表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底辺ハンターが【リターン】スキルで現代最強 ~前世の知識と死に戻りを駆使して、人類最速レベルアップ~【WEB版】  作者: 萩鵜アキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/69

カインの策略

 結希明日斗を呼び出した卯月カインは、東京都内のとある建設現場で待機していた。


 カインは至誠ギルドマスター氷室の右腕として働いている。

 主な仕事は、邪魔者の排除だ。

 至誠ギルドにとって障害となるハンターを、何度も葬ってきた。


 無論、無闇に他のギルドへ喧嘩を売るような真似はしない。

 カインが動くのは、至誠ギルドの邪魔をするハンターか、才能溢れる無所属ハンターを消すときだけだ。

 これが、至誠ギルドが裏で行っている権力維持作戦だった。


 権力は良い。これさえあればお金や仕事が勝手に集まってくるし、発言力も絶大だ。


 もっとも重要なものは、チャンスだ。

 権力の有無によって、チャンスの多寡が変わる。


 今の地位についてからというもの、至誠ギルドには様々な企業から、良い話が転がり込むようになっていた。

 例えばレアアイテムがオークションで売却されるときは、まずギルドに話が来る。他人と競わずに、お金を積むだけでレアアイテムが手に入るのだ。


 黙っていても、自然と力が集まってくる。

 この地位は、なんとしても手放すわけにはいかない。


 そんな中、猛烈な勢いで成長しているハンターが現われた。

 結希明日斗だ。

 放置すれば、必ず現在のバランスを崩す存在になる。


(出来ればギルドに引き入れたかったんですけどねえ)


 ギルドマスターが直々に赴いたにも拘わらず、勧誘に失敗した。

 至誠ギルドだけではない。他の大ギルドも、中小ギルドも、結希の勧誘に失敗している。

 あれだけの才能と力を持ちながら、フリーのハンターとして活動を続けるらしい。


 こうなると、カインにお鉢が回ってくるのは自然な成り行きだった。


 足下に転がっている銀山には、既に寄生樹を植え付けている。

 これは現在、治療法が確立されていない、寄生されれば必ず死ぬ植物だ。


(これを知った結希が、どんな表情をするか楽しみですねえ)


 待つこと、十数分。

 やっと、くだんの人物が目の前に現われた。


(強いですね……)


 それが、カインの第一印象だった。

 第二次アウトブレイクで覚醒とは思えない。

 歴戦のハンター並の威圧感がある。


(下手をすれば、マスターに匹敵するのでは?)


 ゴクリ。

 あまりの緊張に、カインが生唾を飲み込んだ。


 それを微塵も表に出さぬよう、表情を消して結希を眺める。


「……来ましたねぇ」

「銀山を返せ」

「いいでしょう。お返しいたしますぅ」


 カインは片手で銀山を持ち上げ、放り投げる。

 それを難なく受け取った結希が、銀山の腕に素早く注射を打った。


 シリンジの中には、橙色の液体が入っていた。


(あれは、なんですか?)


 目をこらすが、色だけでは何が入っているかなどわかりようもない。

 きっと、治療薬の一種だろう。カインはそう結論づける。 


「気づいていますかぁ? その職員、寄生樹に侵食されていることに」

「……」

「おっと、抜くのは悪手ですよぉ。寄生樹は、木が抜かれると危険を感じて根の至る所から発芽しますからねぇ」

「……そうだな」


 結希の表情には、微塵の動揺が浮かんでいない。

 ふと、どこかから〝甘い香り〟が漂ってきた。


(この匂い、どこかで嗅いだことがあるような……)


 記憶を探るも、思い出せない。

 一瞬、睡眠薬の類いかとも思い呼吸を止める。

 だが眠気が来るどころか、徐々に目が覚める感覚がある。


 どうやらこの匂いは、睡眠薬のようなものではなさそうだ。


(……なにかが、変ですねえ)


 ここへきて、カインは違和感を覚えた。

 だが、全く根拠がない。

 きっと気のせいだろうと、すぐに違和感を打ち消した。


 自分の作戦は完璧だ。

 もし一つ失敗したからといって、二重三重に対策を立てている。

 失敗するはずがないのだ。


「どうして、まことに寄生樹なんて植え付けたんだ」

「邪魔だったからですねぇ。その職員は、ハンター協会の中でちょろちょろと情報を嗅ぎ回ってました。諜報活動がやりにくくなったので、ついでに消すことにしたんですよぉ」

「わけがわからない。初めからきちんと説明しろ!」


「今や、あなたの出現はハンター界を大きく揺るがしましたぁ。我がギルドに入って頂ければ、問題はありませんでした。しかし、断られた。それでも、他の大ギルドに加入するのでしたら、問題なかったんですけどねぇ。

 特権とは、持っている者が少ないからこそ価値が生まれますぅ。その特権を失わないために、あなたにはハンターの舞台から早々に退場して頂くことにしたのですぅ。

 ――銀山まことは、あなたをおびき寄せるための餌になっていただきましたぁ」


「……誰の命令だ」

「もちろん、我がギルドマスター氷室青也ですよぉ。彼の指示がなければ、わたしは動きませんー」

「なるほど、な」


 結希が腕を組んでうんうんと頷く。

 その姿に、カインはいよいよ違和感を無視出来なくなってきた。


(おかしい。一体、何故ここまで落ち着いていられるんですか?)


 古くからの知り合いが寄生樹に侵食されているというのに、表情が微塵も変化しない。

 それだけではない。自分の命が狙われているというのに、落ち着き払っているのも妙だ。


(てっきり、憤って暴力に訴えると思ったんですけどねえ)


 自分の作戦の一つが失敗した。

 だがカインは慌てない。

 まだ手は残されている。


(周りに仲間の気配はない。武力で制圧するわけでもなさそうですね)


 気分を落ち着けるために、一度深呼吸をする。

 その時だった。結希がおもむろに口を開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作「『√悪役貴族 処刑回避から始まる覇王道』 を宜しくお願いいたします!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