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68.酒と涙と男だらけ

前回のあらすじ:マキシマと戦いの末和解したバアルは、次元移動の知識を得る為に探求者の国エグリゴリの『最奥図書館』を目指すことにする。しかしその前に、マキシマの頼みによりドワーフの国ガンザードを目指すことになった。

…でも今回は出発しません。

 バアル達がゲイル捕獲作戦を行った次の日の夜、バアルのパーティーの男性陣に宛がわれた部屋に多量の酒が集められた。

 何の為か? 有り体に言えば仕事完遂の打ち上げである。


 バアルは椅子に座って運び込まれてくる酒瓶や摘まみの小料理を眺めながらぽつりと呟いた。


「…フィリップも参加すれば良かったのにな」


「竜の巣窟で飲む気にはなれねぇんだろう。酔っ払った竜につまみ代わり食べられたりするんじゃないかって顔だったぞ」


 干し魚を炙った料理をテーブルに置いていたマグナダインは、バアルの独り言を聞いて昼間の事を思い出した。



 ……



 ゲイル捕獲作戦から一夜明けた日、ギルドから報酬を得たバアル達は大使館で報酬の金貨十枚をフィリップに手渡した。受け取ったフィリップは金貨の枚数と同じくらいの年数老け込んだ表情でため息を吐いた。


「あ~~……、ようやくここからおさらば出来る…。長かったなぁ…」


「ご苦労だったな。今日の夜小規模な宴会を行うんだが、一緒にどうだ?」


 フィリップは急いで金貨を懐に収めると数歩後退してバアルから距離を取る。


「冗談じゃない! こんなドラゴンだらけの所にこれ以上居れるか。それに窃盗団の残党がゲイルを売った俺の事を狙ってるかも知れんからな、今日の内に街から出る」


 踵を返してそそくさと立ち去ろうとするフィリップの背にバアルは声をかける。


「そうか。どこへ行くつもりだ?」


「…お前らこれから北のドワーフ共の国に行くんだろ? だから俺は南に行く。巻き込まれたくないからな」


 足を止めて肩越しに振り返ったフィリップの顔はうんざりした表情をこれでもかとばかりにバアルに向けて来た。バアルは片眉を上げておどけ顔を返す。


「まあ力を借りたい時はカルニウェアンにでも探して貰うからな、お前がどこに居ようが構わんよ」


「既に俺の逃げ場は無かったのか…。お前やっぱ悪魔だ」


 フィリップは腕を落っことしそうな程肩を落として大使館を後にしたのだった。



 ……



「自業自得な部分はあると思うが…、久しぶりに可哀想な者を見た気になったぜ」


「…鏡を見ればいつでも見れるだろう」


 酒樽を運んでいたファフニールが横でぼそりと呟くと、マグナダインの額に青筋が浮かぶ。マグナダインは引きつった笑み満載の顔でファフニールの真正面に立つと、恫喝と聞き間違えかねない声音でファフニールを挑発する。


「あん? 俺が可哀想な奴って言いたいんだなテメェ。いい度胸だ、今日こそ酔い潰してやる…!」


「…百戦百敗の癖にまだ飲み勝負を続ける気か?」


「てめぇが元の姿に戻らなければ勝てるんだよ! 今日は逃げるなよ!」


 マグナダインはビッとファフニールを指刺すと残りの料理を取りに厨房の方に戻っていった。マグナダインの背を見送ったスコットはバアルの方へ顔を移し、酒瓶を見ながら鼻歌を歌っているバアルを見て止める様子が無い事を理解すると、諦めて別の話題をバアルに振ることにした。


「女性陣の姿が見当たりませんが、どちらにいらっしゃるんですか? 私いくつか事務処理があって別行動してたので分からないんですけど」


「ん? クローディアと一緒に女達だけの飲み会だと。この前のレストラン『鈴蘭』とはまた別の所で飲むらしい。カミラが企画していた。エミリーは嫌がってたが、クローディアが会いたがっていたらしいし、いずれこの街に世話になるんだから行って来いと言ったらひどく微妙な顔をしていたな」


