第二部 最終話 その限界(くやしさ)を打ち破れ!
箱根駅伝、復路十区。
最後のランナーがゴールテープを切り、
今年の箱根駅伝が終了した。
城西拓翼大学は、今回の棄権で
あまりにもショックを受けた選手多いと言う理由で
報告会の中止も検討されたが、
竹村の申し出により、四年生のみが
報告会に出ることとなった。
竹村たち四年生は、
関係者やファンに対して
棄権した石川涼介のことを
責めないでほしいと
何度も何度も頭を下げた。
また、メディアや他の陸上関係者らも、
事情を察し、石川涼介の棄権については、
あまり触れないように配慮をしてくれた。
そして、竹村たち四年生は、
惜しまれながらも大学駅伝を引退し、
それぞれ新たな人生を駆け出した。
第二部 最終話 その限界を打ち破れ!
一月五日、早朝。
城西拓翼大学陸上競技場にて。
朝練前にも関わらず、
五人の人影が並んでジョグを
繰り返していた。
石川涼介を筆頭に、
蒼太、レン、シュウ、圭佑が
無言でそれについて行く。
皆、気持ちは一緒だった。
辛いことも嬉しいことも
分かち合ってきたからこそ、
言葉はいらなかった。
そして、トラックの外からは、
三人の一年生が『悲劇の世代』の背中を
見据えていた。
その三人の隣には、
城西拓翼大学駅伝部のコーチ兼二軍監督
濱上順平が立っている。
「見ろ。『悲劇の世代』は
来年の箱根に向けてもう走り出してるぞ。
アイツらのように、限界を感じても、
それを悔しさに変えて、
打ち破れるようにならねーとな。」
三人は、「はい。」と答え小さく頷く。
「順平コーチ。俺らもジョグいってきます。
もう二度と、涼介さんたちのことを
『悲劇の世代』と呼ばせないっスから。」
そう言うとすぐにトラックに駆け出した。
年明けと共に、城西拓翼大学駅伝部に、
颯爽とした新しい風が生まれようとしていた。




