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竜の女王  作者: M.D
2170年春
55/688

04

 結局元繁の真意が何なのか分からないまま第2鍛錬場に到着した。


「ほう。逃げなかったことだけは誉めてやろう。」

「・・・。」

「無視か。まぁ、いいだろう。樹はいつも美姫さんと話しているから、修学旅行くらい僕に譲ってくれてもバチは当たらないはずだ。美姫さんもあんな貧乏人よりも僕と一緒のほうがいいよね?」

「私は修学旅行で元繁君と一緒の班になんてなりたくない!」


 美姫さんが元繁をにらんだ。


「怒った顔の美姫さんも美しい。ほら、樹の分の魔法の腕輪も用意してある。さっさと始めよう。」


 元繁が僕の方に魔法の腕輪を投げてよこす。


「元繁と模擬戦をやる気はない。だから、魔法の腕輪もつけない。」

「ハハハ。そうだな、樹だったら魔法の腕輪をつけてもつけなくても同じか。美姫さん、見ていて下さい。樹のフニャ〇ンを再起不能にして見せますから。」


(許せない。)


 美姫さんの呟きとともに、姿が一瞬ブレたように見えた後、


「うっ!」


 元繁がうずくまるそばに美姫さんは立っていた。


「・・・。」

「・・・。」

「美姫さん、ナイスボディブロー。」


 元繁が涙を浮かべながら、訳の分からないことを言っていた。


「いつもいつも私のところに話しかけに来やがって、うっとおしいんだよ!それに樹君のチン○ンを再起不能になんかさせないんだから!」

「・・・美姫さん、最高です。もっとお願いします。」


 え、えっえぇぇーーーー!!


 聡と顔を見合わせる。


「美姫さんと元繁、2人ともどうしたんだ?」

「それに、もしかして、元繁のあの涙って、、、」

「歓喜の涙?」


「・・・。」

「お願いします。頭を踏みつけて同じように罵って下さい。」


 元繁が土下座しながら懇願している。


(樹君、どうしよう?)


 あまりの驚きに、美姫さんも冷静になったようだ。


(どうしようって言われても、、、)

(奴の願いどおり罵ってやればよいのじゃ。)

(そ、そうですか?エレナ様がそう言われるのであれば。)


「キモッ!いつもはさわやかな好青年を気取っているくせに、暴力を受けた上に罵倒してほしいとお願いするなんて、とんだドMの変態さんね!樹君をダシに使ってまで、こうやって土下座した頭を踏まれて気持ちええのんか?ええのんか?お前みたいなカスは、お抱えメイドにピンヒールのブーツでチン○ンをグリグリしてもらっている姿の方がお似合いよ!」


 美姫さんが元繁の頭を踏みつけながら罵倒する。


「ちょー気持ちいい!」


 元繁の叫びに3人ともドン引きである。


(元繁の精神エネルギーが歪んでるって、性格じゃなくて性癖の方か!)

(さすがにワレもそこまでは分からんかったのじゃ。)

(ですよね。)


「もしかして、私によく話しかけてきていたのも、、、」

「そうです。美姫さんの綺麗な顔がゆがんで、僕を睨みつける姿にゾクゾクするものを感じていました。さっきのは特に最高でした。」


(最低野郎だ。)

(そうじゃのう。)

(気持ち悪い。)


「私と修学旅行に一緒に行きたいっていうのは?」

「最近美姫さんが睨みつけてくる姿にも慣れてしまって、もっと刺激が欲しくて。樹を呼びつけて貶せば厳しく対応してくれるのでは、と考えた次第です。」


「そんな理由で呼び出されたのか。。。」

「どうするよ、こいつ?」

「聡ならどうする?」

「どうしようもないな。」


 聡と一緒にあきれ返ってしまった。


「もう樹君にひどいことは言わないで。」

「分かった。そのかわり、たまにこうして罵ってくれるとありがたい。」


(樹君、どうしよう?)

(美姫さんには申し訳ないけど、たまに元繁のことを罵倒してあげてくれないかな。少し可哀そうに見えてきた。)

(可哀そうなのは奴の脳みそじゃがのう。)

(それで、元繁君が樹君にちょっかいを出さないようになるんだったら、嫌だけどいいよ。)


「分かった。」

「ありがとう!美姫さん。」


 それを聞いて、元繁は意気揚々と引き上げていった。



(美姫さんが罵倒した言葉って、エレナ様が考えたんでしょう?)

(そうじゃ。樹はよく気が付いたのう。あの素晴らしい言葉を即興で思いつけるワレを見直したであろう。)

(いや、全然そんなことは。)

(なんでじゃ!)

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