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捨てていく僕とちょっと不思議な彼女  作者: 七月たかなん


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3/3

普通じゃなかった1日 その3

 廊下に出ると、黒い人型が3つ倒れている。

 なにしたんだ転校生クンは。


 ◆


「タイミングが悪くて良い奴らだな、ホント!」


 教室に入り込んだこっちを見て、適当に撃ってきたんだろうけど、意外と近くまで飛んできたな。

 手荒になっても射線から外すため、襟元を掴んで後ろに投げた。とはいえ、まぁまぁの音を上げながら机とイスにぶつかっている。

 まぁ、諦めてくれ、ちょっとした怪我ぐらいは。

 放り投げた結果は見ず、廊下に躍り出る。

 敵とお互いに目標が明確になる。眼の前の人物が、障害。倒せと。


 階段を降りきった者が1人、降りてくる者が2人。

 フルフェイスのせいで相手の視線はうかがえないが、教室奥に押し込まれた標的と視線の先に現れた障害なら、こちらに視線は惹きつけられてるだろう。

 それでも、あえてこちらを見ていないというような、ヘルメットの方向を見せている者も居る。陽動だ、と思い込むことにする。違っても気にしない。どちらであれ、制圧しないわけにはいかないのだから。

 視線を逸らしたのは最後尾の1人。俺と敵2人が間に居るので、教室に到達し辛いだろうと判断。無視。

 取り敢えず、手前からだ。


 敵はほぼ直線の隊列で階段を降りてきたが、下りきってしまえば踊り場と廊下の接続点は広くなっているため横に広がることも出来るだろう。できれば囲まれるような事態は避けて踊り場まで敵を押し留めたい。

 右足で強く踏み込み、体を前へ倒していく。重心を移動させて左足を前に出す間、右足の親指と膝の入れ方で少し左前に体が飛ぶように変更。

 普通の踏み込みを匂わせて、敵から見て右下にブレた体。それに反応しようと、敵の視線がこちらを追ってくる。

 左足を廊下につける。抵抗しない、ステップの勢いを殺さず、左に流れた体を縦に回転させる。

 右足を同時にかかと側へ跳ね上げる。敵の頭めがけて射出。踏み込みプラス遠心力で頭を狙い、意識を刈り取る想定。

 だが未来はいつだって未確定だ。

 先頭の敵は釣れたが、2番目の敵は役割を分けて観察に徹していたのだろう。こちらの足がこめかみに向かっている最中で防ぎに来た。

 間に合う。敵の左腕に足が当たるが、かかとではなくアキレス腱の辺りが上腕に当たる。こちらの威力が上回るので、敵の腕ごと先頭の敵の頭には当たるだろうが、威力は減じている。ダメージを与えるほどではないだろう。

 むしろこっちの姿勢が悪い。回転しようとする上半身と、回転を止められた下半身。ちぐはぐな状態ではまずいので、廊下に両手をつき、倒立の形にする。

 腕だけでは全ての勢いを消しきれないので、相手の足を引っ張る事にする。文(・)字(・)通(・)り(・)に(・)。

「ウォッ!?」

 先頭の右足を自分の方に引っ張る。倒立するために必要な力と回転する力を、相手の右足、膝裏に集中させて引く。

 大きく崩す事はできなかったが、ガタイが揺らいだ。まずまずの結果。


 足を敵に引っ張られないように縮め、再度下から攻撃するため足を伸ばす。狙いが甘かったのか、わずかに頭を後ろに引いただけで逃れられた。

 足を伸ばすのと同時に、残しておいた左腕で廊下を押す。

 足と体と腕の力を使って、体を後ろに跳ねさせる。両足で廊下に着地しようとしている最中に、2番目の敵が体勢を崩した1番目の敵を乗り越えて向かってくる。

 腰下にタックルするような低い軌道。

 着地時に右足だけ、膝を差し出す。相手の頭が吸い込まれるように膝へと向かうが、これも敵の左手で先に防がれた。


 こ(・)こ(・)だ(・)。


◆


 3番目の男は、階段の最後一段を降りながら、その瞬間を見ていた。

 タックルは決まった。敵の足を刈り取る動きで自由を奪う。その間に仲間がトドメの一撃を加えるなり、無視してターゲットに向かなりすればよい。

 が、タックル後、抑え込む力が、意思が見受けられなかった。

 そのため、ターゲットの護衛と思われる男はすんなりとタックルから抜け出し、後ろへ一歩ステップして体勢を立て直している。

 何が起きた?

 タックルした同僚に、敵護衛が触れたように見えたが、その程度だった。

 その瞬間に殺された? そこまででもないながら、意識を取られた?

 いや、まだ生きていそうだ。だが、自分何をしていたのかわからないというように、首を左右に振って辺りを見回している。

 何が起きた?


◆


 とりあえず【攻撃する意思】を捨てさせる事に成功した。

 変に触れられても困るので、窓から外に捨てておくことにする。

 さて、次は誰だ。


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