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竜の女王  作者: M.D
2170年春
57/688

06

 自己紹介の後は東照宮を見て回る方法について話し合ったが、


「ちょっといいか。」


 その間、ずっと黙っていた佐野君が会話を遮った。


「何だ稔。お前も見て回るのが嫌なのか。」

「それはそうだけど、違う話。」

「違う話って、どういうことだ?」


「俺に東大附属高校を卒業した兄貴がいるのをは知っているだろ。」

「あぁ。」

「修学旅行に行った兄貴から聞いたんだけど、東照宮の近くにあるホテルの廃墟に悪魔の幽霊がでるんだってさ。兄貴は見れなかったけど、実際に見た兄貴の友達は恐怖で震えてたって。どう?面白そうだから見に行かないか?」

「あの噂って本当だったのね。毎年1つの班しか会えないらしいわよ。」

「三輪も知ってたのか。」

「当然。」

「嫌よ、そんなの怖いじゃない。それに、修学旅行の目的とは違うわ。」

「明美は怖がりね。」


「それに悪魔の幽霊ってなんだよ。」

「実際に見た兄貴の友達曰く、物凄く怖い悪魔の姿をしているんだけど、体が透けて見えたんだと。」

「だから悪魔の幽霊か。」

「そういうこと。茜も知っているくらい秘かに有名で、毎年何班かホテルの廃屋に悪魔の幽霊を見に行くから、先生達も警戒しているんだってさ。斎藤、お前も怖いの嫌いなのか?」

「き、きらいなわけないだろう。」

「じゃぁ、いいだろう。」

「わ、分かった。予定に入れようじゃないか。」


 斎藤君は佐野君の口車にまんまと乗せられてしまった。


「斎藤君、班長のあなたがそんなこと言っちゃダメじゃない。」

「私も彫刻を見て回るよりそっちのほうが面白いと思うから賛成。嫌なんだったら明美は来なくていいわよ。」

「茜まで何言っているの!」

「せっかく東照宮まで修学旅行に行くのよ。それに、2度といけないかもしれないから、全部味わっておきたいじゃない。」

「そうだよな。 三輪の言う通りだ。」

「あなたたちは、、、」


 普通科の生徒が悪魔の幽霊を見に行くかどうか言い争っている。


(樹君、どう思う?)

(悪魔の幽霊と言われても、ピンとこない。それに、怖いのは苦手だし。美姫さんは?)

(私も怖いのは苦手。)

(エレナ様だったら何か知ってるかな?)


「龍野さんはどう?」

「えっ?私?うーん、樹君がいいなら行くけど、、、」

「森林行こうぜ。」

「そうだな、、、」


(エレナ様、悪魔の幽霊っていると思いますか?)

(私もエレナ様の意見を聞いてみたいです。)

(悪魔の幽霊と言われてものう。奴らの話からすると恐らく、透けて見えるくらい精神エネルギーを失った悪魔じゃろう。それだったらおるかもしれんのう。)

(やっぱり本当の話だったんだ。)


(どんな悪魔なんでしょう?)

(悪魔と言ってもいろいろおるからのう。実際に確かめてみんとワレにも分からんのじゃ。)

(危なくないですよね?)

(透けて見えるくらい精神エネルギーを失っておるんじゃったら、精神エネルギーを求めて襲ってくる可能性が高いかもしれんのう。)

(ダメじゃないですか。)

(そこまで精神エネルギーを失っておれば脅威はそれほどでもないじゃろうから、襲われてもワレの敵ではないがのう。)

(美姫さんに危険はないんですね?)

(悪魔の大群が襲ってこん限り、ワレがいるんじゃから美姫に危険などないのじゃ。)


(危険がないんだったら悪魔というものを一度見てみたい気もするから、行くってことでいいかな?)

(樹君が行くならいいよ。)


「行こう。」


 エレナ様の言を信用して行くことに決めた。

「さすが魔法科の生徒だな。頼りにしてるぞ。」

「頼りにされても困るけど。」

「龍野さんも行く、って事でいいかな?」

「うん。」

「よしっ、龍野さんにいいところを見せれるぞ。」

「お前それが目的か?」

「いいじゃねぇか。悪魔の幽霊を見て、龍野さんにもいいところを見せられる。一石二鳥だ。」

「何言ってるんだか。」


「広瀬はどうするんだ?」

「危険なところに行くのは好きじゃないから本当は反対だけど、皆が行くというならついて行くよ。」

「なら賛成ってことだな。8人中5人が賛成しているんだから。」

「そうなるな。」


「佐伯は、、、行かないよな?」

「美姫が行くから行く。」

「そ、そうか。意外だな。行かないのは中田だけか。」

「分かったわよ。行くわよ。」

「決まりだな。悪魔の幽霊が現れるのは夕方らしいから、東照宮を見て回った後、集合時間のちょっと前に行こうぜ。」

「本当に大丈夫なんでしょうね。」

「どうせ悪魔の幽霊を見に行く班は俺たちの班だけじゃないだろうから、大丈夫だろ。今までも問題なかったんだし。」

「そうだといいんだけど。」


 その後、どうやって先生たちの警戒網をかいくぐってホテルの廃墟に侵入するか、を相談して解散となった。

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