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九尾の孫 【結の章】 (1)  作者: 猫屋大吉
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本家(1)

会合の後始末

もしかして伏線もかくれている?かも

空狐、天狐、白澤の3名が、帰って、中司家本家の離れは、片付けする者、清掃する者が、忙しそうに動き回っている。その中で当主である中司雄一郎とその妻、咲子、福井和正、優介の4人は、離れの地下の【八角ゲンノウ】が納めてある祭壇の前に居た。

相馬優子は、酔っ払いながら、分家の福井和正の長女、祥子と、次女の明子と共に、屋敷内の大浴場で湯だっている。はずだ、多分。

当主、雄一郎は、儀式を終え、その巫女役の咲子と共に強力な邪気を砕く【八角ゲンノウ】を持って、屋敷の奥へと消えて行った。

2人で離れを出て、居間に向かいながら 福井和正は、

「優介なら解っただろう、あの【八角ゲンノウ】の力の正体」と言うので答えようとすると

「解っただけで良い、口に出すべきで無い事実が、そこにある」と、それっきり【八角ゲンノウ】の話は、言わなくなった。

居間の戸を開けると、他の分家の人間が、20人程、雑談しており、全員の目が、入り口に向けられた。

「福井さん、優介さん、こっちへ」と声がする方へ行くと席が用意された。

用意された椅子に深く腰を掛けると優介の右隣に座った分家の一人、服部洋介が、ビールを2つとキッチンの方へ向かって声を掛ける。

しばらくして服部洋介の妻、順子さんが、俺と福井のおじさんの前にビールの入ったジョッキグラスを置き、手に持った盆を胸の前で両手で抱え、

「お疲れ様、優介さん。私、初めて空狐、天狐、白澤をみました。」と言うと、

隣の福井のおじさんは、一口、ビールを口に運び、むせながら、

「儂の知る限り、今日、本家に詰めている者でこれ迄に見た者は、いないはずじゃ」と言う、優介は、

「姿、形は、彼らには、関係ないんですよ。次に逢った時、どんな姿をしてるかわかりませんよ。ただ、あの妖力の色や、形は、変える事が、出来ませんのですぐに解りますけど。」と俺は、言った。

「そうなんですか、てっきりあの姿のままかと・、」と、服部順子が、言った。

優介は、ビールを一気呑みしながら、目で頷いた。

居間の玄関が開き、当主が、入って来た。

「優介、おつかれ。分家の皆さん、寒い中、御苦労様でした。」と深く頭を下げる。

「当主、良いんですよ。それが中司家の分家である我らの務めですよ。こんな調子で御役に立てるならいくらでも呼びつけてください。でも一寸、寒かったなぁ」と洋介が、言った。

「遅くなると思っていたので、今夜は、皆さんの部屋を用意してありますのでどうぞゆっくりとして行って下さい。風呂は、大浴場は女性の方、裏の川沿いの露天風呂は、男性で使用して下さい。斉藤さん、皆さんを其々、部屋へ案内を御願いしますね。それと、咲子、皆さんに何か食べ物を、そうだな、温まる物が、良いかも、用意してあげて下さい」と当主の中司雄一郎は、言うと

「優介、就いて来てくれ」と言い、居間を出て行った。

「優介、行って来い。こっちは、勝手知ったる何とかでつまみのある場所までわかってる。こっちは、こっちで勝手にやってるよ」と洋介さんが、言った。

優介は、居間を出て、急ぎ足で兄を追いかけた。

兄の部屋は、居間の前の廊下を左に20m程、進み、同じ左側にある。

ドアの正面に側の壁に窓が2つ有り、右奥の壁とドア側の壁には、本棚が、壁一面に立っている。その奥の壁を背に大きな黒檀の机が、あり、机の前には、本革の応接SETが、置かれ、応接SETの机もまた、黒檀で作られている。どれも年代物らしく唯一この部屋で近代的なのは、空気洗浄器とエアコンだけの様でそのどちらもが、この部屋に合っていない。

窓の外は、真っ暗で屋敷の中庭の照明に照らされた部分だけが、見えている。

優介が、中に入ってドアの所で立ったままでいると 兄は、机の引出しから分厚いA4封筒を2つ折りにした物を出し、ソファーに腰掛けて、正面のソファーに腰掛ける様に言った。

