04
結局元繁の真意が何なのか分からないまま第2鍛錬場に到着した。
「ほう。逃げなかったことだけは誉めてやろう。」
「・・・。」
「無視か。まぁ、いいだろう。樹はいつも美姫さんと話しているから、修学旅行くらい僕に譲ってくれてもバチは当たらないはずだ。美姫さんもあんな貧乏人よりも僕と一緒のほうがいいよね?」
「私は修学旅行で元繁君と一緒の班になんてなりたくない!」
美姫さんが元繁をにらんだ。
「怒った顔の美姫さんも美しい。ほら、樹の分の魔法の腕輪も用意してある。さっさと始めよう。」
元繁が僕の方に魔法の腕輪を投げてよこす。
「元繁と模擬戦をやる気はない。だから、魔法の腕輪もつけない。」
「ハハハ。そうだな、樹だったら魔法の腕輪をつけてもつけなくても同じか。美姫さん、見ていて下さい。樹のフニャ〇ンを再起不能にして見せますから。」
(許せない。)
美姫さんの呟きとともに、姿が一瞬ブレたように見えた後、
「うっ!」
元繁がうずくまるそばに美姫さんは立っていた。
「・・・。」
「・・・。」
「美姫さん、ナイスボディブロー。」
元繁が涙を浮かべながら、訳の分からないことを言っていた。
「いつもいつも私のところに話しかけに来やがって、うっとおしいんだよ!それに樹君のチン○ンを再起不能になんかさせないんだから!」
「・・・美姫さん、最高です。もっとお願いします。」
え、えっえぇぇーーーー!!
聡と顔を見合わせる。
「美姫さんと元繁、2人ともどうしたんだ?」
「それに、もしかして、元繁のあの涙って、、、」
「歓喜の涙?」
「・・・。」
「お願いします。頭を踏みつけて同じように罵って下さい。」
元繁が土下座しながら懇願している。
(樹君、どうしよう?)
あまりの驚きに、美姫さんも冷静になったようだ。
(どうしようって言われても、、、)
(奴の願いどおり罵ってやればよいのじゃ。)
(そ、そうですか?エレナ様がそう言われるのであれば。)
「キモッ!いつもはさわやかな好青年を気取っているくせに、暴力を受けた上に罵倒してほしいとお願いするなんて、とんだドMの変態さんね!樹君をダシに使ってまで、こうやって土下座した頭を踏まれて気持ちええのんか?ええのんか?お前みたいなカスは、お抱えメイドにピンヒールのブーツでチン○ンをグリグリしてもらっている姿の方がお似合いよ!」
美姫さんが元繁の頭を踏みつけながら罵倒する。
「ちょー気持ちいい!」
元繁の叫びに3人ともドン引きである。
(元繁の精神エネルギーが歪んでるって、性格じゃなくて性癖の方か!)
(さすがにワレもそこまでは分からんかったのじゃ。)
(ですよね。)
「もしかして、私によく話しかけてきていたのも、、、」
「そうです。美姫さんの綺麗な顔がゆがんで、僕を睨みつける姿にゾクゾクするものを感じていました。さっきのは特に最高でした。」
(最低野郎だ。)
(そうじゃのう。)
(気持ち悪い。)
「私と修学旅行に一緒に行きたいっていうのは?」
「最近美姫さんが睨みつけてくる姿にも慣れてしまって、もっと刺激が欲しくて。樹を呼びつけて貶せば厳しく対応してくれるのでは、と考えた次第です。」
「そんな理由で呼び出されたのか。。。」
「どうするよ、こいつ?」
「聡ならどうする?」
「どうしようもないな。」
聡と一緒にあきれ返ってしまった。
「もう樹君にひどいことは言わないで。」
「分かった。そのかわり、たまにこうして罵ってくれるとありがたい。」
(樹君、どうしよう?)
(美姫さんには申し訳ないけど、たまに元繁のことを罵倒してあげてくれないかな。少し可哀そうに見えてきた。)
(可哀そうなのは奴の脳みそじゃがのう。)
(それで、元繁君が樹君にちょっかいを出さないようになるんだったら、嫌だけどいいよ。)
「分かった。」
「ありがとう!美姫さん。」
それを聞いて、元繁は意気揚々と引き上げていった。
(美姫さんが罵倒した言葉って、エレナ様が考えたんでしょう?)
(そうじゃ。樹はよく気が付いたのう。あの素晴らしい言葉を即興で思いつけるワレを見直したであろう。)
(いや、全然そんなことは。)
(なんでじゃ!)




