【第11話】3人のアフロ
「それにしても、お前、速いな」神様は隣の宇宙人を見た。
「はい。基本的にメーバム星人は速いんですが、中でも俺が1番速いんですよ!」自信満々に宇宙人は答えた。
「んー。なんか、お前危ないな。えい」神様は宇宙人に向けて指をパチンと鳴らした。
何かしたように見えたが、宇宙人は何の変化も感じない。「え、何かしたんですか?」彼は自分の頭を触りながら聞いた。
「遅くした」
「え」
「どれだけ速く動こうとしても、地球人と同じくらいにした」
「いやいやいや」宇宙人は苦笑いしながら、腕を組み神様を見た。しかし、神様は真顔のままで何も言わない。
「マジで!?」そう言うと宇宙人はカッパのこぶしを開きに行った。「ふはは!遅い!遅すぎるわ!」カッパの手をまた寿司職人の形にしようとするが、宇宙人はカッパに腕を捕まれた。そしてカッパは静かに首を横に振った。
「うわああああ!これじゃあただの耳の大きい人だー!」宇宙人は叫んだ。
「まぁ、危険だから。この星であのスピードは危険だから。で、お前達、あの子の事を好きだとか言っていたが、2人ともあの子の事何も知らないんじゃないのか?」
「そういえば、名前も知らないなぁ」宇宙人はスンとした。
「立ち直りはや」カッパはツッコむ。
「今はあの子の事で胸がいっぱいだからね」親指を立てながら宇宙人は言った。
「胸がいっぱいになるのは、もっとあの子の事を知ってからでもいいんじゃないのか?」神様は宇宙人にそう言うと、カッパにも向けて続けた。「それに、愛はお互いが気持ちを通じ合わせないと芽生えないんだぞ」
「そうですよね・・・」カッパはそう呟くと茜の元へ歩いて行った。「僕、カッパって言います。君、名前は何ていうの?」
「茜です」
「好きです」
「集合」神様はカッパを手招きして呼んだ。「お前バカか?名前だけ聞いて好きとかおかしいだろ!何やってんだよ!」
「俺が行きますよ」そう言って宇宙人は茜に向かって歩いた。「茜ちゃん。俺、アレムっていいます。この髪型とアフロどっちが好き?」
「え、まぁ、こっちかな」
「だよね。好きです」
「んえい!」神様は宇宙人の頭に向けて杖を振った。宇宙人の頭は光り、髪型がアフロになった。宇宙人はしょんぼりし、カッパは宇宙人の背中をポンポンと叩いた。
その隙に神様は茜に少し近付き声をかけた。
「茜ちゃん。何か願い事ない?神様に出来る事なら1つ叶えてあげるよ」
「ちょっと!」宇宙人とカッパは驚き声をあげる。「なんで俺達の願いには頭が痛くなるからやめてとか言っといて、茜ちゃんの願いは叶えようとしてるんですか!」宇宙人は続けた。
「いや・・・あの・・・好きだわ」神様はボソッと言った。「ワシも茜ちゃん好き・・・うん。好きだな。やっぱ好きだわ」
「えー!」宇宙人とカッパは叫ぶ。「神様がそんな事言い出したら僕達に勝ち目無いじゃないですか!」
カッパは神様に詰め寄っていく。宇宙人も少し遅れてカッパの後ろから抗議に行った。
「まぁ、そうなるけども。そしたら争いも無くなるしいいじゃないか」神様は両手を軽く前に出して2人をなだめようとした。
「いいわけあるか!後から出てきて、俺達をアフロに変えて、挙句に茜ちゃんまで奪おうってか!?バカ!バ神様だよ!」宇宙人は言う。
「ほっほっ!なんとでも言うがいい!ワシはなんてったって神さ・・・」ここまで喋った時にパンッ!と軽い音が鳴った。カッパが軽く神様をビンタしたのだ。
宇宙人も無言で神様の横に立ち、神様の太ももに膝を入れる。それを無表情で何度も繰り返した。
「え、痛。ちょっ・・・え。痛いから。そこは痛い所だから。え、落ち着いて?な?ごめん。すみません」神様が謝ると、宇宙人はスッと膝を止めた。
「よし、もう好きとか言うのなしですよ」宇宙人はそう神様に言って茜の元へ向かった。カッパもついて行く。「あの・・・彼氏さんとかいるの?」宇宙人は茜に聞く。
「・・・いません」
それを聞いた2人は小さくガッツポーズをした。
「でも、好きな人はいます」
それを聞いた2人はしょんぼりした。
「告白はしないのか?」神様は太ももをさすりながら茜に聞いた。
「・・・はい」
「どうして?君みたいに可愛い子なら告白は成功するだろう」茜たちの方へ歩きながら神様は言った。
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