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プロローグ 『終戦』
鐘が鳴り響く
戦いの終わりを告げる鐘が一度、二度、三度
その気味の悪い程透き通った音色は、一瞬にして国内全土を駆け巡った
始めにそれを聞いた時は、音の意味が理解出来なかった
あまりにも唐突だった
「終わった…のか?」
後ろで仰向けに倒れていた男がそう疑念を口にした時、俺はやっと音の意味を理解することが出来た
終戦
声に出すとその言葉の響きは、あまりにも空虚だった
「ははは…終わったんだ…やっと終わったんだ!俺は、俺は生き延びたんだ!」
そう言う男の身体は、返り血と自身の流した血で赤く染まっていた
後で手当てしてやらないとな
そう思いながら、俺は宙に浮かんでいた視線を前へと戻す
そこには、もう一人全身を赤く染めた男がうずくまっていた
「やっと終わったんだな…」
言いながら、俺は男の血だらけの顔へと目を凝らす
男は何も話さない
自身の運命を悟ったからだろうか
それとも話す力が残っていないだけなのだろうか
血まみれの顔から微かに覗く彼の皮膚は、日に焼けたような小麦色をしていた
「……お前で最後だ」
そう言って引き金を引く俺の手は、白色だった
ユグドラル歴0年
ユグドラル大陸統一
その時俺の周りに残っていたのは、幾千と積み重なった死体だけだった




