31.試験開始
昇格試験まで後四日まで迫った日、バアル達はエミリーの自宅に向かっていた。エミリーの自宅は昔からの住宅地区に建てられた、古びたアパートだった。カミラはここには来ていない。旅に出る準備をしているからだ。
アパートに着いたバアル達は大家にエミリーの部屋を教えてもらい、エミリーの部屋のドアをノックした。すると中から息を呑むような音が聞こえた後、何の反応も返ってこず、静まり返る。
「エミリー、バアルだ。ちょっと話したいことがあるんだが、いいか?」
バアルがそう声をかけてから二分程して、ドアの鍵が開けられ、隙間から恐る恐るエミリーが顔を覗かせる。そしてバアル達の顔を確認し、他に人が居ないと分かると明白にほっとしてドアを開ける。
「入って。狭いけど文句言わないでよ」
エミリーに急かされてバアル達は足を早めて部屋に入る。中は雑然としているが物は少なかった。散らかっている印象を受けるのはそこら中に転がっている紙くずや、片付けられていない生活ゴミのせいだろう。ちょっとすえた臭いもする。
「…掃除していいか?」
「乙女の部屋の物を勝手に触るつもりだったら、マグナダインと言えど叩き出すからね」
ウズウズしてエミリーに話しかけるマグナダインだったが、エミリーに一刀両断されて大人しくドアの前に陣取る。全員が座れるスペースも家具も無いので、アナトーとカルニウェアンはベッドに座り、残ったバアル達は立って話す事にした。
学習机の椅子に座ったエミリーはだるそうにバアルに要件を尋ねる。
「それで、何の用? 依頼の手伝いとかなら今は無理だから。…ちょっと込み入った事情があってね…」
「一緒に旅に出ないか?」
単刀直入にも程があるバアルの提案を聞いて肩を盛大に透かされたエミリーは、頭を椅子の背もたれにぶつけて、悶える。
「あう~~~~ん……」
「エミリー…、久しぶりに会ったら犬みたいな声を上げてどうしたんですか。犬に転職したんですか?」
「動物に転職なんてできるかい!! てかいきなり旅に出ようって、私の話し聞いてなかったの!?」
「アンディさんから事情は聞いている。何でも実家の父に結婚させられそうになっているそうだな。…エミリー、何故食料品を漁ってるんだ?」
「いや、あのお喋り吸血鬼の両目にニンニク埋め込んでやろうかと思って」
「せめて鼻にしておけ。それで、エミリーが結婚したくないならアンディは他の街で暮らせる様手配してくれるそうだぞ。ついでに俺達の要件は、旅の水先案内、もとい常識面でのフォローを頼みたいんだ」
エミリーは食料品を漁るのを止めると、大きな溜息を吐いて、ドカッと音がする程の勢いで座り込む。その顔は疲労と苦渋に満ちていた。
「バアル…、あんた達って親の顔覚えてる?」
「いや、俺は覚えてないな。そもそも居るかどうか定かでない」
「私もバアル様に拾われる前の事は覚えてませんわ。親の顔は分かりませんわね」
「あー、俺は一応覚えてるぞ。まあ勘当されたからもう親とは言えないかも知れねぇが」
「私はお母さんの顔は覚えてますよ」
「知らん」
「まさか、親の顔知らない奴が全体の半分とは思わなかったわ…」
何だか笑えてきたエミリーはしばし肩を震わせていたが、また疲れた顔に戻って溜息を吐く。そしてポツリポツリと話し始めた。
「まあ、私も最近は顔思い出す事が少なかったし、おぼろげにしか覚えて無かったわ。あいつ、父さんが来た時は一瞬誰だか分からなかった…。離れていたせいもあるし、大分やつれてたからね」
エミリーは床に転がっている紙くずを足で弄びながら、誰に聞かせるでも無いように、独白の様に話を続ける。
「部屋に来ていきなり結婚話始めたのよ…。良縁だって、もう冒険者みたいな危険な事しなくていいって。正直私みたいな下級冒険者が危険な仕事任されるわけないのにね。了見の狭い奴。駄目な奴。私に見向きもしなかった嫌な奴…」
