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月明かりの下で
月明かりが森全体を淡く照らす、静かな夜。
一つの影が、音もなく月光の帯を横切った。
その影は、大きな熊の頭の上へと音もなく降り立つ。
「ゴロスケ君、こんばんは」
クマ蔵は身動き一つせずに、ゆっくりと言った。
「こんばんは」
ゴロスケも、クマ蔵の頭の上でぴたりと止まり、身動きせずに答える。
二人はそのまま、月を眺め続けた。
丸い、丸い、月。
淡い光が、森の木々を優しく縁取っている。
「疲れました」
ゴロスケが、そっと呟く。
「……うん。どうしたの?」
クマ蔵は動かず、静かに返す。
月明かりは変わらず二人を照らし続け、夜の空気を柔らかく満たす。
「わかりません。ただ、なんとなく疲れました」
ゴロスケの声は小さく、風に溶けそうなほど。
「……うん」
クマ蔵もまた、小さく呟くだけ。
言葉は少ないまま、二人は月を見上げ続ける。




