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黒のヴァージンロード  作者: テオ
最終章『Virgin Road』
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エピローグ「I love you」

いつかと同じように、

私はフレデと一緒に屋根の上にいた。

頭上には鮮やかな満月を中心に、

空を彩る数えきれない星たち。

眼前にはいっぱいに広がる王都の街並み。

遠くは暗いけれど、

夜だというのに王都はこんなにも明るく眩い。


「いつ見ても綺麗だね」


「そうだね」


体質が変わったからあまり寒さを感じなくなったけれど、

それでも私は温もりを求めるように

フレデに寄り添って立っていた。

2人で並んで煌めきを見つめる。


「ねえ、フレデ」


私が背の高い彼を見上げる。

彼は「うん?」と私を見つめた。


「私で良かったの?」


フレデは本当はティア様のことが

好きだったんじゃないだろうか。

だからこの人は、

あの人が生まれ育った

この王都で暮らすことを選んだ……そんな気がする。


「違うよ」


彼は私を包み込むように抱きしめる。


「君じゃなきゃ嫌なんだ」


その真摯な言葉に私は安心をする。


「……ありがとう」


私は彼に誓った。

ずっと一緒にいると。

今度こそ、必ずその誓いを守ってみせる。


「もう、寂しくないよ」


いつも感じていた寂しさ。

どれだけ傍にたくさんの人がいても、

自分は世界に一人ぼっちなんじゃないかって。

いつだってそんな寂寥感が、

私の胸を締め付けていた。


でももう大丈夫。

私は本当の温もりを手に入れたから。


「これからは悲しくないさ」


彼が耳元で呟く。

この人も悠久の時の中で、

いつだって寂しさを抱えていたんだ。

そんな長い時の中で、

私と巡り合い、

そして私と共にありたいと願ってくれた。

こんなに嬉しいことは

世界のどこを探したって他にはにない。


これからきっと、

たくさんの大変なことが待っていると思う。

でもそれ以上に、

これから彼と過ごす日々は

とても楽しいものだって私は知っている。


だから胸を張って生きよう、

この寂しがり屋なヴァンパイアと一緒に。


「フレデ」


愛おしい人の名前を呼ぶ。

彼に顔を寄せて呟く。


「大好きだよ」


彼は微笑む。


「俺も君を愛している」


私たちの間にあった距離がなくなる。

そして


――私たちは未来へキスをした。



~Fin~

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。

2か月という連載期間でしたが、応援して頂け方々には改めて感謝を。

恋愛×ファンタジーをテーマに、

初めて「女性向け」という分野に挑戦した作品でしたが、

いかがでしたでしょうか?

「読んでくれた人が温かい気持ちになれるように」とのことで

静かで優しいハッピーエンドの物語にしたつもりではあります。

なにぶん初めてなものなので手探りの中での連載でした。

まだまだ至らぬ部分ばかりですが、

今後の作品に活かせられたらなと思います。

彼女たちの物語の続きを描く機会はないかもしれませんが、

みなさんの想像の中だけでも、幸せに続く物語を想って頂ければ幸いです。


もし少しでも楽しんでもらえたなら、

一言でも感想なりを書いてもらえると次へのモチベーションに繋がりますので

ぜひともよろしくお願いしたく思います、はい。


最終稿にあわせて全て修正してしまったので、

連載にあわせて読んでくれた方々が「あれ?」ってなるところを最後に書いておきます。

・聖女の末裔の設定に「瞳の輝きの強さが、末裔としての力のバロメーターとなる」を追加。

・ミミの在籍する学院名をローゼ学院からエアリア学院に変更(女神の名前とややこしくなったので)

・女神の騎士エリアスという設定の削除(1回しか記述もなく、特に物語に関係ないので)

・ガロの口調の変更(セレスタ=ロッサと完全に被ったため)

・美容液の原料となる木の実の名前をゲッカ変更(アエリアスだと学院名と混同してしまうため)

・その他微調整(設定は大きく変わっていません)

・フランクの肩書から『王宮付監査官』を削除して、ロイヤルガードの騎士団長のみに(同じ意味とて書いていたもののややこしいので)

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