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凪先生と謎の男の子

でも、2人はやはり信じることなく笑い出した。

「有咲、大丈夫?有咲のお母さんは、ちゃんと生きてるよ。

死んだりしないよ。今日はクラブ休んで帰ったら?

なぎ先生には私たちの方から伝えておくからさ。

今日の有咲、絶対変だよ。」


本当は私だって信じたくない。

お母さんが卒業式前日に亡くなったこと。

でも、小学生になってしまった私には止める権限もなく、

ただ周りにこうやって発信することしか出来ない。


「おい、お前たち。今日はクラブに来ないのか?」

廊下に低い声が響き渡る。

やってきたのは、噂をしていた凪先生。

私たち3人の理科部の顧問の先生で実は私の兄。

歳が随分と離れているのは、私の兄はお父さんの連れ子だから。

私のお父さんとお母さんの間に生まれたのが私。

いわば、異母兄弟。

でも、学校では差別することなく接してきてくれるから、とてもありがたい。

唯一、類と菜月は凪先生が私の兄であることを知っている。

「凪先生、今日の有咲、とても変なんです。」

菜月は兄に言った。

「何が変なんだ?顔色も悪くないし、さっき遠くから見ていたが、

特に変わった様子もなかったぞ。一体、何が変なんだ?」

それを言われて、私を含め3人が口をつぐむ。

「お兄…」と私が言いかけた時、

「凪先生!やっと見つけた!あっちで私の質問に答えて?ねえ?早く。」

と突然、隣のクラスの子で藍澤美音子あいざわ みねこが私のお兄…いや凪先生を連れ去った。

藍澤さんは私の兄に恋心を抱いていた。それは結構この学年では有名だから。

他の学年にも私の兄のファンがいっぱいいて、「凪ファンクラブ」が勝手に作られているらしい。

「藍澤さん…恐るべし。」

類がボソッと一言。

結局あれから凪先生に会うこともなく、私は類と菜月に先に帰ることを伝え、

家路に向かった。

家に帰ると、お母さんとお父さんは少し目を丸くして言った。

「有咲、部活はどうしたの?」

お母さんに言えるわけがない、お母さんが死ぬなんて。

適当に調子が悪いから、部活しないで早退してきた、と伝えると、

「どこか具合悪いの?病院に行く?」

と逆に大げさになりそうだったので、寝れば治るから起こさないでくれ、と言って自分の部屋に駆け込み、鍵を閉めた。

すると、自分の部屋には私一人しかいないのに別の声がした。

「お母さんがいつ死ぬのか、なんで君は知っているのかな?」

私は何が起きているのか分からなかった。

急いで両手で耳を覆った。

「耳を塞いだって無駄だよ。後、目で追いかけても私は見えない。

私は君の心に話しているのだから。」

(じゃあ、何で私の心にあなたは話せるの?)

「どうしてだろうね。それより、僕の質問に答えて。

どうして、君はお母さんが卒業式の前日に死ぬことを知っているの?」

僕?男の子?

また、不安が襲う。

(言っても多分理解してもらえないよ。だから話さない。)

「僕は君のいうことは必ず信じる。約束するよ。」

(本当に?)

「本当だよ。だから話してもらえるかな。」

(分かった。)


続く






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