第四章 成長 第四話 九尾の狐
第四章 成長 第四話 九尾の狐
昔、摂津の国(現在の大阪)に、紅葉見物していた安倍保名という心優しい、
お侍様がいました。私は、狐狩りから逃げていました。
そして、安倍保名様に膝の上に飛び乗りました。
暫くして、勢子(狩猟の際に、動物を追い出したり、誘導したりする人)が来て、
白い狐は来なかったか?と尋ねました。安倍保名様は、勢子の分際で、侍の幕内を覗くとは何事だ。
と言い幕内から私を逃してくれました。
そして、石川恒平という侍が来て、俺の狩りの邪魔をするとは何事だ!?と言い、
安倍保名様と争いになりました。
その結果、安倍保名様は、傷を負い、谷川に行きました。私は、娘に化け、
川で洗濯をしていました。
そして、安倍保名様が来て言いました。さっきの激しい争いで、傷が疼き、口も渇いたので、
水を求めて来ました。安倍保名様は大変な傷だったので、私の家に寄ってもらい治療をしました。
安倍保名様は、血生ぐさい武士よりも、この家で百姓をやりたい。俺の嫁になってくれないか。
と言われ、私達は、夫婦になりました。
そして、子供が出来、名前を、安倍晴明と名付けました。
ある日、私は、尻尾を隠すのを忘れ、家で居眠りをしていました。安倍晴明は、遊んで家に帰ると、
私の姿を見て驚きました。
私の姿を見られたからには、一緒にいることは出来ません。
私は信太の森で過ごすことにしました。
やがて、安倍晴明は一条天皇に仕え、暦や占い、天文学者になりました。
ある日、玉藻前という絶世の美女がいました。
中国やインドで悪行を重ねた後、平安末期の日本に渡来したとされる金色の九尾の狐です。
日本では、絶世の美女に化け、鳥羽上皇(または近衛天皇)の寵愛を受けて国を傾けようとしました。
体調を崩した天皇の病因を探るため、宮中の陰陽師たちが占いや祈祷を実施し、玉藻前が九尾の狐であることを見破りました。
正体を暴かれた九尾の狐は那須野(現在の栃木県那須高原)へと逃亡し、
最終的に武士たちによって討伐されました。
今、この九尾の封印が解かれようとしています。
安倍晴明の血を引く神代蒼也さんに、再度、封印して欲しいのです。
呪符は、この神社に保管されている安倍晴明が作った呪符を使って下さい。
神主さんに説明すれば、もらえるはずです。
蒼也は、神主さんに説明し、呪符を貰うと、九尾が眠る那須野の玉藻稲荷神社に向かった。
すると、神主さんから貰った呪符が光り出した。
そして、神社の奥に進むと、九尾が祀られている祠があった。
祠は、黒い煙に包まれていた。蒼也が進むと、黒い煙は、人間の形になった。黒い煙は言った。
我は、玉藻前、お前は誰だ。
我は、神代蒼也、安倍晴明の血を継ぐ者、今、お前の封印が解かれようとしている。
悪く思うな、再度、安らかに眠れ。
愚かな人間よ。何故、封印する?
人間は千年経っても変わらぬ
また争いを繰り返しているではないか?
我一人が争いに加わったところで大して変わらぬであろう。
蒼也が、早九字を切ると、黒い煙が小さくなった。
安心した瞬間、地面から白い腕が出てきて蒼也を地面に引きずり込もうとした。
危ないと思った時、白い狐が、腕を噛みついて、助けてくれた。
九尾の狐は言った。
「貴様如き小童に、我を封じこめられようとするとは舐められたものよ!
本気で殺してやる!覚悟しろ!
蒼也が吹き飛ばされる
暗い煙は、目が三つ、腕は四つ頭はふたつの化け物に変化した。
くっくっくっ...人間よ、我を本気にさせたことを後悔させてくれるわ!
...あっははは... 蒼也も、笑い出した。
いいね...いいよ...そうこなくちゃ...ここまで、来た甲斐があるよ...今まで、本気出したことがないから、どうなっても知らないよ...あはは!
ほざくな!小僧!
四本の腕が蒼也を捕まえる。
捕まえたぞ!小僧!
違うよ。
わざと、捕まったんだよ。
で?捕まえて、どうするの?
いでよ、我がしもべ達よ。こいつを捕まえよ!
今まで蒼也が捕まえた妖達が九尾を捕まえる。
九尾の狐は逃げれない。
分かった?捕まえるってこうやるんだよ。そして、蒼也は言った。
滅!
妖達が一斉に手飛び掛かり、怪物の腕をひきちがった。
斬!
怪物の身体が二つに分かれた。
蒼也は祠の前に護符を置いた。
護符は眩い光を放ち、安倍晴明の文字が宙に浮かび上がる。
九尾の悲鳴が響き、黒い煙は祠の中へ吸い込まれていった。
祠に信太でもらった護符を祠の中に置き、九尾のキツネを完全に封じ、玉藻稲荷神社の神主に説明した。
一件落着である。蒼也は、自宅に電話し、これから帰ると伝えた。
第四話了




