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九尾の孫 【結の章】 (1)  作者: 猫屋大吉
2/15

調査

書き直し、書き足しました。

優介は、良い匂いで目を覚ました。

キッチンから美味そうな匂いが漂って来る。

慌てて椅子から飛び起きた優介は、優子と目が合う。

「探偵さん、おはようございます」優子が言う。

「お、おはようございます。冷蔵庫、何も無かったはずでは、」

優介が言い掛けると

「コンビニ近くのスーパーが開いてましたから少し、買い物して、キッチンを使わせて頂きました。御口に合いますかどうか、召し上がってください」

言いながらソファのテーブルに並べて行く。

食パン、スクランブルエッグ、生ハム、オレンジ、サラダ、コーヒー。

優介は、唖然となってそれを見ていた。

ホテルのバイキング状態になっている。

優介の反応にクスリと微笑んだ優子は、

「冷めますよ」と優しく促した。

食事中に優介は、余り一人で出歩かないで下さい、かなり危険な状況だと判断していますと言うと優子は、すいませんと謝る。

その謝り方に慌てて 怒っている訳じゃないです、すいません、こんな言い方しか出来ないもので・・・寝ていても起こして頂いて構いませんからと言い頭を下げた。

食事を終えて窓際でタバコを吸いながら優介は、優子の片づける姿を目で追いながら、

(まずは、声の正体を突き止めて・・・父親を誘導して娘を手に入れる・・・かなり手が混んでいる。それ程までしても娘を手に入れる必要があったと言う事になるとなると、人を惑わす程の力を持った魔の正体、そんな力を持った魔であるなら、自然界にも何らかの影響もしくは兆候があると考えられる。ここは、7次元の神様に聞いてみるか)と考えた。


優介は、3次元は、人間やその他の動植物。4次元は、時空間。5次元に妖や神様。6次元、7次元は、神様。神様も神格が上に行くと5,6,7と次元が分かれると言う考え方をしている。


「相馬さん、正体を知る為にまず、少彦名命すくなひこなのみこと)を訪ねようと思う」優介が言った。

優子が、コーヒーを吹き出しそうになるのを手で押さえた。

「え、神様? 神様って信仰上の存在じゃなかったんですか? 会うって会えるものなんですか?」

「現代的な物の考え方だね、神様の今、居る場所を割り出してそこに行けば会えるよ」

「割り出すって?・・・誰かに聞くって事で良いんですよね」

「そうとも言えるし、俺の勘ってのもある」

「・・・そうなんで・す・か!?」

初めてこんな事を聞いた一般の人は、大抵こんな反応だなと優介は、思いながら、

「でね、少し遠いけど茨城県の大洗磯前神社に詣でる事にしました」

「それって、勘?」

「って言うよりも、少彦名命様のお気に入りの場所っぽい」

「神様が?」

「少彦名命様が」

「・・・」

優子が、あっさりと言ってのける優介の顔を見ながら呆れた目を向けると、

「胡散臭いよね、言ってる事が信用出来ないのは、良く解る。貴女が此処に来たって言うのは、少しは、信用したからでしょ、一ヶ所で良いから信用して一緒に来て欲しい。それに」優介は、続ける

「貴女が来ないと意味を成さないし、時間が余り無い様に思う」

「いつ、出発ですか?」

「今からと言いたいけど、30分ほどしてから」

「一寸、待って下さい。私、何も持って来てません」

「じゃ、あなたの家に寄ってから現地に向かう事にするから用意して」

「わかりました」

優子は、首を傾けながら「うーん、神様、会えるものなんだ」と小声で言いながら首を唸っていた。

優介は、コーヒーを飲みながらパソコンで現地のホテルを検索し、予約するとキャリーバッグに着替えと他を入れ用意を終わらせると用意の済んだ優子の居るソファに向かい、

「じゃ、行こうか」と声を掛け、二人は、事務所を後にした。

事務所を出てビルの裏手にある駐車場へ向かう。

駐車場は、15台ぐらいが止めれそうなスペースが有り、奥に個室のシャッター付ガレージが5つ程並んでいた。優介は、奥のシャッター付ガレージの一つの前に行くとポケットから鍵を取り出し、シャッターを開けると車に乗込み、シャッターの建屋から少し出た所で止める。

