閑話7
秋本先生が帰り、雪と二人っきりになった。
雪は、朝食を食べるようにすすめただけで、何も聞いたりしない。
ボクは、内心焦っていた。
何故か、雪には秋本先生との事を知られたくないと思った。
ボクが、食べずに黙ったままでいると…。
「話したくないのなら、別に話さなくてもいいよ。そもそも、私は特に知りたいとか思ってないし。美紀さん達が、どういう関係だろうと私は気にしないから。浮気してても、してなくてもどっちでもいいし。今が、楽しければそれでいいんだよ。…それに、今はそんな事より自分の事で精一杯だからね…。」
話さなくていいと言われてホッとした。
気にしないとか、知りたいとは思わないとか、どっちでもいいとか言われた時は、もう少しボクに興味を持って欲しいと思った。
今が、楽しければそれでいいと思って、そのままにしてほしくはなかった。
最後に、付け足すように言った事が気になってしまった。
「…雪、君はボクと離婚したいのかな?」
ボクは、気が付くとそう聞いてしまった。
「え?何で、今の話しで離婚したいのか聞くの?別に、そういう意味で言った訳じゃないからね?今の生活、けっこう気に入ってるしね。将来的にも、安泰だから美紀さんが私と離婚したくなるまでは、このままがいい。それに、私は離婚したいだとか思ってないし、そういう事を考えた事もなかったよ。」
そう言って、雪は優しく微笑んだ。
それを聞いたボクは、安心したと同時に、嬉しくて思わず、満面の笑みになった。
「そっか♪」
ボクは、食事を再開した。
朝食後、ボクは薬のおかげで二日酔いがだいぶましになっていたので、雪と話すために、リビングのソファーに隣り合って座った。
「それで、自分の事で精一杯というのは、どういう事かな?」
ボクは、さらに雪に近付く。
「…言いたくないって、言ったらどうする?」
「こうするよ。」
「え!?」
ボクは、雪をソファーに押し倒し至近距離で見つめ合った。
キスしようとすれば、すぐにでも出来る距離。
逃げないように、雪の両手を左手だけで雪の頭の上の方で押さえた。
雪の上に、覆い被さるようにして、抵抗しても無駄だと雪に理解させた。
雪は、赤面して顔をそらした。
耳に息を吹きかけると、雪はびくっと反応した。
声が、出ないように我慢したようだ。
「それで、どういう事かな?」
「い…言うから、こういうのは止めて…。」
「………」
…止めてと言われると、止めたくないな…。
だけど、話しが気になるので、押し倒す前のように座り直した。
雪も、赤くなったまま少しボクから離れた。
離れた事に、ムッとして雪を抱き寄せ、腕の中に閉じ込め捕まえた。




