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暴力的なチェリーボーイ

 翌朝になると、まるで昨日の朝過ごした出来事のパロディーみたいに、頭から毛布を被ってその暗闇の中で本を読んでいる胡乃葉の姿が目の飛び込んできた。


 空も明るくなっていて、ディスプレイの煌々とした光りというのも空の明るさにも負けるだろう。自分はいつの間にか抱きかかえながら眠っていたノートパソコンを二段ベットの二階部分に置いて、猫のように少し伸びをした後、朝食を食べに十号車へと向かった。


 まだこの列車内(アイリッシュ)という狭く精神的にも窮屈な世界で目醒めてから三日目だというのに、自分は確かにこの世界に馴染みはじめている。ありありとした現実が感じられ、今の自分の意識が向いているのは、零れ落ちてしまっている記憶の中に存在する〝忘れてしまった世界〟の方ではなく、目の前に広がっている少し変な世界の方だ。深夜中映像を観ながら考えていて、ふと思った。


 ――〝こうして今、自分が頑張って取り戻そうとしている記憶というのを、もし仮に全て完璧に思い出したとしても、自分はそれで何か後悔したりしないだろうか?〟


 自分は食堂車である十号車に着くと、昨日と同じ席に座り、昨日と同じ食事を摂った。ステーキにライスに真っ赤なアセロラジュース、それが自分にとってのベストなのだ。食事を全て済ませると、九号車の上にある売店に行きそこで緑茶を買ってから部屋に戻った。

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