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フィンスターメル  作者: 月野こめヲ
ソラ編
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30/30

【ep30】魔界カースへの門

挿絵(By みてみん)

雷のラオラスにやられたと思った次の瞬間には

あたりは全て純白の氷の世界へと変貌していた

正確には雷が全て凍ったのだ

砕けたラオラスからは氷の破片と共に

黒色の破片も混ざっては私の近くで消えていった


「貴方を待っていました、メル・カトレス─」

「まっていた…?私を…?」


私の目の前には水色の髪をもつ女性がいた

氷の衣装を身に纏いドレスのように着こなしている

その女性は海の星霊と名乗り、名をシーラといった

シーラ様が杖を掲げると、周囲の氷が散っていった

彼女の氷は私達を苦しめた相手を一瞬で葬ったのだ


「メルっち!その方がシーラ様だよ!

そのお姿ははじめてみるけど!」

「シーラ様っ!?」


エミーとミシェル、リリル達も集まってくる

私は出来事に混乱してたがようやくハッとして

我にかえった


「シーラ様!有難うございます、ボクらもしかしたら死んでました!」

「…貴女はエミーね、それにミシェルに、リリル…」

「え、なんで私達の名前を?」


シーラ様が静かに微笑むと砕け散った氷の中から

村ではしゃいでいた時の私達の姿や

戦っている時の姿が写っている欠片をみせてくれた

どうやら私達を見守ってくれていたらしい


「あの…シーラ様、壁の侵食は大丈夫なのですか?」

「ええ、大丈夫よ。貴女達がクロマを多く倒してくれたおかげで少しの間なら影響はないわ。だから手短に話すわメル、それにフォレア」


ミシェル達は私を見た、私もみんなをみた

シーラ様が私に何かいうために来たのは判っていたが

フォレアのことをいったから驚いたのだ


「貴女たちの倒したラオラスは、魔光石によって暴走していた。そしてそれを砕いた。その力はフォレアがいま吸収した、力を扱えないですが目は覚ましているでしょう?」

「えっ?フォレア!?聞こえる!?」

「あぁ─、少しまえに目がさめた」

「ふぉ、フォレアぁ!よ、よかった!」


私とミシェルとリリルはわっと歓声をあげた

私は急いでフォレアを鞘から抜いた

まだ刀身は折れたままだが、フォレアの魔力を感じる

私はフォレアの復帰に喜び、箒から少し落ちそうになるなどするほど歓喜に満ち溢れた


シーラ様は微笑みながら氷のテーブルや椅子を

作ってくれた、不思議と冷たくはない

私達はひとしきり喜んだあと、箒からおりて席につく


「本題です。貴方達には、フォレアの持つ

星魔法フルフィルドを完成させて欲しい」

「え?フォレアが星魔法を!?」

「我にそんな魔法が?」

「ええ、フルフィルドは無限に満たす魔法。満たされていることにも気付かないの。貴方の中は宵闇で満たされ続けている」


それで納得がいった。フォレアが闇の魔法を無尽蔵に扱えることに。扱う私側の魔力が足りないから引っ張りだせないがフォレア自身からは魔力が切れるという感覚がなかった


「そして魔界カースには魔力に満ちた世界、魔光石が数多く点在します」

「魔光石はやっぱりフォレアと関係が…?」

「ええ、フルフィルドの魔法は魔光石にもかかっている。フォレアは魔光石で出来た魔法剣ですからそれらを全て回収して、フルフィルドでジオスを討ってください」

「ジオスを…っ」


フレアガ姫もいっていた、フォレアはジオスと同じ力をもっている。それはフルフィルドによって蓄えられた

底知れぬ闇の力、ジオスの闇はかつてターマナブル大戦で封印した頃より遥かに深く暗くなっていると。

対抗できるとしたらフォレアしかいないと。


「わかりました、私達がフォレアと共にジオスを倒します」


私は意を決し、フォレアの鞘を強く握った

皆も気持ちは同じで辺り一面の氷の庭園は

私達の決意を写し出すようだった。


~~~~


シーラ様には、後程氷河の滝壺にくるようにいわれた

先に行きカースヘの門をあける準備をしておくとのこと

私達はカースヘ行くための旅支度や

私達の浮島ブルーム商店を町長に一時的に預かって

貰うために一度コリストルに戻ってきた


「あれ?なんだか街が騒がしいね」

「いや、なんかこっちに向かってきてない?」

「わぁー?!人が雪崩のようにむかってきてるー!?」


エミーが指差したその先

歓声をあげながら旅人や街の人々が集まって

地ならしすら聞こえる程の人数が向かってきている

その人々の目的はあげている声でわかった

シーラ様だ


「わぁぁっ!」


どうやらシーラ様の氷の魔法で

この街にもう1つ氷河滝が出来上がったのだ

そんなの気付かないはずがない、これほどまでの魔法

みなが歓喜に震えて一目見ようと押し寄せてきたのだ

なんとか私たちは人の大群の間をぬい街へと戻る

みんな妙にドッと疲れてベンチに腰かける


「ぁー疲れるよっこりゃ」

「やっぱり星霊祭をやるみたいね、ほらあそこ」


ミシェルが見たコリストルの街の中央には

氷の氷像がいくつもできあがっていた

その中心にはクリス町長の姿や、ファミリアもいた

私達とクリス町長たちはお互いに駆け寄る

思ったより二人とも前のめりに向かってきた


「ユー達!探したよ!ひょっとしてだけどシーラ様にお会いしたかい!?ファミリアたんとも今話してて!」

