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ソード帝国 vs 騎士団殺し  作者: 鷹山ジン
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カニ食いたい

充電人間、シゲル=ジョーは歩みを止めない。

全てのハンターと、ウィリアム王を殺すまで。

「血がくせぇぞ…」


「お前がこの鎧の持ち主を連れてきたせいだろ。あいつも無駄に死ぬ事はなかった。

まぁ帝国騎士やってるなら、遅かれ早かれ狩るだけだがな。

早く死ねてよかったんじゃないか?」


「…あれ、やりすぎじゃないか?」


アオイには首輪がつけられていた。


「騎士二人に従属する奴隷って体で連れて歩けば、ゲスどものお手付きになる事もねぇだろ?」


「確かにそうだが…」


「他に考えが思いつくなら言ってみろ。」


「…

アオイちゃんがいいなら…

どうよ?」


「私は大丈夫です。」


「あ、そう…」






「で、まだ聞きたい事はある。

コウモリが言ってた魔王城ってのは?」


「ウィリアムの起動要塞だ。ステルスのな。

手早く使徒どもをぶっ殺していけば、焦って出てくる可能性がある。

この町にも王はいるはずだ。殺す。」


「クモ王の時はお前が捕らえられてたから内部からぶっ潰せたんだろうが

今回はどうする?

三人で騎士団相手に堂々と殴り込みか?あ?」


「あほか。何のための鎧だよ」





「こんばんはーっす。

新しく騎士団入りしたい奴がいたんで推薦しにきました。

王にお会いできますかね?」


「お前、名前は」


「ユウサクと申します!」


「王は多忙だ。直々にお会いすることまかりならん。

人事を呼んでやる。


…そこの娘は?」


「奴隷っす!くれぐれも他の騎士さんには手を出さないように通達お願いしまっす!」


「…いいだろう。今各騎士に通達しておいたぞ。

そしてユウサク、承認したぞ。

今日からの新入りだったか。洞窟越しの町の唯一の生き残りだとか?

かわいそうなこった。

向こうじゃどんな役職についてたのか知らんが、ここからは下っ端からだ。

せいぜい頑張りな」


「はい!よろしくお願いいたしまっす。」


受付がコンピューターで名前と顔を照合した。


「で、お前名前は」


仮面を被ったシゲルは無言だ。


「名前がなきゃ登録できんだろうが。

それとも名前のない浮浪者を拾ってきたのか?」


「そうっす!」


「そもそも、入団もまだなのになんでそいつ鎧を着てるんだ?


…履歴によるとお前、うちのを一人連れてってどっか行ってるな。

あいつはどうした」


「いやー実は、例の騎士団殺しの奴に出くわしちゃいましてね。

相方が殺られちゃったところを、こいつに助けられたんす。

裸だったから、相方の防具を着せてきちゃいました。

腕があるなーと思って、補充要員としてどうかなーと思って。」


「まぁ強い奴なら大歓迎だ。

その噂の奴は仕留めたのか?」


「あ、もちろんっす。

監視カメラありますよね?

町はずれの発電所のメンテに行ったときに襲われました。」


「ふん…監視カメラでの照合は時間がかかるんだがな。

ちょっと待っ」





「おれの事なんだがな」


剣でコンピューターごと受付の胸を貫く。


「わ…シゲル!?」


「…しっ。大声出すな。いいか、作戦をこれから実行する。

お前はアオイと一緒に慌てふためいたフリして場内をかき乱せ。

アオイは見取り図通りに各所の機械をショートさせてくれ」


強化済みのスタンガンを持っているのを確認する。


「はい」


「無理するなよ。絡まれたら俺が守ってやるからな。」


「あまり期待はしてませんけど…

よろしくお願いします。」


「ずこっ!」


「アホやってないで散開するぞ。」


「シゲルさんは、地図はいらないんですか…?」


「もう頭の中に叩き込んである。

それにわかるんだよ…ここのお偉方もハンターだ」





「おーい!!!!!!!

大変だあ!!!!!!