エンジンは、掛けたままだ。

建屋に戻りシャッターを閉じて車のトランクを開けバッグを中に放り混みトランクを締めると暖気するから一寸待っててと優子に声を掛け助手席を開ける。


優介の愛車は、シェルビーGT500、フォード製ムスタングをシェルビー社が、モデファイした車種で、年々、その馬力が、上がっている。2013年式、DOHCのV8、5.8L、TVS2300シリーズのスーパーチャージャー+インタークーラーで650馬力、最高速320km以上を誇り、鍛造のクランクシャフト、デュアルクラッチ、カーボン製のドライブシャフトを経てリミテッドスリップデフから鍛造のアルミホィールを経由して生み出される中速からの加速は、車重1747kgを軽々と加速させる。

その強大な駆動力を支えるのは、ブレンボ製6ピストンと15インチローターの組み合わさったブレーキシステムと減衰力調整式のビルシュタイン製ショックアブソーバーである。

少々、音は、アイドル時には、ガラガラとV8独特の音とダブルカムの少し高目の音色である。

優介のお気に入りは、このカラーリングで白にホワイトグレーのレーシングストライプ、この控えめなストライプが、優介の美意識を満足させている。

貧乏生活が、続いているので、走行距離は、購入後、1年弱で、いまだ、3000kM。燃費は、マッスルカーとしては、抜群で、高速だと8kM/L以上は、期待出来る。



「あまり見ない車ですね。音も少し、大きい様な気がします。」

と言いながら 助手席に潜りこんだ。

優介は、タバコに火を点けながら長い禁煙時間が、始まる憂鬱と、愛車をドライブ出来る高揚感の狭間で、暖気が完了するのを待った。

相馬優子の自宅は、帝塚山だと言う。住吉区にある万代池周辺の高級住宅街だ。淀川を超え、梅田から阪神高速へ侵入し、玉出で降りて、左折して坂を上って行くと路面電車が、走っている交差点に差し掛かる、その信号を右折し、2度程右左折を繰り返して路肩に寄せて停車した。

「さぁ、家は、どっち? 池の方か、駅の方か?」

「・・・、あ、はい、その次の筋を 右へ、入って土塀の家です。」

「良く道を御存じですよね。ナビもつかわないで。」

「まぁ、大阪市内なら 大抵の場所は、わかりますよ。一応、探偵ですから」と、少し、照れながら、車を発進させ、目的の家の前で止まった。

「ここで待ってましょうか?」

「怖いので、一緒について来て頂けませんか?」

「お安い御用です。良いですよ。じゃ、行きましょうか。」

優子は、ショルダーバッグから鍵を取り出し、正面の引き戸を引いて家に入って行く。

優介も後に続いて入って行く。

日本建築だ。洋館よりはるかに金が掛ってる、学者って儲かるんだな~と、感心しながら玄関を潜っていった。玄関には、坪庭や、竹で編んだ目隠し等、料亭を思わせる佇まいを感じさせた。

玄関で靴を脱ぎ、優子の後ろをついて行くと優子は、左手の襖を開け、

「ここで、待っていて下さい。すぐに仕度して来ます。」

「急いでね。それと、シャンプー、リンス、歯ブラシは、ホテルにあるからね。」

「はい、急ぎますね。」と、言い、走って行った。

15分程して、キャリーバッグを引きずりながら、優子が、戻って来た。

「おまたせしました。行きましょう」

と、左手にビニール袋を持ち、「お菓子いいですよね」と、にっこり笑い袋を振った。

優介は、優子からキャリーバッグを預かり、二人で玄関に向かい、車へと向かう。


順調にクルージングを続け、名神高速、東名高速から首都高速を経由、常磐自動車道、友部JACを出て北関東自動車道へ入り、水戸大洗ICを出て、ようやく、大洗磯前神社の地元に辿り着いた。

