29 サービスチャーハン
ヨリヒデとヤマオカという2本柱を失ったニングスタ王国は、あっさり崩壊した。
そして、その二人を倒したチャーハン大魔王の名は、世界に広がった。
最終決戦後、そのまま居座って長官室を不法占拠したケンイチは、王者の気分で、チャーハンを食べている。
自分で言うのもなんだが、自分でつくったチャーハン、いや、フレアと一緒につくったチャーハンが一番うまいのだ。
残った部下のユバとエルフ3人組であるが、ユバは勝手にますます忠誠心を深めている。エルフ3人は、チャーハンを食べられるならそれで満足らしい。
やっと異世界チートらしい展開になってきた。
このままどこかに隠居して、スローライフ展開が望ましい。部下も4人と修学旅行班規模で、彼にはちょうどよい規模だ。
ドアがノックされる。
魔族同盟の幹部であるアヴァーロがいた。
「チャーハン大魔王におかれましては、ご活躍も著しく、同じ魔族同盟幹部として誇りに思っています。
本題ですが、こちらを……」
彼はそっと一枚の紙を差し出してきた。請求書と書かれている。
「5億ゴルド!?」
フレアを失って追い込まれた最終決戦の時、そういえばアヴァーロに人材や物資の調達を依頼したのを忘れていた。
「はい。冒険者たちの雇用、ニングスタ王国への工作費用……とにかくケンイチさんが資金を気にせずやってくれと言われましたので。
悪魔的にやらせていただきました。効果も大きかったと思いますが、もちろん費用も」
「こんな金ないぜ……」
アヴァーロは、スーツの襟を触って服装を整え直して言った。
「私の情報ですと、ある場所で、お宝が眠っている遺跡が見つかったそうで。
もちろん、行かれますよね?」
「……はい」
ケンイチの無敵チートスローライフは、まだ遠いようだ。