「はあ…、アナトーさんとカルニウェアンさんは?」


「カルニウェアンは高い飯が食べれると大張り切りで行ったな。アナトーはカミラとカルニウェアンが暴走せんよう目付けを命じておいた。ついでにブリジットもアナトーに協力する為派遣してある」


 不満顔のアナトーの表情が頭を掠めたが、クローディアの財布をダイエットさせるのも忍びないスコットは沈黙でバアルの行動を肯定した。


 男部屋に居るのはバアル、ファフニール、スコット、スコットの腰に『魔人剣アイン』、そしてマキシマが居た。


「何でマキシマさんまでここに居るんでしょうね?」


 スコットは困惑の表情を浮かべながら横目でマキシマを見る。マキシマはお菓子を前にした子供の様に酒瓶の列を見ており、スコットの疑惑の視線を浴びながらも頓着している様子は無い。

 マキシマはワインの瓶に貼ってある銘柄や作成年度を確かめる作業を止め、スコットに満面の笑みを向ける。


「はっはっは、固い事は言いっこなしですよ。折角ですから一緒に楽しみましょう」


「それ明らかに私達の台詞なんですけど!? 背中の羽と一緒で性格も随分黒くなられたと見えますねぇ、天使殿?」


 スコットの追及をマキシマは口笛を吹きつつ酒の確認作業に戻る事でかわす。その背の羽は相変わらず黒々としていた。


「まあまあ。マキシマともしばらく別れる事になるからな。場所を借りている身としては心苦しいが、大目に見てくれんか?」


 バアルに宥められ、釈然としないスコットも取り合えず矛を収める事にした。無表情ながらマキシマに負けず劣らずワクワクして見えるファフニールが横に居る為、それ以上騒ぐのが憚られたと言う理由もあった。


 しばらくすると、ジャガイモのグラタンが入った皿を持ってきたマグナダインが入室して来た。マグナダインがグラタン皿を置いて皿を準備している間に、マキシマが上等なワインを一本選び出した。


「最初はこれでいきましょう。三年前のワインでちょっと若いですけど、葡萄の当たり年って聞いてますから。いや~飲んでみたかったんですよね」


 そして返事も聞かずに片手で栓を抜き、各々のグラスに注ぎ始めた。

 バアルが事前に無礼講を宣言していた為、多少の無作法は目を瞑るのかスコットも今度は何も言わない。本人としてもこのような形式の酒盛りは久しぶりだったので、多少興奮していた事もあったが。


 グラスにワインが満たされ、全員に行き渡った事を確認したところで、バアルはグラスを掲げた。


「では、無事ゲイルを捕えられた事と俺達の新たな門出を祝して……、乾杯!!」






「…我の分は無いのか……?」



 悲しそうな声がスコットの腰の『魔人剣アイン』から発せられた。



 ……



「あんまりだろうバアル殿! 普段喋らないよう自重してるのは悪目立ちしないよう気を遣っているからなんだぞ!? こういう時位ちゃんと思い出してくれ…」


「本当にすまん、アイン」


 しょんぼりと肩を落としながらワインを舐めているアインに、バアルは申し訳無さそうに謝っていた。

 人間形態を出現させたアインは、追加された席に腰掛けて不貞腐れながらもワインや料理を味わっていた。そのアインをマキシマはワインを飲みつつ、しげしげと興味深げに見る。


「『知恵ある剣インテリジェンス・ソード』かと思いきや、人の形態まで取れるとは…、もしかしてアインさんて『イース』の出身?」


 マキシマの言葉にアインは左様、と頷く。


「さすが天使殿は我が故郷をご存知であったか。イースの剣聖、アイン・フォークと申します。どうぞよろしく」


「はいはい、よろしくお願いします。…ところで『フォーク』さん、そこの『フォーク』取って下さい」


「…それ言ってみたかっただけでしょう…?」


 わざわざアインの姓を呼んでまで駄洒落を吐き出したマキシマに周囲の面々は冷たい視線を送る。アインはそれでも律儀にフォークを差し出し、マキシマはフォークを受け取りながら悪びれもせず笑う。