侵入者が裸でやってきたぞー!!!!」


ユウサクが大声で喚き散らす。


(あいつ後で覚えてろよ…)







「ども、こんちはっす」


「何してるんだお前」


ユウサクが気さくに挨拶をする。


「いやね、侵入者があちこち荒らしまわってるから。

城のセキュリティシステム強化して逃げ道塞いで、逃がすなってご命令で。

まだ聞いてません?」

(やってる事は真逆なんだけどなー)


「知らないな。だがよろしく頼むぞ。

俺たちは電気系統には疎いんだ」


「あ…そっち」


「俺達はさっさと侵入者とやらを追い詰めな…ぎゃァ!?」


電磁バリアーに引っかかった騎士が、感電死する。


「まだ解除してなかったのに…すまんな。

アオイちゃん、セキュリティと監視システム解除できそう?」


「大丈夫です。

配電盤を開けてそこにこのスタンガンを差し込めば故障するみたい。」


「時間との勝負だぞ。

あいつが王の間まで行けるように、解除するのが俺達の仕事だ。

もたもたしてたら俺達も危ない」


「あと3つ配電盤があるみたいです!」






ズシャリと兜ごと騎士の頭が落ちる。

物陰に隠れながら、侵入者探索中のネズミ達を狩っているのだ。

シゲルが独りでやっていた頃は、このアサシン方式で済ませてきた。


この城の電気バリアーを突破するのはシゲルにとっては容易だった。

しかしできればこの特異性は王との戦いまでは、ばらすわけにはいかなかった。

珍しくシゲルの顔に焦りが見えている。

解除はまだか。


もう数十人は騎士を屠っている。

そして2階へのバリアが破られたその時。



「おおい!無事か!」


両手に大ハサミを持った騎士が駆け寄ってくる。


ズドンと鈍い音がシゲルの足元を襲う。



「フッ、堂々とやってくるとはな。お前が王か」


「俺は騎士団長だ。

今の一撃よくかわしたな!」


「こんな血まみれの鎧着てる奴が味方なんて思うはずないだろうしな。」


「まったくだ。」


そういう団長の鎧は赤く染まっている。


「お前…部下を殺したな?」


ふふんとせせら笑う。


「どうせセキュリティのせいで二階配属の部下どもは動けねえんだ。

役立たずどもでウォーミングアップしてたわけよ」


男が腕をクロスして構えると、二足歩行のカニのハンターに変化した。



ハサミを振り回した衝撃で、シゲルの鎧にヒビが入る。


「首を狙ったんだが、なかなかに反応速度がいいな。

俺直属の部下にならんか?」


「お断りだ。普通のカニなら大好物だが、

人間が素体になったカニを喰う趣味はねえ」


「ハンターの事をよーく熟知してるみたいだな。

こりゃ歯ごたえのある獲物になりそうだ!」


やたらめったらにハサミの両腕を振り回す。

直接攻撃と衝撃波で、広間が破壊されていく。


「おいおい王様に怒られるんじゃねえのか?

お行儀が悪いってな。」


「軽口をたたく奴は弱いって相場が決まってんだ。

ほざいてろ!」


「うわ!」


ハサミの一撃で、バルコニーと階段が粉砕される。

元々衝撃波で脆くさせておいたのだろう。


無防備に落ちてくるシゲルの胴体を、ハサミが捕らえる。

そのまま鎧を砕き、シゲルの皮膚を貫通する。


「どうだ!俺の部下になると言え!

このままでは寸断されて死ぬぞ人間!」




「ただの人間かどうか…どうだろうな!」


心臓までカニバサミの先端が到達しようとした時、

シゲルは体内で放電を行う。


「ぐげ!?」


「水棲生物ベースなら電気はよく効くだろう」


感電したカニ男の体をよくのぼり、二階へ到達する。


「たらふく食らいな!」


カニ男の巨体をバリヤーに投げつける。

衝撃でバリヤーは破壊され、泡を吹きながら爆散する。


「その泡はあの世に行ったらてめえで食らってろ。くせえからな!」





「さて…あいつのホラ通りに裸になっちまったな…」

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