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第五話 双子への試練!
全日本大学駅伝、
関東地区予選会の第三組。
城西拓翼大学の双子ランナー
蓮太と修太は、
人生でかつてないほどの緊張で
いっぱいになっていた。
そのせいか、二人とも
スタート前から汗がとまらず、
砂漠にいるかのように
激しく喉が渇く。
周りの歓声もよく聞こえない。
二人の視界は、
もはや真っ白であった。
第五話 双子への試練!
三千メートル地点、
先頭集団に食らいついていた
蓮太であったが、
徐々に遅れ始める。
蓮太の不調と連動するように、
修太もキツい表情をし始めた。
不思議なことに、
年の離れた兄弟に比べ、
双子というものは良くも悪くも、
片方の好不調がもう片方のそれに
影響を与えやすいとされている。
修太も先頭集団から
後方へ下がり始めたとき、
左足に激痛が走った。
「踏まれた!」そう思った瞬間に、
足が走ることを拒絶し、
その場に倒れ込んだ。