エミリーの話は最後の方は愚痴になっていた。バアル達は何も言わずにただ話しを聞き続ける。
「でも…、父親なんだよねぇ…。義母さんと弟も悪い人じゃないし、助けてあげたいんだけどねぇ…」
「結婚相手の事は聞いてるのか?」
「知ってる。顔も見たことあるわ。ちょっとしたお使いで相手の家に行った時に見初められたらしいのよねぇ。あんな雑用受けるんじゃ無かった」
エミリーは天井を仰ぎ、屋根のはるか先もう戻れぬ過去を見つめる様にぼんやりと屋根の梁を見つめる。
「正直言って結婚は嫌よ。でもうちの父親は今借金で首が回らないどころか首を括りかねない状態らしいから…、一応育ててもらった恩は返さないと駄目かなとも思うのよ。最後の義理の返済時かなって」
「借金は幾らあるんだ?」
「金貨百三十枚。半端な額でしょ。でもその日暮らしでギリギリの生活してる私には用意出来ないし……」
「あれ、足りるんじゃね?」
マグナダインの素っ頓狂な声が響き、エミリーは訝しげな顔でマグナダインを見る。マグナダインは財布をパーティー資金用の財布に手を入れると、ひのふのと硬貨の数を数えると、顔を上げてカルニウェアンに問いかける。
「お嬢、金貨二十五枚相当三枚と金貨三十枚相当二枚、あと金貨三十二枚で金貨いくら分だっけ?」
「この前の勉強会で算数もやっておけば良かったですね。金貨百六十七枚分ですよ」
「ちょっと、何の話してるの?」
エミリーは困惑してバアル達の顔を見回す。バアルはマグナダインとカルニウェアンのやり取りを見ていたが、エミリーに顔を向けると、人の悪い顔でニヤリと笑った。
「エミリーの最後の義理、とやらの売買契約の話だ」
……
その後、バアル達は冒険者ギルドに向かい、エミリーがバアルの旅に同行して手助けをする依頼を作成、エミリーに受理させた。依頼の詳しい話を聞いたギルド側は、面白がってギルド側へのマージンを大分おまけしてくれた。その足でエミリーの実家に乗り込んだバアル達はエミリーの家族に丁寧に挨拶した後、父親に金を叩きつけるように渡した。
現在、バアル達はエミリーと一緒にアンディの店に居た。休憩室ではエミリーが机に突っ伏し、バアル達は呑気に茶を飲んでいる。エミリーは地獄の底から響く亡者の声の如くしゃがれた声で抗議する。
「魔王よ…、あんた達本当に魔王そのものよ…」
「この前からそう言ってるだろう」
「だからって! 無理やり旅に同行する依頼受けさせて! 依頼金が金貨百三十枚で! あまつさえ実家に殴り込みかけて、あの糞親父に私の報酬の金ぶん投げて! 「では娘さんは貰っていく」って!! 人買いか!?」
「マグナダインとファフニールに抱え上げられるエミリーの姿って、攫われるお姫様みたいでしたよ。よかったですね、女の子の夢じゃないですか」
「兵士の訓練に使われる丸太か、釣り上げられた魚の気分だったわよ!!」
腕を上に伸ばした状態で、肩と足を掴まれ状態で連れ去られたエミリーの姿は、しばらくの間ご近所の噂の的だった。
「最悪なのは親父よ!! 金額を確認するなり「どうぞどうぞ」って!! あれでも親か!?」
「ちゃんと事情は説明したから大丈夫だろう。親御さんも「これだけの報酬を貰えるなんて、冒険者としてきっと大成するだろう」と喜んでくれたじゃないか」
「世間知らずにも程があるわーーー!!」
ハァハァと荒く息を吐いていたエミリーは、マグナダインの茶碗を引っつかむと、いい感じに冷めた茶を呷って掠れた喉を潤す。
「下級冒険者の平均報酬すら知らないんだから、商売がうまくいくはず無いのよ。あんなに無知だとは思わなかったわ…」
「「できれば仕送りもよろしく」、と仰ってましたね。大変ですねー、エミリー。他の街に行ってでも稼がなきゃ」
