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解離性フラジール  作者: 雪時雨
第一章 ペンフィールドの小人たち
22/22

小さき者共の反逆

「それでは各員準備はいいか。奴らをここで絶対に仕留めないといけない。やるぞ。」

暗い空一面にはいくつもの星が瞬いており、ゲート出現からはすでに48時間が経とうとしていた。その星明かりのもと、簡易施設前で最終確認を行った篠原の方を向く彼らの瞳は、それに浮かぶ星々が映っていて綺麗に見えた。しかしその瞳は真剣そのもので、緊張と気合の炎によって瞳に映った星が溶けていくような感じさえする。そしてその溶けた星が流れ星になるかのように、彼らの額に汗が流れた。そして彼らがその言葉に対して無言で頷いた後、流れ星が消えてくよりもゆっくりと、作戦遂行のため徐々に森の中へ消えていった。



森に入った彼らだったが、今回は前回のように各個撃破されないように部隊をまとめていたので、大人数となってかなり目立っていた。しかしこれだけの人数がいれば監視の目も多いので奇襲も受けにくいというメリットもあるので、主力部隊はそのまま進行していた。少し後ろの方では篠原を含めた少人数がまとまっているグループもあり、非常時には対処できるようになっている。

出発してから少しした後、接敵予定地点まではまだ距離があるので、冬樹は一緒に行動しているアリスに話しかけた。

「すみませんね、アリスさん。慎太郎さんが来ないので、代わりに[活性分散]を行うディフェンダーをやってもらって…。」

結局作戦の話し合いには来ずに今日現地で現れたのは阿武隈と弥栄川だけだった。麻田は解散前の発言からもあまり乗り気でないことは薄々感じていたが、本当に現れないとなるとその穴を埋める補充要因が必要である。そこで本来は麻田が担当するはずであった[活性分散]によって樹木のフィルスマの威力分散を、本日入りしたアメリカ支部のチームの一員、クライシス・アリスに担当してもらったのだ。ディフェンダーのロール持ちが基本することとなるので別に冬樹がやってもよかったのだが、冬樹は[活性分散]のフィルスマを扱えなかったため、今回はアリスに頼んだという形だ。

そしてアメリカ支部のチームの一員、クライシス・ケビンには弥栄川と同じように射撃による障壁の探索と、障壁の“ゆらぎ”を作らせる担当となった。と言ってもそこまで難しい役割ではなく、弥栄川が撃って出現させた障壁に、桜園とフォートレスの直線状になるように自身のフィルスマを叩き込むというものだ。


一応補足しておくと、既定のロール保持者がロールに該当するフィルスマをすべて扱えるわけではなく、そのうちのいくつかを扱えることが多い。そのため、1つのロール保持者の場合、だいたい3~6種類くらいの同じロールに所属するフィルスマを扱うことができるといった具合だ。ただし、冬樹や桜園は2つのロールを所持しているため、約10個ほどのロールを持っている計算になる。それだけを加味しても複数ロール保持者が圧倒的に戦力が高いのは自明で、その戦闘の個人の技量によって何倍にも幅が広がる。


急に自分に話を振られたためか、アリスは肩を少し震わせて冬樹の言葉に反応した。そしていつものようにキョドリながらその言葉に返した。

「い、いえ、別に、あの…。私も皆さんのお役に立てて嬉しい…ですし。」

すると2人の会話を聞いたケビンが間に割って入って、2人の肩に手をかけて話した。

「ごめんね冬樹さん!アリスって人と話すのが苦手でさ、聞き取りずらいんだよね~。もし僕でよかったらお話でもする?」

その少しニヘっとした笑い方に若干鏡音の顔が思い浮かんだが、そもそもケビンは彼とは違って割かし付き合いやすい性格であるし、そもそも鏡音はこの世にはもういないので、瞬時に思考から遠く彼方へ飛ばした。

「に、にいさん!わ、私だって頑張ってるんです…、ですから…その…。」

そのケビンのからかった言葉に頬をぷくぅと膨らませてアリスは反論した。そのアリスの顔は、欧米人の実年齢よりは少し大人びる顔とは違って結構童顔だった。その膨れた顔を見て、冬樹は改めてきれいだなと思う。