車中で優子は、バイクが好きで良くバイクに乗って通勤していたらしく、バイクの話になると目を輝かせてしゃべりまくっていた。

大洗市内に入るとアニメの看板がそこかしこに立っている。

途中、高速のSAサービスエリアで3回程、休憩を兼ねて、少し、仮眠したので、眠くは、ないが、隣の相馬優子は、しゃべり過ぎたのか、無言で外の景色を見ている。


GT500は、51号線の道沿いにあるファミリーレストランの駐車場に滑り込み、

「休憩と食事をしよう。その後、大洗ホテルに部屋を取ったからそこで今夜は、ゆっくりし、明日は、朝から大洗磯前神社へと向かいますね。」

優子は、「はい。お腹、空きましたね~。」と、とたんに元気になった。

「え、お腹が空いて一言もしゃべらなかったのか」優介は、安心して笑顔を優子に向けるとドアを開け車外へと出た。

レストランへ入り、俺は、ハンバーグステーキ定食と、ドリンクバー、相馬優子は、カルボナーラとチョコレートサンデー、プリンアラモードとドリンクバー。

優介は、(お前、糖尿になるぞ)、と半分、呆れた顔で優子を見ると、視線に気づいた優子が、「だって、お腹空いちゃったから」と照れながら答える。

運ばれて来た食事を腹に収めて 少し、雑談をしながらコーヒーを飲んだ。

相馬優子は、優介が、なぜ、こんな仕事をしているのかを 聞いて来た。

優介の家系とその役割を簡単に伝えた。優子は、裏稼業ですよね、それって、一般の人、ほとんど知りませんよと感想を言うが、一般人が、知っても出来ないし、人手不足だからと言って、募集したところで、こなせる奴なんていないよと 真面目な顔して返事を返すと、

優子は、ドリンクバーでお替りしたばかりのミルクティを吹き出し、大笑いした。

「そりゃそうだわ。まだ、一寸、胡散臭いって思ってますもん。神社や他の方々から聞かなかったら絶対やばい人って印象は、消えませんよ」

「最初は、その人達もみんなそうだった。良いよ。慣れてる」

少し悲しそうな目を窓の外に向けながら答えた。


大洗のホテルでチェックインを済ませた2人は、それぞれの部屋へ、向かった。宿泊階に到着して、優介が、部屋に入ろうとするとした時、優子が、非常階段を駆け上がって来た。

彼女の顔は蒼白になって、唇が、微かに震えている。

「声が、また、声がきこえたんです。こんなに遠くに来たのに~、声が、」

引き攣った声で優介に訴える。

優子の手を掴み、引き寄せて「大丈夫、もう、大丈夫。」と、囁きながら部屋に入れた。

「ここに居れば、良い。ここには、入っては、来れない。」

優子は、「また、また、っ」っと取り乱した彼女をベットに座らせて中腰になり優子の両肩を両手で掴み、

「明日、少彦名命と面会する。何かのヒントがあれば、相手が、解る。」

「相手が解れば、有効な対処が取れる。それまで、傍を離れない方が、良い。迂闊うかつだった。喫煙、禁煙が階が違ったから。すまない。」

優子は、無言で鼻をすすりながら首を左右に振っている。

「荷物を一緒に取りに行こう。今日は、この部屋で寝れば良い。俺の傍なら、、」

「ありがとうございます。結界ですよね。私、その結界に居れば、安心なんですよね。」

と、優介の膝に震える手を添えて涙目で訴えられた。

優介は、少し、ドキッとして、目線を逸らせながら、「さぁ、荷物を」と 言いながら 立ち上がりと彼女の手を取った。




少彦名命すくなひこなのみこと

大国主の命の一派で、国つくりに貢献した神様の一人であり、医薬、医療、酒の神様で、山や丘の造物主でもある



大洗磯前神社:

856年に建立され、戦乱の世、荒廃したが、その後、水戸藩主等により再興された。

茨城県の太平洋に面した大洗町、岬の丘の上に鎮座する由緒ある神社で、大己貴命おおなむちのみこと と少彦名命の2柱が、祭られている。神磯の鳥居は、雄大な太平洋の磯に立っており、勇壮そのものである、町中にある大鳥居を抜け、正面鳥居をくぐり、階段を上り詰めた先に、鎮座している。

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