第八話 開戦二日目早朝 『骸骨軍』
早朝、日の昇る頃。俺は目を覚ました。
「MPの急激な消耗は体に負担がかかるみたいだな。どんな魔力を使ってるんだろうか」
MPが何か気になるが体がだるい。動く気力も起きない。もしや精神的なエネルギー?
「休んでいるわけにもいかない、起きよう」
疲れのせいか淡々とした口調で独り言をつぶやく。
取りあえずディアボロに朝食を頼み、庭に向かう。
「バアル、メル。起きてるか?」
「はい、メルはまだ魔力の消費がひどく休んでいます」
バアルがメルについて報告する。
「そうか、ならバアル。これから昨日創造したスケルトン達の性能を確かめたいから手伝ってくれ」
「わかりました。軽い模擬戦で宜しいですか?」
「それで頼む。無論手加減もしてくれ」
先ずは騎士型の鎧の幽霊っぽいのから鑑定する。
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種族 :リビングアーマー
従属 :佐渡 誠
レベル :0
能力値 ▽
HP 300 MP 70
筋力 55 魔力 18
体力 30 知力 20
俊敏 28 精神 22
器用 10 運 41
スキル ▽
『剣術』『槍術』『盾術』『闇魔法』
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まずリビングアーマーがバアルに切りかかる。剣は死ぬ前に使用していたものだ。バアルはそれをかわし背中に回り込んでそこから首筋に手刀を寸止めし終了。
バアルとの模擬戦だと強いのか強くないのか良く分からないな。でも全体的に一般兵のステータスより高いんだし強いんだよな。人数は500名だ。何人かの魂を合わせて創造したので数は少ない。ちなみに運は個々でかなり差がある。おそらくだが100を最大として変化しているのだろう。そしたら俺の運って……。悲しくなってきたので幸運の女神に文句を言う事を決意してスケルトンの方を鑑定してみる。
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種族 :軍団骸骨 二等兵
隷属 :佐渡 誠
レベル :0
能力値 ▽
HP 150 MP 12
筋力 18 魔力 6
体力 ∞ 知力 12
俊敏 22
器用 18
スキル ▽
『剣術』『槍術』『盾術』
称号 ▽
『二等兵』
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開始早々バアルに頭をつかまれて終了。
弱い。多分普通のスケルトンと変わらない。多少は知力が高いが…、まぁ階級が上がれば何とかなるだろう。けれども種族名は面白い。二等兵か、階級はどうやって上がるのだろうか。称号がある。これは珍しい。
後はスキルのレベルだがばらついている。5~7だ。リビングアーマーの方は大抵が8だ。多分リビングアーマーは元となった人の何人かのスキルを併合したんだろう。軍団骸骨はそのまま元となった兵士のスキルレベルだろう。人数は約3000名だ。意外と多い。数え方は人で良いんだよな? 日本の戦国時代にはほとんど兵は死ななかったと習ったけどこっちは違うのか。
スキルだが何人か違うスキルを持っているのもいた。おそらく生きていた頃のスキルが残ったのだろう。
こんな考察をしている間にバアルは二等兵の十人目を組み伏せた。バアル無双。軍団骸骨は数で押すものとして考えておいて今後に期待しよう。
軍団骸骨の確認も終わり魔法の修行に入る。昨日の戦闘の戦略魔法で気づいたが、魔法を使う際に魔力っぽい物が見えた。それを常に見れるように練習してみようと思う。
とりあえず目に力を込めるような感じで周りを見る。森の方は相変わらず黒い霧が出ている。どうやらそれも魔力をまとっているようで黒い魔力を感じる。バアルを見ると物凄い量の魔力が見えるのかと思いきやほとんど魔力が見えない。なぜだ?
「バアル、お前の体から魔力が見えないんだがどうやっているんだ?」
悪魔の秘術とかだったら習得は諦めるが魔力を隠すのぐらい人間でもできるだろうと思い質問する。
「ご主人様は魔力が見えるんですか?」
「ああ、俺の目は魔眼だからだと思うんだが、それよりも魔力が見えないのはどうしてだ?」
「体を流れる魔力を操作して外に漏れないようにしているのです。中級以上の悪魔なら常識です」
魔力が見える所に驚いたようだが気になる所なので話をせかす。
「中級以上の悪魔となると魔力もそれなりに多くなりますので魔力を感知されやすいんですよ。サキュバスも魔力的には感知される量の魔力を持っていますが所詮淫魔、完璧には隠せていませんね」
バアルってサキュバスになんか恨みでもあんのかな? やけに評価が厳しいが。
「なら俺にも出来るのか? というかバアルの魔力量でばれるのなら俺なんてとっくにばれてない?」
「大丈夫です。普段は私が魔力遮断の結界を張っていますのでばれていないでしょう」
バアル、やっぱり良い執事だ。
「じゃあ俺も魔力の操作をやってみるよ」
早速自分の腕の魔力を見てみると、まるで血が流れる様に肩から指先まで魔力と思わしきものが流れて行く。だが少し腕からはみ出てしまう魔力もある。おそらくこれが外から見れる魔力だろう。取りあえずそれを腕の中を流れるように動かしていく。
十数分後
入りきらない。腕の魔力の流れをそろえようとすると他の場所から魔力があふれてしまう。これは体に魔力が入りきれていない。ならば体にある魔力の絶対量を抑えればよい良いんじゃないか?