「はっはっは、どうもバアルさんの血が混ざってから洒落のレベルが落ちたようですねぇ」


「冤罪だ!!」


 バアルはワインを噴出しかけるのを何とか耐え、叫ぶ。マキシマは澄ました顔でフォークでジャガイモのグラタンを食べ出し、それ以上の会話を避けた。


 そんなマキシマを見て、本当に性格が変わっているんじゃないかとバアルは疑ったが、でも最初からこんな感じで飄々としてはいたと思い出して、自身の血に対する不信感を振り払う。


 その横ではマグナダインが二つのジョッキに波々と強めの酒を注いでいた。注ぎ終わると片方をファフニールに差し出して不適に笑う。


「今日は人の家だから、元の姿に戻って飲む事はできねぇからな。覚悟は出来たか?」


「いいだろう、返り討ちにしてやる。…スコット、庭広いしちょっとくらいならいいよな?」



「やめんか」「止めて下さい、街中パニックになります」



 バアルとスコットの両方から拒否されたファフニールは、若干苦しげに唸った後、一気にジョッキを呷る。


「そう来なくっちゃな…!」


 それに続いてマグナダインもジョッキを傾け、両者の泥酔という崖に向けたチキンレースが開幕した。


 見てるだけで胸焼けしそうな二人は視界の端に追いやり、バアルは優雅にワインを嗜んでいた。

 ワインを飲みきったバアルがもう一杯飲もうと酒瓶を探していると、アインがワインの瓶を差し出してきた。


「我がワインを注ぐから、グラスを取るといい」


「珍しいな、アインが俺に酒を注ぐとは。マグナダインにしかしないと思ったが」


「天使殿に勝利した勇士に酒を注ぐ器量くらいある。バアル殿達を異世界の住人と聞いてからどうも胡散臭いと感じていたが、天使殿に勝利したその力量と天使殿から依頼を受ける程の人物であると分かった以上、その思いが誤りであったと分かった。今後は、マグナダイン殿に次ぐ敬意を払おう」


「それ今までと変わらないのでは…、むしろ今までの順位が気になる」


 ワインは注がれても敬意が注がれている気が今一しないバアルは首を捻っていたが、それは気にせずアインは続ける。


「こんな風に男だけで顔を突き合わせて飲む機会も余り無いだろう、またバアル殿の過去の話でも語ってはどうだ? 女性関係とか」


「あ、それ私も聞きたいですねぇ」


 マキシマもアインの話題に乗っかって来た。会話には参加していないものの、スコットも耳をそばだてて興味深々であるようだった。


 バアルは悩ましい表情でワイングラスを軽く揺すり、ワインの香りで脳を刺激して過去を思い出そうとしていた。

 だが、アイン達が望むような話題を思いつけなかった。


「すまん、女性関係と言われても恋人や妻のような存在は今まで居なかったんでな、話題が無い」


「「「ええっ!?」」」


 アイン、マキシマ、スコットの驚きの声が唱和した。


 アインは愕然とした表情でバアルの顔を眺めていたかと思うと、すっと立ち上がってマキシマの隣まで移動し、マキシマにひそひそと耳打ちをし出す。


「バアル殿って確か二千五百歳くらいって言ってましたが、そんな期間性欲を抑えられるものなんでしょうか?」


「分かりません、私達天使は性欲が無いですから問題ないですけど…。魔族の方は普通に性欲ありますし」


「というか童貞を二千五百年も拗らせると魔王に成るんですな。意外な事実です」


「それ以上誤解を広げるならば、アインは俺が直々に地の底まで封印してやろう。マキシマは焼鳥にして酒のツマミにしてやるぞ。それともジョッキ単位で輸血されたいか?」


 苦々しい表情でバアルが恫喝するとアインとマキシマは口を押さえて喋りませんとアピールする。今度はスコットがバアルの機嫌を窺いながら、恐る恐るバアルに質問した。


「ええと、バアルさんは天使族のように性欲を感じないんですか? その、我々と同様の…、といっては憚られるモノを腰に備えてらっしゃいますけど…」


 スコットは風呂場でのバアルの裸を思い出しながら喋り、食事中に思い出すんじゃなかったと少し青い顔で口元を押さえた。


「ああ、付いてるな。一応言っておくが男女の営みについても知識はあるぞ? 二千五百年も生きていればそれなりに見る機会はあったからな。ただ経験は無い」


「ほうほう。ならば女性を見ても、こう、ムラムラしたりしない、と?」


 マキシマが確認すると、バアルは首肯して一口ワインを口に含む。


「…そうだな、特に該当するような感情は浮かばないな」


 首を捻るバアルに対してマキシマはワインを飲むフリをしてグラスで口元を隠し、顔に浮かんだ笑みを誤魔化していた。


(年季のいった童貞だな。ビンテージワインみたい? ですね。 まあ私も人の事言えないけど)


