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第一話「防空学園」

――「そらむすめ」。それは突如として出現した、「飛行機の魂を宿した存在」。その多くは10代から20代の少女の姿をしており、過去に存在した戦闘機や爆撃機など、人類がかつて空を駆けたはずの名機たちの記憶と意志を継承している。

アグレッサー(侵略者)に唯一対抗できるその力を、各国は求めた。

アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、フランス、中国、旧ソ連諸国、そして日本。各国は取り急ぎ協力体制を引き、現れたそらむすめたちを保護・運用するための機関を整備した。

日本において、その中枢を担っているのが――「日本防空学園」である。

――――――――――――――――――――――――――

機銃の音が空に鳴る。

「くっ…マズイ、一切反撃できない…!いや、押されてたらダメ…」

そう言うのは、旧日本海軍の軍服を模した深緑のジャケットとスカートを着た少女…

零式艦上戦闘機五二型だ。

身体を捻って旋回するたびに、髪と緑のジャケットが風に靡く。

上昇や下降、横旋回を繰り返し、速度が上がったり下がったりする。

「こっちから仕掛けないと…ッ!?」

五二型の頭に銃口が向けられる。

そして…ブザーが鳴った。

「いやぁ~…また無傷で勝っちゃった。五二、弱くない?」

「二一姉さんが強すぎるの!」

零戦五二型に話すのは、色は白色だが、五二型の服装と同じ服を着た少女、零式艦上戦闘機二一型だ。

そう、今のは零戦五二型と零戦二一型で模擬空戦していたのだ。

「悔しい…至近距離で頭狙われたら負けってルール辞めてよ…」

「仕方ないでしょ?訓練ならともかく、実戦ならお陀仏よ。」

そう口を開いたのは二一型と同じ服を着た、だが顔は若干大人っぽい少女、零戦一一型だった。

「それはそうだけどさ~…」

「まぁでも、二一も私に勝てたことないじゃない。」

「う“ッ…そうなんだよね…」

二一型は少し気まずそうに頭を搔く。

「逆に一一姉さんに勝てる人を探す方が難しいよね…」

「ほんとにねー…」

二人は少しだけ悩む。

「いや、私も当たったら負けるよ?ユニットは相変わらず紙装甲だし。」

その言葉に二人は頷く。

「まぁでも、旋回性能の少し落ちたユニットでも二一とここまで渡り合えるのは凄いと思うよ。五二は頑張ってるわよ。」

一一型は五二型の頭をなでる。

その行動に五二型は一一型の手を一瞬止めようとしたが、姉の手が心地いいのか、照れくさそうに手を下げた。

「…えへへ、そうかな?」

「そうよ、五二は頑張ってるんだから。」

一一型は五二型の頭から手を放す。

「さて、訓練を続けましょうか。」

「あ、なら一一姉さんとやりたい!」

「あっ二一姉さんずるい!」

「まとめてかかってきてもいいわよ?」

『絶対勝つ!』

その後訓練は一一型の無双で終わったという…

――――――――――――――――――――――――――

「うぅ……また負けたぁ……」

防空学園の廊下を歩きながら五二型が言った。

「いやぁ…やっぱり一一姉さんには勝てないよ…」

続けて二一型も言葉をこぼした。

「私に勝てるようにも、次の座学もきっちり受けようね?」

一一型がそう言う。

「あ、次座学だっけ?」

後ろから声が聞こえた。

五二型が振り返る

「この声…二二姉さん。」

深緑のジャケットを着て首元に白の航空マフラーを巻き、髪はサイドテールにまとめ上げた少女、零戦二二型だ。

「座学ってなんかなぁ…苦手なんだよね。」

ニッと笑って二二型は言った。

その様子を見て、二一型は肩をすくめた。

「座学って大事だよ?実戦経験だけじゃ、戦闘では通用しないの、知ってるでしょ?」

「うーん…それはそうなんだけどねぇ……」

「二二姉さん、二一姉さんと一一姉さんには敵わないって……」

五二型がそう言った。

「…そうだねぇ…」

二二型は、少々苦笑いになりながら言葉をだした。

「あ、そういえば今日の座学って何やるの?」

二一型が聞く。すると、五二型が答えた。

「今日は確か…対アグレッサーの戦闘法だっけ?」

「というかいつもそうだよねー。」

二二型がそう言うと、そのまま続けて言う。

「座学なんて、戦闘技法以外に何やるの?」

「パイロットのエピソードとか?」

二一型がそう言った。すると

「さすがに活用が限定的すぎるわよ…………」

と、一一型が苦笑しながらそう言う。

「うーん…じゃあ、過去の戦いの解説とか?」

そう五二型が口を開いた。

「確かに…私たちが経験したことをもう一回見直すのもいいかも…」

二一型がそう言ったそのとき…

不意にけたたましくサイレンが鳴った。

「っ!」

急速に五二型らに先ほどの訓練の比にならないほどの緊張が走る。

『正体不明飛行物体感知!南東方面、電探に感あり!防空識別圏に侵入、出撃可能のそらむすめは直ちに邀撃準備をせよ!繰り返す――』

そう緊急放送が学園の館内に鳴り響いた。

「行こう、ユニットを取りに行かないと!」

二一型が率先して言い、先ほどまでいたユニット室に駆け込む。

この部屋にそらむすめのユニットは保管されているのだ。

武装の弾は短い時間で訓練弾から実弾に置き換わっていた。

4人ともどこか慣れた手つきでユニットの確認を終える。

「装備完了…」

五二型は飛行服の手袋のを留め具をパチっと止めたと同時にそう呟く。

そしてユニット室から飛行場の滑走路に飛び出す。

ユニットのエンジンが起動、プロペラが回り始める。

ハタハタと五二型の髪がなびいた。

司令塔から無線が入る

『邀撃戦闘隊、発進許可ス。繰り返す。邀撃戦闘隊、発進許可ス。』

その無線に五二型が静かに応答した。

「邀撃戦闘隊了解。発進。」

五二型は滑走路を駆け出した。

1話を見ていただきありがとうございます。作者です。

短いかもですがこのお話が初投稿となります。マイペースになると思うので僕もこの子達も見守ってください。

次回も楽しみにしてくれたら嬉しいです。ありがとうございました。

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