カルニウェアンがニヤニヤしながらエミリーを突く。エミリーは煩わしげにその手をはたくと椅子に座り込む。その状態でまだブツブツと何かを呟いていた。
「…大体、バアル達は何であんな風にポンと大金出せるのよ、てかどうやって稼いだのよ。樹人の依頼の報酬だってそんなに高額じゃなかったし…」
「ファフニールがちょっとした事件を解決してな。その報酬だ」
「金額から考えて、絶対『ちょっとした』事件じゃないわね…。危なそうだから聞かないでおくけど」
そこでエミリーはずいっと体をバアルに寄せて、睨みつける。
「それより最初の疑問に答えてよ。何で私にあんな大金を出したの?」
「それだけの価値がある、と思ったからだ。後は俺、いや俺達の気まぐれだな」
「私達相手に物怖じしない人材は貴重ですよねー」
「もう何回か一緒に旅したり仕事した仲じゃないか。水くさいこと言うなよ」
「エミリーの知識はこの世界に疎い私達には貴重ですわ。貴女が卑下する程、貴女の価値は低くなくてよ?」
「そこまで金に執着無いしな」
バアルだけで無く、五人全員からの温かい? 返答に、エミリーは頬を赤らめつつ膨らませ、リンゴが顔に付いている様な顔になる。エミリー本人の中では色々言いたい事がある様だったが、それらをうまく言葉に出来ないようで黙ってしまう。しばし後、心の折り合いを付けたのか、吹っ切れたように晴れやかな顔で宣言する。
「分かったわよ。もう依頼も受けちゃったし、報酬も前払いでもらっちゃったから、頼りない後輩冒険者の旅に付き合って上げようじゃ無いの!」
そのエミリーの高らかな宣言にバアル達が微笑みを返すと、同時にエミリーの背後からぬうっと手が伸びてきた。
「う~ふ~ふ~。私もお付き合いしちゃいますよ、エミリーちゅわ~~ん」
そう言ってカミラはガシッとエミリーの胸を掴む。そのまま揉みしだこうとするがエミリー後頭部ヘッドバットがカミラの額に決まる方が早かった。
ゴスッ!
快音がしてエミリーは後頭部を、カミラは額を押さえて蹲る。エミリーは涙目になりながら搾り出すように声を出す。
「何してくれんのよ、変態…」
「ちょっとエミリーちゃんに新しい服を作ってあげようと思って胸囲の測定を…」
「メジャー使いなさいよ…」
二人はお互いにぶつけた所を撫でながら立ち上がり、対面した。
「カミラも付いてくるの? 店はどうすんのよ」
「うちのドスケベ店長曰く、メニーさんの知り合いの若い子達雇うからお前はお払い箱だって」
「ああ、とうとう見捨てられたんだ」
「あれあれ? 本気にしちゃうんだ~。しかも私が悪いって方向で」
カミラは若干しょんぼりして肩を落とす。話が進まなそうだったのでバアルが解説する。
「カミラはアンディ殿から頼まれて、エミリーが別の街で住める様に手配する為の手続きをするそうだ。カミラ自身も旅に出たかったらしいから、ちょうどよかったな」
バアルの説明にエミリーは納得したと同時に申し訳なさそうな表情をする。
「何から何まで他人に頼りっぱなしね。情けないなぁ、私」
「いいじゃないですか~。うちの店長無駄に長生きしてそこかしこに貸し作ってるんですから、エミリーの事位何てことないですよ。エミリーは店長にとって孫みたいなもんなんだから、甘えるのも爺ちゃん孝行ですよ~」
そう言ってカミラは優しくエミリーの頭を撫でる。身長はほぼ変わらないので傍目から見ると滑稽でもあったが、不思議と違和感は無かった。
エミリーは照れて一歩引くとカミラの手から逃れる。その様子を見るカミラの顔は温かだった。
「じゃ、じゃあ早速旅の準備しないとね。部屋の掃除とか大家さんに引き払う事伝えないと…。服とか家財道具どうしようかなぁ…」
