神の術(1)
諏訪大社に出発します。目的の神は其処に居るのか?
大津インターを出て 米原ジャンクションを直進、尾張一之宮のサービスエリアの手前を
時速100~130Km 前後で ミッション6速に入れっぱなしなので優介なりには、エコモードである。
その直後をダッジナイトロが、5人?5匹の狐を乗せて付いてくる。
「次のサービスエリアで食事~、」優子が、言いながら、電話をする。
「え~、CQ CQ、こちら優介号、応答せよ、三つ目丸」
「は、はい?」
「んー、ノリが悪いぞ、そう言う時は、こちら三つ目丸でしょ」真剣に怒っている。
電話の向こうで笑い声が、聞こえる
「次の手羽先、じゃなかった、一之宮のサービスエリアに入ります どうぞ」
「三つ目丸、了解しました」
「うん、よろしい」と言いながら電話を切った。
連絡したよ、とあっけらかんと言っている。
ダッジナイトロ内は、大笑い、
白雲様が、怒られてる~、わはっはっは~
スーツ姿の女性が、
「相馬優子、優子ちゃんだっけ、良いねー、面白いじゃないか、さすが、中司家の嫁になろうってんだから大した者だよ、天狐、白雲様と知ってて言う、普通、言えないよねー」
「空狐様に何て言ったと思う? じいちゃんだと」パーカーを着た男が言って又笑う。
天狐、白雲は、「彼女、中々の者だよ。中司の当主の妻も大した者だった」と静かに言う
「中司、当主は、天日様、白雲様、白澤様を 友 だと言ったんだろ」スーツの男が、言った。
そして 白雲は、「此処まで好かれたら尻尾に掛けて守る」と言うと
他の4人は、黙って頷いた。
サービスエリアに到着した。
優介が車内のごみ袋を手に持って捨ててるのを見ながら にこにこして待っている。
「偉いね、ちゃんと袋の中のごみ、分別して捨ててるんだ」
「これ以上、自然を壊されたくないしな」照れながら笑った。
建物の中に入ろうとした時、優子が、締まってるよ~、屋台6時までだって、と、残念がっている。
券売機に行き 優介は、「はい、これ」と言い、名物、鶏ちゃん丼の券2枚を渡すと
「優介、さっすがー、わかってるーと食品受渡し近くのテーブルに座った。
「この分だと諏訪インターも食堂締まってるかもな」と言うと
「そうだ、忘れてた、あぁ~、帰りに期待だなこりゃ」と嘆いている。
「そうだな、小牧で降りて近くのホテルに泊まれば、馬刺し、食えるな」
「そうしよう、馬刺しの為なら♪~」と歌いだす。
優子は、携帯で 「CQ CQ、こちら優介号、応答せよ、三つ目丸」
「こちら三つ目丸、どうぞ」と帰ってきたので優子は、満足げに
「優介号、小牧で降りて宿をとります。そちら、3部屋でOKですね」
「え、あ、はい、ありがとうございます」
「では、良い夢を。中司優介の名前で予約いれま~す」と電話を切る。
車のナビで調べ、ナビから直接、電話に切替え、天然温泉のあるビジネスホテルに、予約を入れた。合計4部屋。一つの部屋と他3つは、2階以上離してくれと言うと怪訝な声色で わかりましたと返答があった。
チェックインの時に俺は、4部屋分、封筒から支払った。
「優介、どうしたのそのお金」と聞くので
「前回の仕事料の半分と今回の本家依頼分の活動費」と答えた。
次の日、朝10時に出発した俺達は、一気に諏訪サービスエリアまで行って そこで昼食とした。
目当ての馬刺しに2人は、大いに満足した。優子は、
「一泊した甲斐が、あったね~」と満面の笑みだ。
駐車場を見ながら 俺はタバコを吸い、その横で優子が、缶コーヒーを上着の袖で持って飲んでいる。
「あ、いた。ほら、あそこ 三つ目号」と白のダッジナイトロを指刺した。