やっぱり金髪の欧米人ってきれいだよなぁ。それにアリスさんって顔立ちも割と整っていて、こうやって頬を膨らませると子供みたいで可愛いな。そういえば俺より歳が2つ下だっけ?普段だと俺と同じくらいの年齢に見えるから、つい年下だってことを忘れてしまうな…。

穏やかな雰囲気に包まれて冬樹は呑気にアリスのことを考えていたが、そのほんわかムードも次の言葉ですぐに消散した。

「接敵だぞ!いつまでもグズグズ話してるんじゃなくて警戒態勢を取りな!!」

そう言って霧島は部隊の一番前で前方に大きな斧を突き出し、なにやら威嚇のようなポーズをとっている。その霧島のいかつい口調と作戦会議では微塵も感じられなかった敵に対する積極性を見て、アリスは目を丸くしてキョトンとしていた。その顔にはただただ驚きだけが残っており、先ほどの膨れた頬はそこには無い。

すると、幸助があたりを見て他にいないことを確認し、前回かなりの数を倒したことにもかかわらず敵のアグレッサーらが出現していることに苦言を言った。

「やはり敵も増援部隊を呼んでいたか…。どうやらまだ隠密化した個体は見られないようだが。」

やはり桜園さんが予想した通り、敵の数はそこそこいるな…。ゲート開放後は時間経過ごと敵の増援が来るからそれも厄介だな…。

桜園は接敵の報を聞いて、予定通りの陣形で対処を行うよう指示した。

「では予定通りに幸助さんや聡子さんは前衛の方を、咲夜さんやアメリカチームの方は後衛をよろしくお願いします。」

「はーい!」

元気よく阿武隈が桜園の指示に返事をした。

もとから霧島と幸助は部隊の中でも前の方を歩いており、偵察や防衛をできるようにしていたためそのまま戦闘に入った。しかし阿武隈を含めた冬樹らは部隊の中で少しごちゃごちゃしていた位置にいたので、アタッカーである阿武隈とアメリカ支部のメンバーは冬樹らよりも少し前に出た。阿武隈は今日は機嫌がいいのか、元気よく飛び出して前衛の2人から漏れてきたアグレッサーを処理していった。

確かにこれから大仕事が待っている自分らが無駄に消耗する訳にはいかないので、この陣形はかなり有効だ。それもこれも、アメリカ支部の人たちが支援に来てくれたから十分な人数がいるのであって、彼らが来ていなかったらと思うと本当に感謝しかない。にしてもこうやって護衛されていると、なんだか心に余裕を持てるというか、申し訳ないというか…。




その後も冬樹らは進行を妨げるユーオを安定的に次々と撃破していった。そしてついに本命のフォートレスがいた付近までたどり着く。

「そろそろ…ね。もう一度確認しますけど恭二さん、周りに敵はいませんね?」

桜園はあたりをもう一度ぐるりと確認しながら、篠原にも確認の連絡を入れた。

『あぁ、他に敵は確認されない。アメリカチーム…も同じ言ってるがコマンダーの気配しかない。コマンダーがオブザーバーの化けの皮を被っていないこと以外は前回と同じ様子だが、むしろ今までの戦闘を見ている感じではここまで同じだと少し気がかりだな…。注意しろよ。』

篠原は、同じ部隊にいるアメリカチームの[部分解離]の使用者に確認を取りながら、もう一度桜園に情報を提示した。しかしその情報もあてにはできないことは前回の戦闘で明白だ。この距離であれば恐らく隠密したアグレッサーなどは探知できるだろうが、前回発見したフォートレスはかなり近寄っても障壁に攻撃を接触させない限りは見えなかった。そして現在篠原らの[部分解離]に映っていないということは、恐らくまた不可視の障壁を張りなおして待機しているのだろう。さらに今までの戦闘では、おそらくゲートから出現してきたであろう敵の増援が確認されたので、敵側も何かしら仕掛けているのではないかと心配している。しかし見えないものはしょうがないので、考えるのはそこまでにしておいた。