魔力の流れをさかのぼって行くと心臓の反対側、右胸から魔力が流れていた。試行錯誤しながらも右胸から少し力を抜くと、流れ出る魔力の量を減らしていく事が出来た。体の中にあった無駄な魔力が無くなりすべての魔力を体の内側に収める事が出来た。
…ん? なんか、なんていうか言葉にできないが体の芯が温かいような感じがする。
ポーン スキル『魔力操作』を得ました。
ポーン スキル『魔闘術』を得ました。
無事スキルにもなったようだ。多分体が温かいのは魔力で身体強化をしているんだと推測する。余った魔力で身体強化できるのは省エネだな。
「ご主人様ぁ、完璧です。さすが私のご主人様です。魔力が欠片も漏れていません。それにそれは魔闘術ですか?」
メルも褒めてくれる。いやー照れるぜ。…ん? メル?
「起きたのかメル。体は大丈夫か?」
「はい、もう大丈夫です。ご主人様の使い魔ですから」
なぜおれの使い魔なら大丈夫なのか分からないが取りあえず大丈夫らしい。
「他のサキュバスも大丈夫か? それとバアルはどこに?」
「みんな大丈夫だそうです。今夜も行けると思います。バアルさんは先に戦場へ向かっています。」
よし、じゃあ戦場に行くか。今日は魔法使いの死体が欲しいな。
そんな感じでのんびり戦場に向かったらもう戦闘は始まっていた。
バアルが説明をしてくれる。このために先に行ったんだな。これぞ完璧な執事。
「まず今日から傭兵が戦闘に参加します。冒険者達もクエストとして参戦するそうです」
「気になったんだが傭兵や冒険者を捕虜にした場合どうするんだ?」
「冒険者の場合はギルド側に先に捕虜の釈放金を渡して置きつかまった場合ギルドに支払って貰う事が多いです。傭兵は仲間に大抵非戦闘員が居るのでその者達が同じような流れで釈放金を持って行きますね」
そうなのか、捕虜を魔法の実験に使いたかったんだがどうしようか。俺の考え方も魔物っぽくなってきたな~。
「肝心の流れですが最初は互いにぶつかり合い、またメルスタが地獄の炎で歩兵を押し込もうとしましたが傭兵の魔法使いに優秀な物がいた様で威力が軽減されていました」
「そんなに魔法の腕がいいのが居るとインプだとばれるかな?」
「そうだろうと思い私とディアボロで数名の魔法使いを不自然でない様に暗殺しておきました」
「良くやったバアル。ディアボロにも後で何か褒美を与えよう」
悪魔だし捕虜から数名生贄にするか。
「で、今は一進一退を繰り返してるってところか」
「ご主人様。お茶をどうぞ」
「ん、ありがとう」
今日は紅茶っぽい飲み物か。家事の出来るサキュバス、イコール完璧な奥さんだと!?
「そういや傭兵とかって勝つ方にしか雇われないと思うんだが見てみると両国とも同じぐらいの傭兵がいるが何故だ?」
「この国に詳しくないのでわかりませんがおそらくこの二国の戦闘は珍しい事ではないのでしょう。そしていつもの戦闘では勝敗が付かずに終わる事から良い仕事だと思ったのではないですか?」
「そうなのか、説明ありがとう」
にしてもメルスタの兵士の士気が高いな。秘密兵器でもあるんだろうか? いや、秘密魔法? まぁこれに気付くのは上から見てる俺達くらうだろうけど。
そう言えばエルフの方はどうなったんだろう。
「バアル、そういえばダークエルフの里の場所分かったか?」
「報告がまだでしたがエルフの里、ダークエルフの里は発見しました。両里ともに戦闘の準備をしていました」
「参考にだがエルフの里とダークエルフの里が戦ったらどちらが勝つと思う?」
「おそらく微かな差でダークエルフの里でしょう。微かな差なので言いきれませんが」
「なぜそう思う?」
「はい、ダークエルフの里ダークエルフは戦闘能力、士気が高く手練れです。私にも数人で挑まれれば時間がかかります。ですがエルフの里のエルフは人間と比べたらそれなりの技量なのですがダークエルフに対するには若干力不足です。ですが人数はエルフが多いので接戦となるでしょう」
「そうか」
エルフとダークエルフが戦っているところを強襲するのが一番楽だがそれで恨みをかったり美人が死ぬのはもったいない。やはり説得に行こう。それが楽そうだ。
そうと決まったら今夜はダークエルフの里へ行こう。
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なるべく登場させます。こちらの問題で部分的に変更等する場合もありますが。それでも構わないと言う方、お願いします。