 マキシマが失礼な思考をしていた丁度その頃…



 ……



「ど、どうしたのアナトー? ビンテージもののワインを見つめて息を荒げて…?」


「…はっ!? ごめんなさいブリジット、なんだか急にそのワインが艶かしく思えて…」


 女子飲み会の席ではアナトーがハァハァしていた。



 ……



「………?(ソワソワ)」


 遠く離れたシルヴェ・アールヴの高級宿の屋根裏では、エルフの女スパイが監視対象であるアウロラの食事に付いていたワインを見て急に早まった鼓動に戸惑っていた。



 ……



「という事はバアル殿には子供はいないのか?」


 今度は席に戻ったアインがツマミの魚を自身の皿に移しながら発言する。


「居ないな。…子育てならした事あるが」


「…なんで子供がいないのに子育ての経験があるんだ」


「昔各地を放浪していた時に、とある一家に一時期世話になっていた事があってな。そこの子供達に懐かれて、子守を頼まれた事がある」


 バアルは顔を俯かせて話し出す。その視線はワイングラスに注がれ、ワインの奥に昔の映像を見ている様だった。


「最初は二人だけだったんだが、面倒見が良いと近所で評判になっていき、一人増え二人増え……、最終的に十人になっていた。最後の頃は本当に大変だったな…。触るなと言った物に触ろうとするし、行くなと言った方に行こうとする。泣く、喚く、騒ぐ、走る、転ぶ、は日常茶飯事。おまけに赤子が三人居たからオシメの交換なんかも任されて…」


 後半になるとバアルの持っているグラスがカタカタと振るえ出した。よく見るとバアルの全身も微動している。


「そんな子供達を怪我させないように、壊れ物を扱うつもりで、しかも様々な状況に合わせて対応しなければいけないのだ…! 荒れ狂う大海に浮かぶ船の上で針仕事をする位神経を使う作業だったぞ…」


 バアルの微動は激しさを増して行き、チャプチャプとワインが飛び跳ねる音も聞こえてきた。異様な雰囲気にスコット、マキシマ、アインの三人は互いに視線を見合わせる。

 しかし三人が止める間も無くバアルの独白は続いてしまった。


「ある時赤ん坊のオシメを変える作業中に屈んで作業していたら別の子供が正面から俺の角を掴んできてな、危ないから離しなさいと言っても聞かず、そうこうしている内に目の前の赤ん坊が尿意に耐え切れずおしっこを…」


「ストップ! もういいです、それ以上は致命傷になりますから!!」


 スコットは大慌てでバアルの苦い記憶を再封印した。聞いてて居た堪れなくなったマキシマとアインは視線を逸らし、バアルは脱力して椅子にその身を預けていた。前髪で見えないその奥の眼には何か光るものが見えた気がした。


