第7話
美紀さんに、抱きしめられた私は、さっきからドキドキして、困惑していた。
今まで、こんな事はされなかったのに、何故こんな事をするのか、分からない。
それに、今日の美紀さんは何だかいつもと違う気がする。
「フフフ♪雪、これで逃げられないよ。」
「…逃げてない。」
「さっき、ボクから離れたよね?」
…何だろう…まるで、恋人か婦婦のやりとりみたいだ。
いや、みたいじゃなくて婦婦だけど…。
それと、何で私は抵抗する気がないんだろう?
よく分からない…。
黙ったまま色々考えていたら、また耳に息を吹きかけられた。
「…んっ」
油断して、声がもれてしまい…また、びくっとなってしまった。
「雪、話してくれないのかな?」
「い…言うから」
そうして、私は話し始めた。
好きだった人とその想い人の二人が、同じクラスで毎日のように無自覚にイチャついていて、それを嫌でも見る事になっている事。
初めから、叶わない恋だから諦める事にしていて、美紀さんと結婚したし、この機会に完全に吹っ切る事にしたけど、学校に行くとイチャつく姿を見たりするので辛い事。
そして一昨日、何故かそんな二人から恋愛相談をされて、二人が両思いだと分かるように、遠回しに教えてやっと二人が恋人になった事。
その際、二人から今後も何かあったら相談するからと言われ、連絡先も交換する事になったのだが、二人からノロケ話し的なメールや電話が頻繁に来たりする事。
…というような事を全て話した。
「これ以上、ノロケ話しとか聞きたくないし、メールとかも控えてほしいんだけど、どうしたらいいと思う?」
話し終えた私は、二人とのやりとりを思い出し、うんざり気味になっていた。
さすがに、事あるごとに頻繁にメールとか送ってきたりするのは止めてほしい。
相談とは、関係ない事を話して、ノロケられるのは色んな意味で辛いのだ。
「時間がたてば、落ち着くだろうから、それまで我慢するか…それとも、遠回しに控えてほしいとか言ってみたり、なるべく相談事以外の話しはしないように、それとなく誘導してみたらどうかな?」
そう言って、私の頭を優しく撫でてくれた。
「ありがとう。参考になったよ。美紀さんは、頼りになる夫だね。」
私は何故か、最後は付け足すような感じで、頼りになる夫と言ってしまった。
言ってしまってから、私はまた困惑した。
「頼りになる夫…か。嬉しいな♪もしかして、君はお飾りじゃなくて、本物になりたいの?そうだとしたら、ボクもそうなるように努力するよ。」
美紀さんは、そう言って私に笑いかけたのだった。




