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帝国と内通していた貴族は罪に応じた罰を受けました。第2王子は病死し、この件は解決したのです。
今回の功績に対して、国王陛下がなんでも褒美をくださるそうです。太っ腹です・・実物はマッチョですけどね。
「そなたは何を望む。」
「おそれながら陛下、アードル殿下への求婚の権利をくださいませ。」
「婚約でなく求婚か?」
「はい陛下、わたくしはアードル殿下を自らの力で振り向かせて見せます!」
「はっはっはっ・・・おもしろい、おもしろいぞ、そなたは最高におもしろい。」
陛下は大笑いし、宰相は下を向いて肩を震わせています。
そして殿下は何とも言えない表情をしています。
きっと私では、ご不満なのでしょう。けれど頑張ります。私のすべて・・胸はあまり自信がないので、主に財力を使って殿下を篭絡して見せますとも。
あれ・・
「そうか、篭絡するのか・・・」
陛下が耐え切れず下を向き、宰相も声に出して笑っています。
私の思いは口から洩れていたようです。
「あいわかった、そなたとアードルの結婚を認めよう。」
あれ、なぜそうなるの・・
「フィルスリィーナ」
いつの間にか殿下がそばに来ていました。
「フィルスリィーナ、私はこのたび公爵となり海辺に領地を賜った。君も一緒に来てくれないか?」
え、このタイミングで旅行のお誘いですか、海辺という事はお魚いっぱいですか・・
「行きます。連れて行ってくださいませ。」
「ありがとう、フィルスリィーナ」
殿下が微笑んでいます。やはりイケメン、なんという破壊力・・鼻血が出そうです。
「新鮮なアワビやイカ、楽しみです。旅行の日取りが決まりましたら教えてくださいませ。わたくしは何時でも構いませんわ。」
「フィルスリィーナ?」
あれ、私は何か間違えたようです。
これまでのことを整理してみましょう。
殿下に求婚する。陛下に結婚を認められる。殿下に領地に誘われる。
つまり、殿下に求婚されて・・・
「訂正いたしますわ殿下、これはそのですね・・ちがいます・・あ、訂正しないです。あうあ・・・・殿下大好きです!」
混乱した私はそうのたまった。
周囲の近衛騎士まで肩を震わせ、必死に笑いをこらえています。
「フィルスリィーナ、遠回しな表現では伝わらないのだったな。」
真剣な顔をして殿下は、「私の妻になってくれるか。」
「はい、アードル殿下」
その後2人は、末永く波乱万丈にすごしましたとさ、めでたしめでたし