「正直に言うと、勇者や大軍との戦闘の方がまだ気分的に楽だった…」


 搾り出すようにバアルの口から漏れた感想はマキシマの脳内に以下のような妄想を産み出していた。



 ……



「ふっふっふ。勇者よそれで全力か? 俺はまだまだ余裕だぞ?」


「くっくっく。魔王よ、今こそ俺の切り札を見せてやろう。これを見ろ!」


「な、何ぃ!? それは…!!」


「そうだ、オシメを変えていない赤ん坊だ! 早く変えないと泣いちゃうぞ~?」


「くっ、卑怯な…!」


「おおっと、そう言えば前のおっぱいの時間から結構経っているなぁ。これはぐずると長引きそうだぞ、魔王よ?」


「おのれええええぇぇぇ!! さっさと代えのオシメを寄越さんか!!」


「う~~ん、どこに置いたかな…? あ、やべ泣き出しちゃった」


「馬鹿者おおおおおお!!?」



 ……



「魔王殺すに刃物は要らぬ、子供十人居ればいい。一句浮かびました」


「何だか物凄く失礼な空想をしていないか、マキシマ?」


 顔を上げたバアルはいつもの雰囲気に多少不機嫌さを混ぜた状態に成っていた。バアルは多少荒っぽくグラスの中のワインを呷ると、マキシマを睨みつけて逆に質問をする。


「ガンザードに居るマキシマの知り合いに渡す紹介状の件はどうなっているんだ。まだ貰っていないんだが」


「あー、そう言えばそうでしたね。まあバアルさんに渡した私の羽を見せれば私の知り合いと分かると思いますけど…」


「こんな状態だが、いいのか?」


 バアルは胸元からマキシマの羽を取り出す。胸元に入れたままマキシマと戦ったせいで羽はボロボロに成っていた。


「……やっぱりちゃんとした手紙を書きますよ。スコットさん、紙とインク下さいな」


「料金徴収しますよ? バアルさん達ならまだしも、天使族にタダで物を与えるのはお断りします」


「仕方無いですねぇ、バアルさん紙とインク代恵んで下さい」


「スコット、俺から金を払うからマキシマに紙とインクを貸してやってくれ」


 スコットは頭痛を堪えるように眉の付け根を指で揉み解すと頷いて了承した。バアルは済まなそうな視線をスコットに送ると、マキシマに顔を戻す。


「そうだ、向こうで協力するグレーテルという天使について聞いてなかったから詳しく聞きたい」


「グレーテルさんは女性型の天使族で、プロポーション抜群の美人さんですよ。…ごめんなさい嘘です、こう紹介しろと言われたんです。本当は『永遠の地平線エターナル・ホライゾン』と呼ばれる程度の体型の方です。関係者にこのあだ名を言えば多分理解してくれます」


「それ言った瞬間本人から消されたりしないだろうな。遠回りに俺を暗殺しようとしてないか、マキシマ?」


 何となく予想がついたバアルは疑いの眼差しをマキシマに向けるが、マキシマは不貞腐れたようにテーブルに顎を乗せて愚痴を溢す。


「いーんですよ。何かと私に突っかかって来るし、いい様に扱き使うし、これ位言っても罰は当たりません。第一私達はこれ以上体型の変化は有り得ないんだから的を射たあだ名ですよ実際。ちっこい体してるくせにやたらとえげつない闘い方するし」


「ほう、強いのか?」


 バアルが興味を引かれた様子で尋ねると、マキシマは酷く嫌そうな顔を示す。


「直接戦闘力は私の方が上ですが…、搦め手がうまいと言うか、社会的に抹殺しようとしたりとか…」


「むう、そう言う戦いは余り得意では無いな…。精々怒らせないようにしよう」


「そうして下さい。彼女はガンザードの首都『ガルザック』に住んでいますのでそこを目指して下さい。現地でガンザード陸軍の軍事顧問をしていますので、軍の詰め所に行けば居る筈です」


「分かった。…どれ、次は別の酒にしてみるか…」


 そう言ってバアルが次の酒を物色し始めた瞬間、





「た、大変だバアル殿! マグナダイン殿が、マグナダイン殿が息していない!!」





 視界に入れないようにしていた方向からアインの悲痛な叫びが聞こえてきた。バアルが思わず顔を向けると、大量の空き瓶に囲まれ、白目を剥いて体を痙攣させるマグナダインと、なぜか半身を酒樽に突っ込んで微動だにしないファフニールの姿があった。



 後ほど救命措置(腹パン)で意識を回復した両者は、バアルのお叱りを受けて酔いの苦しみを満喫しながら後片付けに奔走する羽目になったのだった。


遅くなりまして申し訳ありませんでした。今後も不規則に投稿が遅延することがあるでしょうが、どうかご容赦下さい。


次は本編でなく幕間話を投稿する予定です。投稿日は来週水曜を予定してます。

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