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発達障害児を産んだ  作者: 響夏
2/5

小学生

発達障害

いくつもの書籍は出ているが、症状の重い子の話ばかり。高機能障害についてはほとんど語られていることはない。

実際には軽度のものや高機能の子の方が数は多いらしい。市の小学校で把握している限りでは、二百人を越えていた。そして個々に症状に差異があるため、それに対する対応は手探りしかない。

さらには高機能障害についてはサヴァン症候群のようなある種の突出した天才についてしか述べられていない。

多々ある普通のとは言えないかもしれないが数多の高機能障害については資料が非常に少なく、これからどうすれば良いのか先が見えなくて不安しかなかった。

だが、幸いなことに私達の住んでいる市は全国でも有数の障害児ケアをしている所で、幼稚園での様子から資料を作りそれを小学校の通級学級に申し送りをしてくれるシステムがあった。

小学校では更に毎年資料を重ね、中学校にも申し送りをしてくれる。

高校は別の市だったが、その市も比較的ケアが充実していて、高校にまで資料を持ち上げることができた。




小学校入学を前に、通級学級の先生と息子との三者面談があって、そこではIQのテストを受けた。テスト内容は四種類項目に分けられていて、それぞれにIQが出るようになっていた。

息子のIQはトータルで百十五。一番低い項目が百。一番高い項目が百三十だった。発達障害の基準は上と下との差が十五。倍の差は酷い障害の部類に入るそうだ。

この差が少ないほど健常者になるのだと言う。

この差がギリギリのラインで通級に入れられずサポートを受けられない子も居るのだそうだ。

うちの子は最低ラインのIQでも高い方だが、差が激しいためサポートは必須。先生とはどこが低いのか、どこが出来ないところなのか時間をかけて話し合った。

早めに出来るようになっておかないといけないことを優先し、他は時間をかけてゆっくりと。そういう結論に至

る。

成人するまでにある程度追い付けていれば良い。私はそう言った。

成長に時間がかかるから『発達』障害なのだから。




小学校入学は不安もあったが、同じ幼稚園の子が多かったので虐められることもない。

と思っていた一年生の春。雨の予報のために傘を持って行っていた息子が5年生の男の子3人に虐められ怪我をして帰って来た。

ショックは大きかった。

まだ小さい体の一年生を体も大きくなっている五年生がこづき回して怪我をさせる。息子は転ばされて膝と手に大きく擦り傷を作っていた。

学校に連絡すると、キチンと調べて対処してくれると言う。事情を聴けば、息子が傘を振り回していて注意を聞かなかったからだと言っていたそうだ。

しかし、入学そうそうの虐め。怪我。

翌日は息子を学校まで送っていくことにしたというのに、ショックが大きすぎて息子に手を引かれて連れて行ってもらった。

自分の弱さにも心がついていけなくなっていた。

食欲をなくし、一ヶ月で十キロ近く体重が落ちた。息子に心配をかけるどうしようもない親だと更に落ち込んで、ループにはまってしまった。

結局病院に行き、適応障害との診断を受けた。

思うに、同じように親が心を病んでしまうことは多いのではないだろうか。自分だけが子どもの味方。周囲の理解はなかなか得られず、悪く言われないように障害がばれないように。

私は隠すつもりはなかったが、両親の理解がなかなか得られず思い悩んだ時期もあった。子供のケアと同時に親にもケアが必要なものだと痛感した。ここで親が心の疲労にやられてしまう。それは同時に子供の育成にも影響を及ぼすものであることは明白である。

親と子の心の余裕が成長を決めていくのではないかと思う。

1人じゃない。学校には担任の先生がいて、通級にはそれこそ専門の先生がいる。それは非常にありがたいサポートだった。それでも心は悲鳴を上げる。息子の成長を促すために繰り返し繰り返し毎日のように同じ注意をしていく。こちらの耳にもタコが出来そうなほど。それでも息子の行動になかなか変化は見られない。苦しい。けれど子供にそれは見せられない。厳しく叱りつけても、子供の中に入っていかなければ全く意味のない行為だ。辛抱強く理解するまで言い聞かせる。それでも同じことは繰り返される。

そんな限界ギリギリの時の虐め問題は、私の張りつめた心をくたくたにしてしまった。私が適応障害になってしまって、息子の成育どころじゃなくなってしまい学校の先生と通級の先生に頼ることしかできない時期が三ヶ月ほど続いた。

その間の適切な対応。そして私に対する心遣い。どれ程感謝しても足りないほどだった。



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