優介は、昨日は、三つ目丸だったとつっこみを入れたかった。が、
「うん、2台後ろをついて来てたね」と答えると
「何でわかるのかな~、私もそんな力、欲しくなっちゃうよ」笑いながら言う。
「諏訪大社、上社本宮は、ここからだと40分ぐらいだな」と言った。
諏訪大社:
諏訪湖周辺に4つの境内地を持ち、上社本宮、上社前宮、下社春宮、下社秋宮の4つである。上社本宮は、信濃國一之宮とも言い諏訪大社を代表する。最古の神社の一つで古事記の中では国譲りに反対して諏訪で国を築いたとあり、日本書紀には持統天皇が勅使を派遣したと言われている。
諏訪大社には本殿と呼ばれる建物は無く、秋宮は一位の木、春宮は杉の木を御神木、上社はその地形から守屋山と一説にはあるが、宮山、御山を御神体としている。神楽が連日行われていたといわれるが、現在では、絶えている。
有名なのは、諏訪大社七不思議と言われる物で、御神渡、元朝の蛙狩り、五穀の筒粥、高野の耳裂け鹿、葛井の清池、御作田の早稲、宝殿の天滴であるが、上社と下社で七不思議が存在し、計11個が存在する。それと大晦日の大太鼓である。
諏訪インターで中央自動車道を降り、一旦、20号線を北上すると飯島の交差点に出る、それを左折して183号線に入り、宮川を渡り中央自動車道を潜った先が、神宮寺交差点になる。この交差点を右折し、次の交差点を左折すると正面に諏訪大社 上社本宮がある。
「一旦、上社本宮 一之宮に詣でてから車で152号線に行く、山道だが、それを上って行った先に物部守屋神社がある。そこが、目的地だよ」と優介が言うと
「単純に諏訪大社に居るんじゃないんだ。優介、本、書いたら? 題名は、【神様は、此処に居る】ってな感じで。貧乏から抜け出せるかもよ~ぉ~」言いながら ケラケラと笑っている。
「神様も一ヶ所にじっとしてないから無理だよ、いまは、物部守屋神社が一番近いけど次は、解らない。兄貴だと日本中の神様の現在位置が解る様だけど、俺は、近辺まで行って何処に居るかが解る程度だよ」
「すごいね、御兄さん、だけど優介もすごいよ、」
「数字になおすと多分、兄貴と俺の差は、桁が、3つも4つも違うんだ」
「え〜、そんなに違うんだ。優しそうな御兄さんなのに・・・」
「さぁ着いたよ」
俺達は、車を駐車場に入れ、参拝を済ませた。其の後、再び、車で 152号線をぐねぐねと登り、杖突峠を越え古屋敷に着いた。車を物部守屋神社の石積された脇に止めてトランクからディバッグと折り畳みのスコップを持ち、10段程の階段を上がって鳥居を潜った。優子を気遣いながら雪と氷で滑る階段を上り、拝殿に辿り着き、その脇を回ってまた、階段を上って本殿に辿り着くと
「大丈夫?」と優介が聞くと
「着いた?」優子が、はぁはぁと息をきらせながら聞いてきたので
「もう一寸先、ここからは、階段も何もないからこのスコップで雪を掻いてくるよ。一寸、休憩してて良いよ」と言うと、
「ありがと、一寸、休憩させてね、ごめんね」
「気にするな、これでも飲んでそこにいときなよ」と言い、上着からコーヒーを差し出した。
優介は、本殿脇の斜面の雪を階段状にしながらどけ始めた。
時々、タバコを吸いながら休憩して優子を見下ろすと 優子は、階段下をぼんやりと眺めていた。
ようやく御上燈に辿り着くとその右横を平らにしてデイバッグから防水シートを抜き取り、それを敷いた。
「出来たよ」優介は、上から優子に声を掛けた。
優子は、「ありがと、今晩、マッサージしてあげるね」言い、今しがた完成した歪な階段を四つん這いに成りながら登って来た。