そして桜園も念のためにもう一度確認したというだけだったので、その言葉を聞くとすぐに準備に取り掛かるよう周りに指示を出した。


準備を整え終えたメンバーは左から冬樹、桜園、ケビン、弥栄川、と銃を構えたメンバーもといスナイパーが待機しており、桜園のすぐ後ろには銃に接続された大きなエネルギー装置と共に指山、橋立、アリスがいた。さらに後ろには樹木がいつでも発射できるように銃口を指山に向けていた。そして前で銃を構えている人を直径として半円を描くように、幸助、霧島、阿武隈などアタッカーの人らがサイド・バックアタックに備えて待機していた。

陣形を整え終えると、前衛のスナイパーらはそれぞれの銃に結晶の弾丸を込めた。緊張していて周りが静かな上、夜の暗い森のためだろうか、その結晶を銃にはめる時のカキンコタンと言う音が小さく響く。


そして緊迫した空気が漂う中、桜園がカウントダウンを始めた。

「カウントダウン始めます。5…、4…、」

息をのむもの、手に汗握るもの、深呼吸をするもの、みなそれぞれの反応をする。


「3…、2…、」

この作戦が失敗すれば桜園さんだけでなく他の人も死ぬ可能性が…、いやいや!今は目の前のことに集中しなくては。

冬樹は首を横に振って恐怖と不安を振り払う


「1…、ゼロ!」


そのカウントダウンがゼロになるのと同時に、樹木の銃口からスパークを纏った銃弾が発射された。それが到着するまでに、橋立の[脳力加速]によって知覚速度を上昇させた指山が[誘導煎盾]を展開した。すると銃弾から放射状に飛び散っていたスパークが指山の盾に収束し、接触した途端に太陽と見間違うほどの光量を発しながら轟音を立てる。その瞬間アリスは[活性分散]を展開して、指山の盾とエネルギー装置のエネルギー位相差をスムーズに移行させ、指山の盾がエネルギーを吸収しすぎて蒸発するのを防いだ。

そして今度は弥栄川の方へ移る。

弥栄川は悪あがきも含めてコマンダーに対し[透過貫通]を放った。しかしその弾丸は予想通りにコマンダーの一歩手前で弾かれた。そしてその箇所が宝石のようにテラテラ輝きだすと、そこを同心円状として障壁が可視化されていった。そして奥にいる八本脚の蜘蛛、フォートレスも出現した。

ケビンは初めて見た最上位種の威圧に気おされそうになるものの、気合で自身のスナイパーフィルスマ[吸生連風]を放った。すると発射時はごく単純そうな弾丸のみが射出されたが、その弾丸が距離を進むごとに白く輝いていき、障壁に着弾すると大嵐と見間違うほどの風圧を放ちながら爆発した。しかしやはりそれほどの威力のフィルスマをぶつけても、障壁はビクともしていないように見えた。

だが、桜園は見逃さなかった。普通に観察すればわからないような1つ1つの障壁の模様のうち、[吸生連風]が直撃した数個のみがわずかに光が薄れていることを。そしてその一瞬で彼女は[脳力加速]と[知覚上昇]を用いて敵の障壁のうち、貫けそうな部分を観察し、フィルスマをそこへ放つよう判断した。そしてタイミングよくエネルギー装置への充填が完了し、桜園は[情報変換]を用いてその電力に置き換わったエネルギーを弾丸とその射出部分へ変換させた。

すると、障壁が出現したフォートレスは胴体の下部にあるミラーボールを黄色に発光させ、攻撃の準備をし始めた。そしてその瞬間に合わせて桜園は銃の引き金を引き、[多追氷柱]を展開した。その結晶の弾丸が射出されると、今までに見たこともないような巨大なツララの形状に変わり、先ほど観察した貫通できる可能性のある個所へと飛んでいった。

見るだけでも身が凍り付きそうなその巨大なツララは、障壁と接した瞬間、甲高い爆音を轟かせながら火花、いや氷花をあたりにまき散らす。その障壁とツララのせめぎあいは永遠とも思えるような長い時間に感じたが、しかしすぐにそれは決着がついた。


キィィイイ――――ン!ドッ!! パリッ ピキーン! パリパリパリ…


障壁がツララに付き抜かれて、その接触地点から同心円状にガラスのように崩れていった。その光景は、冬樹が今まで体験したどの光景よりも美しく、まるで間近で多数の流れ星がゆっくり落ちているかのようだった。