「そこら辺も店長が手配するそうですよ。服は荷物になるし、成長するから、この際旅に使えそうな丈夫な奴以外は処分しましょう~」
「確かに背が高くなると入らないかー…」
「いやいや…。胸がですよ~」
「皮肉か。喧嘩売ってんなら買うわよ」
エミリーの胸は同年代の女子に比べると若干控えめであった。
「いえいえ~、旅の途中、毎日お姉さんが揉んであげますからきっとバインバインになりますよ~」
「バアル、やっぱこいつ置いていこう。こんなのと毎日同じ寝床に居たくない」
「我慢してくれ。もしくは、毎日ニンニクを目の下に擦りつければ大人しくなるはずだ」
「あ~、やっぱりある程度自重しますからそれは止めて~」
カミラの情けない声を聞いて、エミリーは楽しそうに笑ったのだった。
……
それからは昇格試験日まで瞬く間に時間が過ぎた。エミリーはカミラと共に旅の準備や魔術師ギルド、アパート等への連絡、各種手続きを行い、バアル達は試験に向けて…特に何もしなかった。
敢えてやった事を述べるならば、試験が終わり次第すぐに街を起てるよう準備をして、薄くなった財布を賄うために依頼を探した位だった。結局依頼は見つからなかったが。
昇格試験当日、冒険者ギルドには緊張した面持ちの下級冒険者パーティーと、それらとは別の意味で難しい顔をしているバアル達が居た。
「まさか一つも依頼が見つからなかったとは…」
「この街での下級冒険者の仕事は、護衛とかが多くなる傾向にあるみたいですねぇ。…マグナダイン、今のパーティー資金てどれくらい残ってます?」
「新しい荷車とか食料品、雑貨類を買って出費が嵩んでな…、金貨十枚、銀貨七枚、銅貨一枚ってところだ」
押し黙るバアル達。魔王軍は財政難で早くも窮地に立たされていた。
「この試験は報酬が出るんですかね?」
「出ないらしいぞ。ギルドが実施してくれる昇格試験は基本無報酬だと」
「…何にせよ、次の街に着いたら即仕事を受けねばな」
バアル達が前途の多難さに苦しんでいると、知り合いが近づいてきた。それに気づいたバアルは先んじて挨拶をする。
「おはよう、アラン。他の皆も元気そうだな」
「元気って言うか緊張してるな。そっちも随分難しい顔してるじゃないか。樹人を撃退したお前達なら大丈夫だよ」
アランは苦笑しながらバアル達を励ます。バアルはアランの勘違いは訂正しない事にして、アランのパーティーメンバーを順に眺める。
エレナは完全に顔が強張っており、バアル達にも短い挨拶をしただけだった。レジーナはそんなエレナの背を撫でて落ち着かせているが、彼女も微笑みの裏では相応に緊張しているようで、額には緊張から来る汗が見られた。リデロはいつもと特に変化は無かった。
「リデロは落ち着いているな」
「拙僧の上には常に太陽神ルーの加護があるからな、不安に思うことなど何も無い!」
晴々とした顔でフンと鼻息を吐き出し、胸を逸らすリデロ。すると、雲が流れてきて太陽を覆い隠し、少し辺りが暗くなる。
「ああああああ…、加護が消えてしまったぁぁぁ…」
太陽の光が妨げられたリデロは頭を抱えてへたり込んでしまった。
「植物か何かですか、この僧侶は」
カルニウェアンが呆れたように言うが、アランはいつもの事と言うようにリデロを抱え上げて立たせる。
「太陽神ルーの信徒は太陽の光を浴びてると通常より調子が良くなって、勇気も湧いてくるんだと。まあ浴びてなくても別に調子が悪くなったりする事は無いんだが、こいつの場合はメンタルが微妙に弱いから日光浴させときたいんだよな」
恨めしげに空を覆う雲を眺めているアラン。バアルも同様に空を見る。すると、雲が急速に動いて太陽がまた姿を現す。
「拙僧復活!! もう何も怖く無い!!」
リデロは急激に元気を取り戻し大声で叫ぶ。そしてエレナの鉄拳を頬にもらった。
