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新史:第二帝国  作者: 桜虎


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No3.シャルルロワ会戦前夜

「諸君。我々はモンス=シャルルロワ街道沿いに布陣した。それに対しドイツ軍はジャンブロウ付近に布陣を行ったと思われる。我々は第五軍とベルギー軍の三十三万しかいないのに対して、敵は六十万以上の兵力と考えられる。何かこの劣勢をひっくり返す奇策を持っているものはおらんかね?」



「はっ。私に愚策があります。」



「言ってみよ、デュバイユ参謀長。」



「敵は必ず我々を攻撃するためにサンブル川を渡河するはず。敵が渡河している間に橋頭堡を砲撃で叩き潰せば、敵は脆く敗れ去るでしょう。」



「ほう……確かにそれが成功すれば敵は総崩れになり敗走するに違いない。しかし成功の可能性はあるのか?」



「工兵橋を砲撃によって破壊すれば敵の増援は不可能。そうすれば孤立した渡河中の敵を壊滅させるなど朝飯前です。」



「……分かった。デュバイユ参謀長の策を採用し、敵が渡河にかかったところを全力で攻撃する!」



「必ずやデスプレ将軍のご期待に応えてみせます!」



しかしデスプレ将軍もデュバイユ参謀長もまだ知らなかった。対峙するドイツ軍を率いるのがシュリーフェンという天才であることを。そして彼がこの作戦を既に予想していたことを。

















「シュリーフェン総参謀長。あえて敵に渡河中の我が軍を攻撃させるのですか?そうすれば我々に大きな被害が出ますが。」



「別に精鋭師団を当てる必要はない。後方補充の師団を二、三師団使って敵に叩かせよ。敵がそちらに気を取られている隙に重砲部隊で密集している敵軍を叩く。そして陣形が乱れ、混乱している敵軍に主力軍を突っ込ませる。これでフランス軍は抹殺できる。」



「はっ。」



「英国からの増援も近づいているらしい。敵がこれ以上増える前に一気に勝負を決めるぞ。」



「ははっ!」



こうして稀代の名参謀長シュリーフェンは敵の策を完全に読み、さらにそれを罠にして敵を殲滅せんとしていた。



















「しかしフランスがここまで焦るとはな。」



イギリス海外派遣軍(BEF)司令官フレンチ元帥は、 度重なるフランスからの急行要請にうんざりしていた。



「現状ドイツ軍は彼らの二倍以上。今のままでは勝てないことを分かっているのでしょう。」



「しかし我々も七万の兵士しかいない。我らが到着したところで兵力差は歴然であろう。」



「我々の練度に信用を置いているのでしょう。何せBEFですからね。」



「そうだな……しかし我らが到着する前に始まらなければいいが……」



慎重派であるフレンチ元帥は、 未だシャルルロワの付近には到達していなかった。これでは来たるべき会戦には間に合わないだろう。 つまり連合軍はベルギー軍とフランス第五軍のみでドイツを相手しなければならない。











果たして勝つのはデュバイユ参謀長の策か。 それともドイツが誇るシュリーフェンの罠か。

ここに欧州の主導権を賭けた、フランス・ベルギー連合軍三十三万とドイツ軍六十二万の欧州最大の会戦が幕を開ける。

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