しかしそんな美しい光景をのんびりと眺めている暇はない。ツララは障壁を貫通すると数多のさらに小さいツララへと分離した。そして分離してフォートレスの胴体へ向かおうとした時、事件は起きた。


障壁を貫かれた瞬間、いきなりフォートレスの胴体部分が緑色に発光し、フォートレスを中心とした辺りの光景がゆっくりと動くように感じられた。いや、冬樹が感じられたその感覚はある意味では正確だった。なんと分裂したツララがほぼ完全に止まっており、先ほどの勢いとは違ってカタツムリと同じような速度で動いていたのだ。

予期していなかった光景に冬樹が思わず驚きの声を出す。

「なっ!!」

すると同様に予測していなかった桜園もその光景を見て舌打ちをした。

「チッ!!」


しかし次の瞬間、さらに驚きべきことが起きる。


なんとフォートレスの8本ある脚の関節部分から1つずつ、計56個の金平糖状の黒い物体を出した。そしてそれらの物体は、浮遊しながらフォートレスの前面に移動した。その動作は全く遅延などないため、やはりあの発色はフォートレス以外が遅くなる効果があるらしい。

しかしよく見ると、溜めていた砲撃をまだ放っていない。どうやらあのフィールドを展開中は自身の攻撃ができないようだ。

いったいあの黒い物体は何をするものなんだ…!?

そう冬樹が思った瞬間、フォートレスの緑色の輝きがなくなって時が動き出した。すると分離していたツララは、息が吹き返ったかのように動き出した。

すると何か感じたのか、桜園が焦りを見せた。

「ちょっ!えっ!?」


ヒュン!ヒュン!バババババン!!!!


するとフォートレスの胴体を狙って発射されたツララは、予定通りの軌道を描かずに黒い金平糖の方へ引き寄せられ、次々と粉々に砕けていった。

自身の攻撃の制御が効かなかったために桜園は焦っていたのだ。

だが分離したと言っても一発一発が桜園の[要素崩壊]に匹敵するツララを食らったためだろうか。2発ほどそのツララを受けると、金平糖は限界を超えたかのように砂状になって地上に落下していった。そして桜園の分離したツララは100以上は確実にあった。しかし謎の物体と相打ちになったため本体へ攻撃する数は激減し、さらに残ったツララもその謎の物体に引き寄せられたことが原因で軌道がずれ、本体ではなく全部脚に命中した。

「クソッ!なんで…なんで…。」

桜園はこぶしを握って、ただひたすらフォートレスの方へ怒りの視線を送っていた。その目には涙もうっすらと浮かんでいるように感じた。他のメンバーも作戦が上手くいかなかったことに驚愕するもの、恐怖するもの、目をふさいで現実逃避するものなどもいた。

クソッ…、やっぱり敵も他に隠し玉を用意していたか…。1、2日の思い付きの作戦じゃ対抗できないか…。この作戦に付き合ってくれたみんな…本当にごめん。


しかし桜園のフィルスマが残したのは絶望だけではなかった。


フォートレスはそのツララを全弾受けきって、チャージしていた攻撃を冬樹らに放とうとした。だがその瞬間、先ほどのツララが数発直撃した3本の足が一部砕けてきて、バランスが一瞬取れなくなった。するとギシギシと歪む体を立て直そうと、フォートレスはチャージ攻撃を一時中断した。


その瞬間、桜園は何か思いついたのか、目を見開いて冬樹に叫ぶように伝えた。

「冬樹さん!!次の敵のチャージ中にミラーボールを撃ち抜いて!!!」

チャージ攻撃中に…?あぁあの攻撃の威力も巻き込んで撃ち抜くということか!!