「あーーーーもう、うっさい!! 緊張してんだから静かにしてろよ!!」
「す、すいません…」
太陽の加護でも克服出来ぬエレナの怒りを恐れてリデロは素直に謝る。それをバアルは可笑しそうに見ていた。そんなバアルにカルニウェアンが耳打ちする。
「わざわざ力を使って風で雲を吹き飛ばしたんでしょう? お優しいですね、魔王様」
カルニウェアンの軽口にバアルは苦笑だけで答える。…そうこうしている内に、ギルドの奥から中級冒険者ヨハンのパーティーを引き連れて、新人課課長のハサンが現れ、試験を受けるパーティーに向かって話し始めた。なお、ヨハンのパーティーにジェイドの姿は無かった。
「冒険者の皆さん、おはようございます。今日は天気も良く、絶好の試験日よりですね。では今から試験の内容を説明します」
下級冒険者達の顔が引き締まり、弛緩していた体を整える。バアル達も同じ様に姿勢を正す。
「今回の試験は、『物探し』です。この街から西の森に、調査済みですが、太古の遺跡があります。その遺跡の深部に冒険者ギルドの紋章が入ったプレートを置いてあります。下級冒険者の皆さんで協力してそのプレートを取ってきて貰うのが今回の試験です」
そう言ってハサンは懐から手の平より少し大きい位のプレートを見せる。それには冒険者ギルドの紋章が刻まれていた。
「これと同じものが遺跡の深部のどこかに隠されています。また遺跡には中級冒険者が先行してモンスター寄せの匂い袋等を設置してますので、モンスターが居る可能性は高いです。十分注意してください。何か質問は?」
ハサンが質問を促すと、下級冒険者達はそれぞれ周りを伺って、恐る恐る手を上げようとする。
だがカルニウェアンがそれに先んじた。
「あ、質問じゃないんですけど、そのプレート触ってもいいですか?」
「? ええいいですよ。でも偽物の板を置いたりはしてませんからそこまで詳細に見る必要は無いと思いますが…」
ハサンに近づいたカルニウェアンはプレートを受け取り、しばし撫でたり裏返して眺めたりしていたが、それをハサンに返すと、おもむろに魔術を使い始めた。
「『位置探索』…、ああこれですね。遺跡までの距離は半日ってとこですか。じゃあ『飛行』の魔術で一っ走り行って取ってきますね。帰りは『転移』で帰ってきますから、二時間位で戻って来れると思います」
「あ、カルニウェアンさんは合格でいいです。中級冒険者への手続きをどうぞ」
ヨハンのパーティーのトトが平坦な口調で合格を宣言した。
「やったー、一番に合格しちゃったー」
呆然としているハサンと下級冒険者達の間を通って、さっさと中級冒険者へのカードの更新を終わらせると、カルニウェアンはバアル達に近付いた。
「じゃ、先にアンディさんの家でエミリー達と待ってますね。バアル達も早く合格して帰ってきて下さい」
バアル達は笑うしかなかった。
「そんなにエミリーが心配だったかのか。結婚相手が無理やりエミリーを攫いに来るとでも思ったか? アンディもカミラも居るし大丈夫だろう」
「何の事でしょう? 私は結果の分かりきった試験は早く終わらせようとしただけですよ」
白々しいカルニウェアンの態度にバアルは更に笑みを深くする。部下の知られざる一面を垣間見て、バアルの胸中には愉快さが込み上げていた。
こうして、セプロン市冒険者ギルドの中級冒険者昇格試験が幕を開けた。
エミリーの結婚話で何話か引っ張ろうかとも考えましたが、話が重くなりそうだったのでギャグ風味で省略しました。ほのぼの路線だしいいですよね?
カルニウェアンを試験から意図的に外してみました。キャラ的に大変使いやすいので、カルニウェアンというキャラに頼らない文章を書くために、試験的にこんな内容にしました。ご容赦願いたい。
*来週から不定期更新になると思います。詳しくは活動報告で。




