【第10話】カッパ達、神様に願い事
「わかればいい」神様はうんうんと頷いた。「ところで、お前達はこんな所で何をしているんだ。こんなボロい部屋で」
「私は友達と遊びに来てたんですがはぐれてしまって。迷子になってるうちに雨が降ってきたので、雨宿りでここに」と茜。
「俺はメーバム星から来たのですが、俺も道がよくわからなくてここに」宇宙人は頭をポリポリと掻いた。
「ここに住んでます」カッパが続いた。
「お前、こんな所に住んでるのか」神様は目を少し大きく開いた。
「はい。まぁたまに来るぐらいでずっと住んでる訳じゃないんですけど」カッパは言う。
「メーバム星人にカッパに、地球人か。ほう」神様は3人を順番に見ながら言った。
「え、ちょっと待って下さい!この2人はやっぱり地球人じゃないんですか!?」茜は1歩前に出て神様に聞いた。
「ん?当たり前だろう。ウソを言ってどうする」神様は眉間にシワを寄せる。
「カッパも宇宙人も本当にいたんだ・・・」
「なんだ、宇宙には地球人しかいないとでも思ってたのか?」
「そういう事ではないですけど、地球では、宇宙人もカッパも存在が曖昧だったんです」
「曖昧?」神様は聞いた。
「伝説とか、未確認とかそういう事だよね」宇宙人が補足する。
「はい」茜は頷く。
「地球人は知能が発達していると聞いていたが、同じ星に住む生物すらも把握できていないのか」
「僕達は臆病な種族なので、地球人が来ないような所で生活していましたから、気付かれないのも当たり前なんですけどね」カッパは言う。
「俺の星の機関も、偵察機を飛ばす時は見つからない事と、何も証拠を残さない事が最優先事項だと言ってましたね」
「なるほど。みんながうまくやっていたという事か」神様は3人を見ながらヒゲを触った。
「はい。でもそれも数年前までで・・・」宇宙人は俯き加減で言う。
「僕達2人とも、ひとりぼっちになってしまって、もう子孫を残せない状態なんです」カッパは宇宙人を見ながら言った。
「そうなの?」茜はカッパと宇宙人を見る。
「そうなの・・・。可哀相でしょ?あ!そうだ!神様、俺達に恋人作って下さい!カッパとメーバム星人1人ずつくらい簡単でしょ?」
「頭痛い!頭痛い!願い事やめて!」左手でこめかみ辺りを押さえながら神様は言う。「てか、自然に生まれる命と、自然に消えていく命の運命を変えてはいけないってルールがあるんだよ。勝手に命を増やしたり減らしたりは出来ない。だから無理」
「そんなー!」カッパと宇宙人は神様に詰め寄り、神御衣を引っ張ってすがった。
「それと、欲張りな願いとか、悪だくみな願いも無理ね」神様は膝立ちになっている2人を見下ろしながら言った。
「あ、じゃあ、あの子を俺の恋人にして下さい」宇宙人は左手で茜の方を示しながら言った。「一目惚れちゃったんです」
「お前ずるいぞ!僕だってあの子の事好きなんだから!」カッパも必死に訴える。
「お前の気持ちなんかより、俺の気持ちの方がはるかに大きいから!」宇宙人は立ち上がって言った。
「はあ!?」とい言いながらカッパも立ち上がる。「意味わかんないんですけどぉ!どうやって測ったんですかぁ!?」
「うるせぇよ!自分の姿を鏡で見てから言えよ、このアフロ緑野郎!」
「なんだと!頭にきたぞー!」カッパは宇宙人に殴りかかった。しかし、宇宙人にはスローモーションに見える程度のパンチだった。
「ふはは!遅い!遅すぎるわ!俺が速いという事を忘れたか!こうしてやる!」宇宙人は、殴りかかってくるカッパのコブシを開き、右手の人差し指と中指を左手の全体で包むような寿司を握る手の形に変えた。
殴りかかっていたはずのカッパが自分の違和感に気付き動きを止めた。「あれ?」そう言って、自分の手を見てみる。「ん?へいお待ち!これが本当のカッ〇寿司!バカヤロ―!」
渾身のノリツッコミを見せたカッパを見て、宇宙人と神様は親指を立ててほほ笑んだ。茜は少し遠くから見守っていた。
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