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第12話 退場
ゲートは開いた。
それは、ワームホールと言う、異なる宇宙や事象を繋ぐ時空のトンネル。
時空構造の位相幾何学として考えられる存在。
それが、瞬間的に車が通過可能なまでに拡大され、「ルナ」を通したと当時に、扉は閉じた。
エレナは別の世界へ一瞬だけ繋がった、並行世界に存在する異世界へのトンネルを抜けた。
異なる宇宙に存在する並行世界。
エレナは今、異なる宇宙に存在する、並行世界への「片道旅行」をした、ただ一人の人間となった。
エレナとAILを乗せたルナが駆け抜けた滑走路。
ルナは眩しいばかりの光に包まれ、滑走路に二本の炎の筋を残して消えた。
そして、トンネルを抜けた先に再び、眩しいばかりの閃光と轟音と共に、ルナは現れた。
ルナは小高い山の上の神社の鳥居を抜け、町に向かって伸びる一筋の一本道を降りて行くのだった。