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発達障害児を産んだ  作者: 響夏
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算数という魔物

お久しぶりです。

新型コロナに振り回される中、息子も高校三年生となりました。

緊急に出された宿題に苦労しつつも頑張っているようです。

進路もほぼ決めており、あとは入試や奨学金のための資格試験を行う予定です。

小学校低学年

幼さの目立った時期だったと思う。

周囲の子供たちが順当に成長していく中、息子は取り残されるように幼かった。成長が遅いのは解っていたが、ここまでかと思わせるほど歩みは鈍い。

だが焦ってはいけない。発達の遅さは解っていることだ。自分自身に言い聞かせなければ、焦りのあまり息子に早急な成長を押し付けていただろう。

ゆっくり。ゆっくり。一つづつ。

一つ出来ることが増えるたび、大袈裟なまでに褒め称える。褒められて嫌な気持ちになる人間はいない。ただひたすら小さな出来事にも気を配り、褒めた。

褒めることにより息子にもやる気が出て、更に誉められようと頑張るようになった。

どうしても、頑張っても出来ないこともある。それはどうして出来ないのか。息子との対話で原因を探る。

障害が原因で出来ないのか、他にやりようはないのか。担任の先生と通級の先生との三者での対談は月に二度以上に渡って行われ、さまざまな案を出しつつ手探りで模索した。

一例として、算数の問題があった。足し算は出来るのに引き算が出来ない。出来ないと言うことにできる人間には理解が及ばず、どうしてなのかと原因がわかるまでには時間がかかったものだ。

結論としては、『引く』という事象に納得ができなかったためだった。

納得が出来ないということに私達は納得が出来ない。

だが、それを押し付けても息子は反発しかしないだろうことは明白で、どのように納得してもらうか散々に検討した。

アメリカなどでは引き算を足し算で行う。という情報にネットでそのやり方を調べて教えてみたがどうにも反応は鈍かった。数学大国のインドの教え方を調べたり、そろばんで教えることも検討した。

さまざまなやり方を三者で調べては取り入れてみたものの、あまり効果はなかった。

現在、息子は高校三年生になる。

私は数学のテストで百点というものを、息子が高校一年の時に初めて見ることとなった。

引き算では納得できなかったものが、割り算を経由することによってなんとなくでも理解したようで、マイナス演算が出たことによって納得し自身の得意分野となったためである。


私達の模索は結果として徒労に終わったのだ。

けれどもそれは無駄な時間ではない。私達が試行錯誤し息子のためにあれこれと時間をかけ悩み苦労した。その事実は息子にとって『自分のために努力してくれた人がいる』という情緒発達にとっての良い影響になったからだ。

自分は一人で生きているわけではない。という認識をもたらす一つの要因になったことは事実である。


このように、たとえ徒労に終わろうとも全てが無駄になることはないのだと、私達にとっても良い教訓となった出来事だった。

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