得ることもなく、襲撃者の部隊へ突入しました。
私はマイノスさんから軍事行動を一任されていて、無礼な敵は有無を言わさずにぶちのめすことが必要なことを知っていました。
私は馬を駆けながら、自然な動作で弓を引き絞り、撃ち放ちました。
私はこの2年間で、騎乗しての弓術の訓練に多くの時間を割きました。
多くの敵は距離感を掴めないまま、私の矢で死ぬことになりましたが、今回の敵はそうはいきませんでした。
ヨーネスの部隊の周りには魔法の風によるバリアが張られ、私のはなった矢は、ヨーネスに届くことなく落下しました。
逆にヨーネスは、両手から炎の龍を生み出したあとに、その周りで激しい上昇気流を発生させ、そしてこちらに向けて放ってきたのです。
「ファイアードラゴン!」
ヨーネスが叫ぶと同時に、炎の龍はこの世の終わりのような唸りを上げて向かって来ました。
私は部隊に堀へ逃げろと指示を出して、私自身、馬ごと水堀に飛び込みましたが、ほとんどの兵士は何が起きたのかわからないまま、炎の突風に巻き込まれて、絶叫と共に死にました。
幸いなことに、橋桁まで燃え始めたので、ヨーネスは私たちの村を襲撃することは出来ませんでしたが、後で聞いた話では、ヨーネスは私の部隊が焼け死ぬのを笑ってみていたようでした。
「マイノスさん、俺たちに恐怖してください。明日また来るかも知れません」
ヨーネスはそう言って、引き返したようでした。
彼らの帰還時に、ギルドの重役の一人の、スターネイムさんは追撃部隊を何度も送り込みました。
それは、自身への疑いを晴らすためだとも思いました。
スターネイムさんはそれほど強い人には見えませんでしたが、その戦いはヨーネスの圧倒的な勝利とはならず、ヨーネスの魔力が尽きていたのか、撤退戦に不慣れなのか、スターネイムさんの追撃部隊を振り切ることは出来ませんでした。
そして、ヨーネスの部隊がたどり着いたのは、マフナドの村でした。
スターネイムさんの早馬が、私たちの村に着き、そのことを知らせると、マイノスさんはギルドの各領主に早馬を走らせ、自身は私を屋敷に残して、マフナドの村へ軍団を進めました。
マフナドの村は、私たちのギルド領主に包囲され、マフナドは無実を訴えましたが、村への立ち入りを拒んだことから、ギルドを追放されました。
翌日には、私も包囲網に加わり、その翌日、ギルドの領主が大方揃ったところで、総攻撃が命じられました。
マフナドの村は城壁はなく、堀と柵で守られた村でしたので、防御線は早々に突破され、村の施設のあちこちを虱潰しに調査されました。
しかし、ヨーネスの部隊はそこにはいなく、マフナドは、マイノスさんとスターネイムさんを激しく責め立てましたが、マフナドの自宅へ立ち入った時、居間に空間の裂け目がわずかにあり、マイノスさんは皆を呼び、話し始めました。
「これは、ワープホールです。空間短縮移動をする魔法です。2つの場所で、波長を合わせて作り出すもので、ヨーネスだけで作り出すことは出来ません。マフナドの裏切りは明白です」と、言い終わるまでもなく、私はマフナドを切りつけました。
マフナドは崩れ落ちながら、抵抗すること無く、「あと1時間あれば」とつぶやきました。
「あと1時間あれば、何?」
私はマフナドに言うと、マフナドは声を絞り出し、こう答えました。
「何事もなく、今まで同様、皆さんと暮らせていた。裏切りではなった。ただ、拒否できない指示だったのです」
マフナドは、涙を流して息絶えました。
ギルドの領主らは、鎮痛な面持ちになりましたが、ドノフが堂々と前に出て言いました。
「ボス。こいつは、ただの裏切り者です。誘いは私のところにも来ました。全員では無いかも知れませんが、ここにいる何名かには来ているはずです。王立騎士団から勧誘です。マフナドは完全には断りきれず、島への引き入れに同意したのでしょう。大方、大陸での交易を邪魔しないなどという条件でしょう」
スターネイムさんが同意して、話を続けました。
「マイノスさん、裏切りたい人は、元々ここには来なかったでしょう。ただマイノスさんの村だけが急成長していたので、他のギルド領主との関係が変化してきています。私たちは、あなたの村のようには、成長できないでしょう」
スターネイムさんは、少し寂しそうに笑いました。
「盟主は、ロマール地方一の魔道士を追い払いました。この地方では、大きな影響を与えるでしょう」
副将のクエティパリカは、皆を見回し、同意を求めました。
「私は膨大な魔力を行使して、村を発展させた。だがそれでも今回いくつかの村が焼かれたように、まだギルドの力としては不十分なものだ。今後の方針は、また改めて話し合おう。今回は急な召集になった。協力してくれてありがとう」と、マイノスさんは今回の事件を締めました。
帰還時に、私はマイノスさんに話しかけました。
「ドノフの村が最初に襲われています、次にマフナドです。ドノフは大丈夫ですか?」
マイノスさんは、私に笑顔を見せて言いました。
「ドノフがこの島へ導いてくれた。彼に裏切られたら、私は命を絶つだろう」
私はマイノスさんに言いました。
「死なないでください。マイノスさんに命じられれば、私はドノフも斬ります。でもその時は、ギルドを解体しましょう」
マイノスさんは、前を真っ直ぐに見て、馬を走らせていました。
マイノスさんにとって、ギルド運営が、村の発展と同じくらい重要なものになってきていることに、私はまだ気づいていませんでした。




