(3)オマケ
どうにか泣き止んだ青川と一緒にチョコレートを食べていると、
「あれ?うまくいったんだねぇ」
と、桃山が暢気な口調で言いながら休憩室に入ってきた。
「何しに来たんだよ?」
底冷えするほど低い声を投げかけるが、この男の歩みは止まることは無い。
「同期で友人の黒瀬の恋の行方が心配になってね」
「絶対嘘だろ。心配じゃなくて、面白がっているくせに」
俺の鋭い睨みに怯むことなく、目の前までやってきた桃山はヘラリと笑う。
「嘘じゃないって。ちゃんと心配してるって。……確かに半分は面白がっているけど」
「やっぱり面白がってるじゃねぇか!」
吐き捨てるように呟いた俺の言葉に、桃山がニヤッと片頬を上げた。
「青川さんからチョコをもらった奴は、残業させまくるんだよな?……で、チョコをもらった黒瀬君、どうするのかなぁ?」
俺は隣に立っていた青川をグッと抱きしめて、強く胸に仕舞い込む。
「残業なんかするか、馬鹿。仕事終わりは毎日デートだよ」
得意げに告げる俺と、盛大に顔を赤らめている青川を見て、桃山はアハハと声を上げて笑う。
「そう言うと思ったよ。ま、お二人さん、お幸せにね」
桃山はヒラヒラと手を振って去ってゆく。
「ふん、言われるまでもなく俺は幸せだし、青川を幸せにしてやるさ」
この言葉に、青川はこれ以上ないほど真っ赤になったのだった。




