14 寵妃の立場を不動のものに
それからの林杏は、とにかく凜貴人に忠実であった。
最初に出会った頃は、いちいち小言が多かったが、あの一件以来、少しは減ったような気がする。だが、忠誠心が厚すぎるのも困ったもので。
「凜貴人さま、これまで他の妃嬪たちの凜貴人さまに対する無礼を黙って見過ごしてきましたが、これからは私も遠慮いたしません」
林杏はぐっとこぶしを握り力説する。
「林杏、突然どうしたんだ?」
「凜貴人さまは、陛下の寵愛を得ていないといって、これまでバカにされてきました」
「事実その通りだし」
一心は肩をすくめた。そもそも、寵愛なんていらないし。
「凜貴人さまを見下してきた妃嬪に私が何か言っても、責められるのは結局、凜貴人さまだと思ったからです。ですが、今は違います」
腰に手をあて林杏はにやりと笑う。
なに、その含み笑い。
「陛下の寵妃という立場を不動のものにするのです」
はあ?
「陛下の子を身ごもり、必ずや皇子を産み、後宮の頂点に登り詰めましょう!」
一心は口をあわあわさせる。
突然何を言い出すんだと思ったら、とんでもないぞ!
「いや! 別にそんなの望んでないし、後宮の頂点って、それ、皇后に対する不敬罪になるんだろ? 林杏がよく言ってたじゃないか。口を慎みなさいって」
皇后に対する不敬罪という言葉で林杏を黙らせようとしたが――。
だめだ変なスイッチが入っちまってるよ!
「先程も言いましたでしょう。もう遠慮はしないと。さあ、凜貴人さま。美しく着飾りますよ!」




