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はじまり

冷たい雨粒が傘をさしていない私に降り注ぐ。

周りは誰も私を気にも留めず、何も言わず、ただ横を歩き去っていく。

傘同士のすれ違う金属音がかすかに響く。


でも、ここは遊園地。

都会のど真ん中にある遊園地。そんな音もすぐにかき消される。

車の音、信号の音、人が話す声、電子パネルから聞こえる芸能人たちの声、そして子どもたちのはしゃぐ声。

当たり前の声や音で自分の声はすぐに消される。

私は自分の存在価値がどれくらいなのか知りたい、ただそれだけだ。

ただ、ひたすら前に前に足を踏み出して歩いていると、目の前に華やかしいとは、

とても言いにくい古ぼけたメリーゴーランドがあった。

都会にそんな古ぼけたメリーゴーランドが存在するとは思っていなく、周りを見渡すが、誰も乗っていない。

よく見ると、受付に黒い服を着た男性が1人いた。

話しかけてみると、

「珍しいね、ここにお客さんが来るなんて…。最近誰も来なくってね。」と、気兼ねなく話してきた。

何故誰も来ないのか聞いてみると、

「わしにもよく分からないんだよ。突然、パッタリと来なくなってね。

この古ぼけた内装だから、誰も薄気味悪くて来ないのかもしれないね。

わしは気に入っているぞ、この飴色に輝いた柱。

分かってくれる人は分かってくれると信じている。ところで、きみは、何しに来たのかな。」

ずっと、彼の話を聞いていたので本題をすっかり忘れてしまっていた。

実は、このメリーゴーランドにはいくつか都市伝説が存在していた。

でも、私はその都市伝説を実証しに来たわけではない。

ただ、存在価値を知りたい、それだけだ。

しばらく彼と立ち話をしていると、ずっと雨に打たれ過ぎたのが祟ったのか、

急な眩暈に襲われた。

彼は、その古ぼけたメリーゴーランドの遊具の一つで少し休んでいきなさいと言った。

私は彼に、あなたに迷惑をかけては申し訳ないから、自力で帰ると伝えようとしたときに、目の前が突然暗くなった。


次に目を覚ました時には実家にいた。


続く




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