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屍少女は何になる  作者: 島原流星群
第一章 屍生・狩猟・変革
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第二話 魔力

 


 人というものには恒常性、ホメオスタシスというものがあり、どれだけ異常なことに体験しても時間さえあれば戻ってしまうらしい。


 アレからしばらく経って落ち着いた私は取り敢えず笑うのをやめた。


 そして、ぼやけた目でタブレットを見る。すると上に「ステータス」「初心者ミッション」という項目が生じている。


「いよいよソシャゲじみてきたな......」


 そう言い、ミッションを見る。


 <人間族を一名殺害せよ


 報酬 ステータスポイント+5>


 <魔力を解放せよ


 報酬 魔法大全 上下巻       >


 <人間族を一名救出せよ


 報酬 救出した人間族の好感度上昇  >


 <一度進化せよ


 報酬 進化時の最高ステータスに応じた

 装備一式              >


 <サービス開始まで生き延びよ


 報酬 専用スキルをランダムで一つ  >


 ......これらのミッションを見て、私は推察する。上から順番にナンバリングするとして、①は......無理だ。確実に無理だ。私にはできないししたいとも思わない。②はやり方が分からない。


 ③はそんな都合のいい展開があるとも思えないし、④は①から推察するに恐らく生物を殺害することでlvが上がり、MAXになるか進化条件を満たすことで進化するのだろう。


 そして⑤だが、これから推察できるのは———


「今はテストプレイ期間中ってことね。」


 よって、⑤は私が何かすることでどうにかなると思えない。私がやるべきことは、


 特に、ない。


 当たり前だ。やり方がわからずやる必要もなくやる気力も起きないものをやる気は一切ない。このミッションはこのまま放置すればいい。私はこれからいつもの生活に戻って仕舞えばいい。それで解決だ。


「でも......まあ。」


 そこでふと思った。これがテストプレイ期間中ならばサービス開始した時にはどうなるのか?決まっている。私と同じ状況になる人が多く出る。その中には私の正体を知ることができる......所謂〔鑑定〕スキルもあるだろう。


 そうなった時、私がなんの対策もせずにいれば「詰み」だ。人々がゾンビという存在を生かしておくはずがない。いや厳密に言えばもう私は生きているとは言い難のだが、少なくともその時に対して対抗手段を持っていればいいはずだ。この「初心者ミッション」はその道標ととるべきだろう。


「となると......私がやるべきは②かな......」


 <魔力を解放せよ


 報酬 魔法大全 上下巻       >


 これが一番やりやすい。④も試してみたいことがあるが、取り敢えず今すぐにできるのはこれだ。


「とっ、その前に勉強と家事をしなきゃ......時間は、うわっ。」


 時計を見てみるともう8時を回っている。そろそろ父が帰ってくる時間だ。


「急がなきゃ......!」


 そう思い、私はすぐさま家事を始めた。



 §



 なんとか家事を終わらせ、家に帰ってきた父を出迎えた後、私は自分の部屋の床の上で正座していた。ちなみに料理を作っている時にまた食欲が起きたが、タブレットから〔捕食本能〕をタップし即座にノンアクティブにさせていただいた。あんなものは速攻封印だ。


「さて、どうしようかな?」


 魔力の解放と言ってもどうするべきなのか?ということにたどり着く。やったことがないためどうするべきなのかわからない。


「うーん......バケツの水をひっくり返すイメージ......?」


 反応はない。となると、


「蛇口の取っ手をひねる?それともホースの口の押さえ加減かな。」


 どちらも反応なし。そこで私はステータスを見ることを思いつく。


(タブレット、出てきて。)


 そう思うと半透明のタブレットが出てくる。これは父が帰ってくる前に発見したものだ。


 そこなタブレットには先ほどと変わらないミッションの表示がある。左側にあるステータスの項目にタップする。


「変化はなし、か。」


 そこには変わらず魔力 16/16の文字。


「うーん、どうするんだろ......?」


 私は悩む。試せるイメージは大体試した。これでダメなら似たようなイメージもダメだろう。


「いや、そもそもイメージで考えること自体が間違いなのか。」


 イメージでどうにかなる。そう思っていたがよくよく考えてみればイメージだけで筋肉を動かしたりできるならば大問題だ。脳でこう動かしたい、と思いその命令を筋肉に伝える。そうして筋肉を動かすからこそ筋肉は動くのだ。つまり、


「体のどこかにある魔力を探す......ここかな?」


 意識してみると確かに脳の部分に栓があるような違和感がある。コレを......外す。


「ッ!?」


 一気に虚脱感が襲ってくる。私は慌ててその見つけた栓を閉める。すると疲れは収まった。


「これは......扱いには注意しなきゃ......」


 そう思い、ステータスを確認。魔力 8/16という表記を見て私は手応えを感じる。

 続けて、初心者ミッションの項目をタップ。すると、


<魔力を解放せよ


 報酬 魔法大全 上下巻  受け取り可能  >


 とあった。ミッション項目をタップすると目の前に2冊の文庫サイズの本が出現する。


 魔法大全 上巻

 魔法大全 下巻


 そのうち、上巻を手に取る。すると最初にはこう書いてあった。


『魔法使用者の心得


 一、魔法とは魔力を用いる術理の書き換えである。みだりに使用してはいけない。


 一、魔法使いと名乗ることが許されるのは言霊魔法を身につけた者のみである。それ以外の魔法使用者が魔法使いと名乗ることは許されない。もし破ったものには魔法協会から異端として認められる。


 一、魔術師と名乗ることが許されるのは新しき魔法を生み出したもののみである。もし破ったものには魔法協会から異端として認められる。


 一、魔法協会は魔法使用者による神術の使用を認めない。魔法使用者でありながら神術を用いるものは確認出来次第魔法協会から異端として認められる。


 一、死霊術は絶対の禁である。死霊術の使用が認められた場合、魔法教会から異端として認められる。


 一、固有魔法を相伝して良いのは魔法使用者の弟子一名のみである。固有魔法の相伝が二名以上確認された場合、魔法教会はその一門を全て異端とする。


 一、原始魔術を繰る原始者には以上の心得が適用されない。また、全ての魔法使用者は原始者に対し尊崇を抱くべし。


 これらの心得に従うのであれば、魔法協会は汝を魔法使用者として認める。


 初代魔法協会長 ユルフィーズ・サルマ・メルニア 』


「これは......?」


 ......まるで異世界に存在する組織が書いたものに見える。あるいは、元々この世界にあった、あるいは今もあるが隠れているのか。というか、どうして日本語で書いてあるのか。


「考えても仕方ない、か。」


 ページを進める。「火魔法」「水魔法」「風魔法」「土魔法」「雷魔法」「力場魔法」「空間魔法」「傀儡魔法」「光魔法」......あった。


「この光魔法っていうのを勉強しなきゃね」




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