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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第二幕 ミゼリオール邸集団死亡事件

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第5話 前任者と解放

「ふむ、殺された? 死神がですか?」


 死神が殺されると? リーネは眉をひそめた。

 リーネ自身が死神だからこそわかる。それはありえないシチュエーションである。


「いえ、正確には前任者の方です」


 なんとなく気持ちが悪い言い回しだがリーネは理解した。


「ふむ、つまり力を失った直後に殺されたと?」


「そうなります」


 死神の能力は神から与えられたもので、時間が経つと消えてしまうことがある。神に回収されたと言われている。


(死神ですからね。誰かに恨まれていたとしても不思議ではありません)


 死を司る畏怖される存在。それが死神だ。

 だから通常は死神はその正体を隠している。おそらく前任者は公開していたのか、それとも誰かに知られてしまったのか。


(それとも……)


「その方は死神になってから結構な時間が経っていたのでそれ自体は問題ないのですが……それから新しい死神様が見つからず困っていたのです」


 リーネが考えているうちにもエグバートは続けていた。

 一旦リーネは考えを後回しにして、会話を続けることにした。


「そんなときに私が死神になったと」


「はい」


 つまりこの国は一ヶ月ほど死神不在の状態だったと。


「つまり、それだけ遺体が集まってきているということですね」


「はい。そのとおりです」


 重々しくうなづいたエグバート。

 おそらくもっと早くにリーネに声をかけたかっただろう。それでも、一週間も待ったのは、やはり例の事件があったからだろう。


「ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」


 深々と頭を下げるエグバートに、リーネはニッコリと笑って答える。


「ええ、死者の救済こそが死神の使命ですからね」


 リーネの言葉に、深々と頭を下げるエグバート。その隙に、ちらりと後ろを振り返り、レイヴンがため息をついたのを見逃すことはなかった。



「こちらになります」


 エグバートに案内されて、リーネは遺体の保管庫へとやってきた。

 大きな扉を開けて、中へ入ると冷たい空気が外へ吹き出してきた。


「随分と寒い部屋ですね」


「はい、ご遺体をなるべくきれいなままで保存すべく、温度管理を徹底しております」


 中へ入ると、そこにはいくつもの棺が狭い部屋にぎっしりと並んでいた。

 結構な広さであるのに、棺が所狭しと置かれている。中には棺の上に棺を置くようなものまでもあった。


「申し訳ありません、リーネ様。かなりのご遺体がたまってしまっておりまして」


 こんな状態を心底申し訳ないというようにするエグバート。


「ええ、すぐに解放して差し上げましょう」


 そう言うと、リーネは前に進み、目を瞑って手を合わせた。


「魂の救済を与えましょう」


 祈るように呟いたリーネの言葉に、部屋の中の空気が震えた。


「おおっ!」


 後ろから震えるような歓喜の声が聞こえた。

 しばらくしてリーネが目を開くと、そこにあった棺はすべて消え、代わりに魂石がいくつも床に転がっていた。


「棺まで消えてしまった……」


 思わず漏れ出たレイヴンの言葉に、リーネはにっこり笑った。


「そのほうが回収しやすいでしょう?」


(棺のリサイクルはさすがにしてませんよね?)


 少なくともリーネは誰かの遺体が入っていた棺に入りたいとは思わない。


「リーネ様は随分と神様に愛されているようですね」


 エグバートが顎に手を当てながら感心したように言ってきた。


「そうなんですか?」


「ええ、これほどまでの遺体を一気に魂石化するなど、私は聞いたことがありません」


「特に意識はしていませんでしたが、そういうものなんですね」


 単純に、一つ一つやっていたらどれだけ時間がかかるかわからないから、まとめてやってしまおうと思っただけだ。

 やってみたらできた、という感じである。


「さて、ではこの魂石を奉納の場所へ移動させましょうか」


「それはお願いしても?」


「ええ、もちろんです。大切に移動させていただきます」


 エグバートはリーネに礼をすると、胸に手を当てて頷いた。


(そうなると時間ができますね。ちょうどいいです)


「それでは、少し待たせていただきますね。あ、レイヴン様はお借りしていって大丈夫でしょうか?」


 リーネの言葉に、レイヴンは驚いたようだったが、言葉を発する前にエグバートが許可を出した。


「ええ、もちろんです。なんなりとお申し付けください」


「はい。では行きましょうか。レイヴン様」


 リーネはそう言うと、振り返らず、部屋から出る。

 その後ろからコツコツというレイヴンのらしき足音が聞こえてきた。




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