「わかった!!!」

桜園の意図を察した冬樹は茫然としていた態勢をすぐに直し、うつぶせになって手のブレを安定させる。そして再びミラーボールを発光させてフォートレスがチャージを始めた。

まだだ…まだ待つんだ…。

冬樹は焦る気持ちを押さえて、じっとフォートレスがチャージし終えて発射する時を待った。焦りと緊張が合わさって額や銃を握る手に汗が大量に滲んでくる。

先ほどのツララのように、永遠とも思えるほどの長い時間を待った。


そしてその時は来る。

一気にミラーボールが輝きを増し、敵が攻撃を放とうとした。

その瞬間、冬樹は銃の引き金を引き、結晶状の弾丸を目標めがけて放った。そして弾丸は射出され、目標へと近づいていく。

すると6つあるミラーボールの中心がさらに輝きを増して攻撃が放たれようとした。

もう後は向こうの攻撃が完全に放たれるのが先か、こちらの攻撃がその中心部でエネルギーの塊を穿つのが先かの2択だ。


「いってえええ!!」

「うおおおおおおお!」


桜園の願いと冬樹の咆哮と共に弾丸は近づいていき――――





ドガーンッッッ!!!バリバリバリー―!!!バキバキバキッ!!


その弾丸はエネルギー核に命中し、凄まじい轟音と雷鳴と破砕音をまき散らした。そこから生じたあまりの衝撃で、半円状になっていた陣形はその形を成さないものとなり、吹き飛ばされる際には橋立や幸助などの悲鳴や叫び声が聞こえる。そしてその衝撃は後方にいた篠原の方でも大いに感じられた。

「きゃぁっ!!」

「うわーー!!」


そして激しい衝撃によって地形がめくれ上がり、土砂や木や石が宙に舞う。そしてそれらの雨が止んだ時、冬樹は頭を上げてフォートレスの方を向いた。

「いったたたたた……はっ!そういえばフォートレスは!?」


冬樹が[知覚上昇]を展開してフォートレスの方を見ると、そこには一番端の脚の関節だけ残した、今は無きフォートレスの姿と、8割ほどの体が吹っ飛んでいるコマンダーの姿があった。

コマンダーも爆発の余波で吹き飛んだか…。それならよかった…。はっ!そういえばゲートは!?

冬樹がそう思った瞬間、篠原から通信が入ってきた。

『随分と派手にやったようだな…。こっちの方まで凄まじい圧が来たぞ。それと、朗報だ。ゲートは閉じた。繰り返す。ゲートは閉じた。あたりにもユーオは確認されないため殲滅に成功した。まったく…お疲れだったな。』

やった…のか…ついにやったのか!!

冬樹はその篠原の祝福を聞いて、やっと自分たちが勝利したという自覚が湧いてきた。心に余裕ができたため、あたりを見回すと近くに吹き飛ばされた阿武隈や幸助が喜んでいる。他の方向からも、他メンバーの歓喜の声が聞こえた。そして先ほど同じ場所に吹き飛ばされた桜園の声が無いことに気づき、そちらの方を観察する。

あれ、そういえば香織さんは!?…?!あれ?いなくなってる??

先ほどいた桜園の方を見ると、桜園はすでにそこへいなかった。冬樹が不思議がってると、肩をポンポンと叩く人物が現れた。そして冬樹はゆっくり向き返ってその人物を確かめた。


「お疲れさん、冬樹くん。あなたは私たちの希望ね…。もしかしたら…、いいえ。なんでもないわ。」

希望、かぁ…。今回頑張ったけどそこまで言われるほどじゃないと思うんだけどな…ってあれ??今俺のことくん付けで呼んだ!?

冬樹が桜園の発言に対して色々考えていると、桜園は座っている冬樹の隣に座り、手のひらを差し出してきた。冬樹が首をかしげていると、桜園は恥ずかしそうに言いだした。

「た、タッチよ、タッチ。ほら、勝利を祝っての…。」


普段では絶対に見られないような桜園の可愛く恥ずかがる様子を見て、頬が赤くなり、心臓が大きく跳ねた。

こちらを見たまま固まっている冬樹の様子にさらに恥ずかしくなり、桜園はタッチを催促するように手をひらひらとした。それを見て冬樹は我に返り、軽く音が鳴る程度で手と手を触れ合わせてタッチした。


その瞬間、星が1つほのかに輝いて、尾を引きながら流れた。


その星は彼らを祝福しているのか、はたまた呪詛であるのか…。


と、とりあえず第一部を描き切りました…(ふるふる)

一応大雑把なストーリーは組んでるので、これからも暇を見つけ次第随時投稿していくと思います。

機会などあれば設定集などもだそうかと。それじゃ!

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