No9.ベルン会談
「お待ちしておりましたぞ。ヴィルヘルム二世皇帝閣下。」
「こちらこそお待ちしておりましたぞ。ウィルソン大統領。」
こうして欧州の覇者であるドイツ皇帝と新大陸のアメリカ合衆国大統領による会談が始まった。
「それで皇帝閣下。話したい内容とは?」
「うむ。......アメリカ合衆国には日本に南洋諸島を返すよう圧力をかけてほしい。万が一日本が応じない場合には戦争を行って欲しい。」
「日本ですか....」
ウィルソン大統領が悩むのも無理はない。日本とは利害がぶつかり合うことはあったものの、友好関係を続けていたからだ。
「大統領が悩むのはよく分かる。しかし彼らはどさくさに紛れてドイツ領を掠め取っている。これは看過しがたい。」
「しかし我が国は陸海ともに発展途上です。今日本と全面戦争となれば圧倒的に不利です。」
「別に戦争を起こすことが最終目的ではない。万が一返還を拒んだ場合は我々も攻撃する。」
「分かりました。交渉を行ってみます。」
「頼みましたぞ。我々もロシア戦線で忙しい。出来得れば平和的に解決したいのでな。」
「アメリカが南洋諸島をドイツに返せと言ってきただと?」
「はい。恐らくドイツからの要請があったものかと。」
「そんなものは断れ!部外者のアメリカに従う必要はない!」
「しかし独米と相手できるほどの軍事力は我が国はありませんよ?」
「やむを得まい!万が一攻めてくれば徹底抗戦あるのみ!」
「やめよ。南洋諸島はドイツに返還せよ。」
「公望殿....」
「イギリスが白紙講話している時点で我々に大義名分はない。これ以上意地を張って問題を拗れさせれば厄介になる。ここは妥協せい。」
「........うむ。」
「大統領!日本は返還を了解したとのことです!」
「よし。これでひとまずは安心だな。ベルリンにも電報を打て。」
「ははっ!」
「皇帝陛下!日本は返還を了解したとのことです!」
「うむ。これでロシア戦線に集中できるな。」
ドイツにもあのようなことを言ったが、実際には余力などなかった。米独日はそれぞれの思惑を秘めながら、危うい所で戦争を回避したのだった。
「皇帝陛下!シュリーフェン参謀長から電報が届いております!」
「シュリーフェンからか。なんと申しておる?」
「急ぎ用意していただきたいものがあるとのこと。」
「何を用意すれば良い?」
「シュリーフェン参謀長曰く、皇帝陛下直卒の航空部隊をお借りしたいとのことで。」
「航空部隊か。シュリーフェンに了解したと伝えよ。航空部隊には東部戦線に向かえと伝えよ。」
「ははっ!」
シュリーフェン参謀長はベルリンへ航空部隊を要請した。果たして来るべきヴィスワ川決戦でどのように使うのか。




