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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第二幕 ミゼリオール邸集団死亡事件

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第7話 魂石と奉納

「こちらでございます」


 エグバートに案内されて、リーネとレイヴンは死神ギルドの最奥部へとやってきた。

 その前には、大きな扉が立ちはだかっていた。


「随分と大きな扉ですね」


「ええ、魂石は死神ギルドでも最重要ですからな。この扉を管理することが私の役目でもあります」


 そう言いながら、エグバートは首から下げた大きなカギを指し示した。

 つまりこの部屋に入るのはギルドマスターたるエグバートの許可を得た者だけということだ。


「随分と大きなカギですが、それいつも持ち歩いているんですか?」


「ええ、常に携帯しております」


 誇らしげに語るエグバート。どうやらギルドマスターとしての責務を非常に重く受け止めているようだ。


(この短時間私を呼びにくる間にも締めていたくらいですからセキュリティは万全でしょうね)


「それでは、失礼します」


 エグバートは大きな鍵を扉に差し込みガチャと回す。

 大きな扉がガタガタとゆっくりと開いていく。


「これはこれは……」


 扉の向こうには、魂石が文字通り山のように積まれていた。

 天井には大きな天窓があり、そこから差し込む光が魂石に反射してキラキラと輝いていて幻想的にすら見える。

 さすがのリーネも思わず息を呑んだ。


「随分と溜めたものですね……」


 もっとも、その美しさではなくあまりの量にだが。


「一ヶ月分をまとめたものですからな。それに加えて最近は人口増加もありまして、死者数も相対的に増えているのです」


 人口は増加傾向、寿命も伸びているという話を授業で話していたのを思い出す。

 その時は気にしていなかったが、まさかこんなところで自分に影響が出てくるとは思わなかった。


「まあ、すべて奉納してしまえばいいんですよね」


 リーネは堂々と中へ入って、適当に魂石を拾いあげた。


(おやっ?)


「ええ、それで問題ありませんよ」


「……はい、わかりました」


 リーネはその言葉を聞いて頷く。


「それでは奉納を行います。まとめて行いますので、一人にさせてもらってよろしいですか?」


「規則では一応見させてもらうことになっていますが……」


 リーネの言葉にエグバートは少し戸惑いを見せる。

 それもきっとギルドマスターの責務からだろう。


「別に見学はかまいませんが、どうなっても知りませんよ? この数を浄化となると私も加減ができるとは思いませんので」


 もしかしたら、一緒に浄化してしまうかもしれない。

 その言葉に、さすがのエグバートもレイヴンも冷や汗を垂らしている。


「……仕方ありませんな。では、ドアの前で待たせていただきます」


 そう言って、部屋の中にリーネだけを残してドアを閉めていく。

 責務はあるけれど、そもそも死神ギルドは死神のための組織だ。

 死神の意向が最優先されるのは当然のことだ。


「……さて、始めましょうか」


 完全に一人になったリーネは、ポケットに手をつっこみ、手ぶらになったその両手を握りしめて天を仰いだ。


「神にいただいた命を今、お返しします」


 リーネの言葉に、部屋の中の空気が震えたような感覚がした。

 いや、実際に震えているのだ。魂石がかすかにだが、確実に震え始めた。


 震えはだんだんと大きくなっていき、魂石同士がぶつかりあって高い音をたて始める。

 様々な音階が混ざり合い、美しいメロディを奏で始めた。

 その後、パリンパリンと魂石が割れる音が響き渡る。


(いい音ですね)


 まるで指揮者になったかのような気分を味わいながら、リーネはその音に酔いしれる。

 魂のオーケストラは五分ほどの後に終わりを告げた。


「ふぅ……これで終わりですね」


 リーネは深い溜め息をつきながら、目を開くと、そこには山程あった魂石が跡形もなく消えていた。

 すべて神の元へと返されたのだ。


「さて、面白い物も手に入りましたし、帰りましょうか」


 ポケットにぽんぽんと突っ込んだそれを確認して、リーネは部屋を出ていった。



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