「5日と8時間50秒前に貴方達と別れてから、ここにあらわれるまで何をしていた!?」

「ユー達が消えてから、あの氷河が出来て!ファミリアたんと調べてシーラ様の魔力で、祭をやろうと決めて」

「シーラ様が顕現されたなら壁はどうなっている?観測上大きな変化は見られないけどシーラ様はなんと!?」

「ちょっ、ちょっとちょっと!落ち着いてぇー!?」


2人の質問責めをなんとか制して

ひとまず町長の部屋まで急ぎ足で移動して

私たちは事の経緯を全て話した


「そう、シーラ様はやはり貴方達にあったのね…」

「そいえば5日ってファミーいってたくない?僕たちそんなにいなかったの?1日もたってないのに?」

「5日と6時間35秒前から私の魔力探知にもひっかからなくなった、氷河が現れたのは貴方達がいなくなってからすぐだったけど」

「どういうこと…?」


私達は顔を見合わせる、私達4人の時間感覚では

そんなに経過していないから不可思議だ


「結論、シーラ様は貴方達と話していた間、周囲の時を遅らせていた。短時間で多くのことを伝えるために。時をも凍らせることが星霊は可能なの」

「時間までも…?シーラ様すごすぎっしょ」

「…壁の侵攻を止めているのもその魔法かしら?」

「ミシェル、ご明察。さすがは私の次に優秀」


少しミシェルが怒りそうだったがなだめて

町長にブルーム島を預かって欲しいことを

お願いしたらファミリアが管理してくれるとのこと

そして必要な準備の話をしてくれた

彼女自身では魔界カースへいけなかったが

このソラの配下を満たす人が潜れない雲海の奥まで

目だけをもった魔法生物を生成して研究したらしい


「─以上135点がカースの注意事項だ、記憶紙にも留めておいた活用してほしい」

「有り難うファミリア」

「いや、それとこれを渡しておく」


ファミリアはスカートのポケットから

ペンギン型のペンダントをとりだして

少し照れくさそうに渡してくれた


「ファミー、これなに?」

「シーラ様にお会いしたら渡してほしい、ようやく作れた私のオリジナル魔法具、壁の侵攻を止めるのに必ず役に立つはずだから」

「うん、わかった。必ず渡しておくね」

「それじゃあ、ユー達!まだ少し時間があるなら星霊祭も楽しんでいってよ!」

「気になってたんだよね!みんな、いこうぜー!!」


リリルがいう私達も実はソワソワしていた

早速とファミリアも連れて祭へ繰り出すことにした

星霊祭は、新しくできた氷河の滝を前に

たくさんの露天や催しが開催されて人が多く集まった

小さな氷の破片が舞い煌びやかな舞台のようで

皆との一時がまるで祝福のように輝いていた


~~~~


氷河の下層の下層その滝壺の前まで少し時間をかけ

ようやく降り立つ、周囲は氷塊に囲まれていたが

その先は「壁」のようで、何も見えなかった

そして禍々しい赤みを帯びた門の前に

シーラ様が座って待っていた


「いらっしゃいましたね、準備は整っております」

「シーラ様これファミリアからの贈り物です」


シーラ様は手渡したペンダントを

初め不思議そうに見ていたが、首にくくりつけた

その瞬間、シーラ様の隣に煙がたったかと思うと

たくさんの氷で出来たペンギンが現れた


『我らシーラ様程でないですが、壁の侵攻を遅らせるピョン!なんなりとお申し付けを!命令で動くのみの兵ゆえ消失しても再生成するのでお気遣いなく!』

「そう、面白いプレゼントねファミリア。見えているでしょう?」

『はい!シーラ様!これでシーラ様の助けになれます!…ピョン!』


遠慮なく使わせて貰うといい

早速数多の壁へペンギンをなだれ込ませていった

シーラ様は踵を返しこちらをみる


「さて、皆さんカースへの扉を開けますよ」

「は、はい!」

「やっとアタシ、カースに戻れる」

「ボクは成り行きだけど面白そうだからついてくよー」

「必ず全ての魔光石を集めるわよメル!」

「うんっ!」


重苦しく扉が開かれる、ギリギリと音を立て

その先には何も見えない漆黒の闇だった

唾をのみ私はフォレアを握りしめ闇の中へ

踏み出す、冷たい闇の中、魔力が削がれるのを感じる

背後から声が聞こえた


「メル・カトレスに星の加護と導きがあらんことを─」


シーラ様の声が聞こえ扉は閉まり消えた

辺りが暗闇に包まれ、何も見えなくなる

ただそれでも私達は足を前へ進めた

少しの間、歩を進めると暗闇の中に見えた

一筋の光があった

私はそれに手を掛け小さな扉を見つけた

背後には皆の気配と魔力を感じる


「いざ!魔界カースヘ!」


扉を開けた先、広がるのは赤黒い空と

どこまでも続く地平がみえた

私は第一歩を踏み出した…?とおもったら

足場がない!?


「わぁっ!?」

「メル!危ない!」


ミシェルに手を引かれなんとか地面に足をつける

ファミリアから聞いていたが、魔界カースは

空を自由にはあまり飛べないらしい

あやうく落下するところだった


「ここが魔界カース…」


赤黒い先の見えない空、荒れ果てた地形

魔界とはよくいったものだ禍々しい光景が

広がっていた、先程まであった扉が消える


ソラとはまったく異なる風に私達は息をのんだ

私達の魔界カースでの運命が動き出すのを感じた


つづく

久々にかきました。

ゆっくりですが最後まで書きたいとはおもいます。

ようやく魔界カースにはいりました!

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