兄は、そのA4の封筒を 取り敢えずの経費だと言って優介に渡した。

「取り敢えず、500万程、用意しておいた」と言いながら、着物の左脇に手を差し入れて【滅】と和紙に書かれた封書を差出して これをお前の将来の嫁に渡してくれとにやにや笑いながら言った。

「良い娘ではないか、私は、反対しないぞ」と言う。

目が、笑っている。明らかに優介の反応を楽しんでいる。

「咲子とも仲良くやれそうだしな」付け加える。

(あんた、宴会の様子、知ってるだろ、その霊力で全部、見えてんだろ)と思いながら、

ここは、平常心、平常心と優介は自分に言い聞かせ 

「これが、白澤様の言っていた物か?」と聞くと、つまらなそうに、

「白澤様の言っていた物よりも強力な結界を形成出来る。お前の持ってる結界の1/3程度なら十分に効力を発揮する」と言った。そして、

「頼みと言うのは、あるお方からの依頼とお前の今回の敵が、同じなんだよ」

「どういう事だ?」

「玉藻前(たまものまえ)の孫、玉賽破(ぎょくざいぱ)に関する事なんだ。彼を滅殺せよとの事で お前の依頼、んーっと、相馬優子、優子ちゃんの事件と被る。お前に玉賽破の滅殺を本家として正式に依頼する」

「この調査費の額は、そう言う事か。依頼されなくても滅殺に向かうが・・・」

「だからお前は、貧乏なんだ。生きて次の世代へ繋ぐのは、俺達の根幹を成す使命だ。生きて行く為には、金が要る。だからお前の事件を聞いて私は、これを御上に申し上げた。だから これは、すでに御上の命令となり、国が、バックアップの体制を取る事となった。その上での資金も提供された。」と、(つまりは、話を大きくしておいて財力のあるとこからボッタくる)、とそう言う事ね、と優介は理解し、「わかった。やってみよう」返事した。

一流のスナイパーになった気分だ。気分は、【暗殺のプロ】って思いながらタバコを取り出すと、

「ここは、禁煙だ」と現実に戻されてしまった。

「それにしてもお前のその運、狐を助ける→妖狐と仲良くなる→空狐の天日の友達が、白澤。すごい繋がりだな」

(やっぱり全部その化け物じみた霊力で見てやがった。自分の兄弟でありながら中司家始まって以来5本の指に入ると言われるその強力な霊力、恐ろしいな)と考えると優介の皮膚の表面に粟が、立った。

「今日は、兄貴、もう仕事は、ないんだろぅ? 一緒にみんなと少し呑んで、一緒に風呂に行かないか?」聞くと

「行くか、じゃぁ、居間へ戻ろう」と言って 二人同時に立ち上がり、居間へと向かった。


居間へ戻った俺達 兄弟は、12畳あった居間と隣の居間の壁を移動させて出来た合計24畳の盛り上がりの熱気に驚いた。

その熱気の正体は、やはり相馬優子、それに中司咲子の二人だった。

二人は、互いに向かい合って酒の飲み比べをしながら、歌を歌っていた。

回りには、爆笑しながら声援を送る分家の方達。

居間の入り口には、固まった俺達、兄弟。

やがて俺達に気づいた優子と、咲子姉さんは、俺達2人の手を取って、

「主賓のとうちゃーく、皆さん、ちゅーもーく」と輪の中心に引っ張って行こうとする。

分家連中は、回りの観客となりながら手を叩いていて声援を送る者、口笛を吹く者様々である。

携帯で、カラオケを流しながら、優子は、優介を、咲子姉さんは、兄を、其々、歌わそうとしている。

優介が やけになって歌いだすと兄も歌いだし、ついには、4人で歌いだす始末。

やがて観客連中や、御手伝いさん達も口づさみだし、合計30人程の大合唱団が、出来上がる。

何曲かを皆で歌い終わると、周りから拍手が始まり、やがてその拍手は、冬の夜空へと消えて行き、宴は、要約、終了した。


男達、全員で風呂へ行く事になり、男全員で露天風呂へ移動した。

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