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ギルド職員ユンカーの平凡な毎日  作者: アルデンテ
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空路エイドルへ(その3)

 翌朝6時、空飛ぶ馬車は上空500メートルを巡行中、ほぼ時速20キロの低速飛行。

 運転席にはロゼッタさん。


 そして、運転席のベンチシートには ピジョンとマロン、ヒルド、3人の少年少女たち。


 そこにいたはずのユンカーとイリヤは子供たちが寝ていた後部座席の床の上でゴロゴロ仮眠。


 昨晩、早々に寝た子供たちは睡眠も十分に早朝から覚醒。

 で、運転席で寝こけてる、仮眠2人組を後部座席に移動してもらい、パイロット席のベンチシートに子供たちがロゼッタを挟んで現在の状況。

 

 夜明けの荘厳な光景に子供らはその眼に焼き付けるかのようにじっと大パノラマを見ている。


 彼らに挟まれる格好で操縦席で、進路を表示するブラックボックスを時折見ながら操舵するロゼッタの姿は熟練パイロットそのもの。

 目にはレイバンのサングラス、緑じゃなくて茶色いヤツ。


 「ちびさんたち、どうだい?

 あんたらも王都で勉強して風魔法を勉強すれば、ユンカーがパイロットに任命してくれるかもよ。」


 ロゼッタが余裕で笑いながら話すと、マロンが

 「風魔法で運転してるの?

 風魔法だけじゃ、空はとべないはずよね?

 お父様も、”風魔法使い”、だけど、馬車は飛ばないわ。」

 不思議そうな面持ち。


 兄のピジョンも

 「ボクもマロンも、従弟のヒルドも一族が風魔法の能力が有名な一族だ、って言われてるからお姉さんみたいに風魔法で馬車で空を飛べるのかな?」



 「フフッ、この馬車は魔道具だからね、自分で空に浮かぶことができるんだ。

 でも、浮かぶことしかできない馬車だから、あたしみたいな風魔法使いが、この馬車を行きたい方向に風の力で押してあげるのさ。」


 「君ら3人はとても良い風魔法の才能があるみたいだね。

 お姉さんは、”風魔法”、専門の魔法使い(修道女だがな)だから分かるよ。

 真面目に王都で勉強してれば、きっといつかはこの馬車の、あたしの座る運転席に、座れるはずさ。」


 優しく微笑みながら子供たちに返答をするロゼッタ。


 その時、後部座席から

 「はい、皆さん。朝ごはんの用意ができましたよ。」

 ユンカーが、後部座席との仕切りのカーテン越しに声をかけ、メイドのマチルダさんが体を伸ばして後部座席から運転席前のフロントガラス下のカウンター部分に3人分の小さなお膳を並べる。


 銀色の四角い小さなトレイは小学校の給食みたい。

 コップに冷たい牛乳、ハムと野菜とチーズのミックスサンドに目玉焼き。

 デザートには小さなカップのヨーグルト。


 「坊ちゃま、皆さん。少々モンダイあるかもしれませんが、空の上でのお食事など、2度とするチャンスはないと思いますので、”最初で最後かもしれない”、空の上でのお食事をお楽しみください。

 私たち、メイドも後部座席で控えてお食事を楽しませていただきますのでご用の際にはお声をかけてください。」


 マチルダさんが仕切りのカーテンを開けて隙間から、そう話して再びカーテンを閉じる。


 「マチルダ、気がキック~!」    (ピジョン君)

 『ウェ~い!』

 子供たちがハイタッチ(笑)。


 「ピジョン様、あまりはしゃぐと父君に報告しなければなりませんが。」

 マチルダさんの声が少し低温、恫喝か?


 「す、すいません。乗りすぎちゃいました。」

 ピジョン君、代表してゴメンナサイ。


 「お行儀悪いですが、空の旅も残り30分だそうですので、お食事しながらでもいいですから聞きたいことがあったらお兄さん、お姉さんに聞いてください。

 この、お3人は大魔法使いさま。

 いつか坊ちゃまたちのお役に立つ知識など教えてくださるかもしれません。」

 マチルダさんの許可が出て、子供たちはロゼッタに質問タイム。

 サングラスをかけさせてもらって格好をつける子供たち。


 「お姉さん、カッコいい!」

 子供らにおだてられてご機嫌で空を飛んでるロゼッタさん。


 空の景色はゆっくりと後方に流れてゆき、やがて前方に小さく都市らしきもの。


 「ユンカー、予定位置到達、エイドル4キロ手前で停止するよ。

 風は左から右に4メートル、現在地を外さないように微速調整続行。」

 ロゼッタが後部座席に声をかけ、空飛ぶ馬車は空中500メートルで停止。


 「さー、皆さん。これより地上降下後、予定通りにエイドルへ街道を移動して町に入ります。

 私たちの任務ももうすぐ終わりますが、身支度を整えたり下車の準備のためにお子様は後部座席に戻り、メイドさんと準備をしてくださいね。」

 ユンカーが声をかけ、運転席の子供たちと、ユンカー、イリヤ組が前後の席を入れ替わる。


 名残惜しそうに、コックピットから後部座席に戻るお子様たち。


 後部座席から

 「ユンカーお兄さんのお仕事は何なんですか?」

 マロンちゃんが、まさかの爆弾(笑)。


 「あ、え~とですね、・・・」

 「ユンカー先生はまだ運転が未熟なあたしたちに運転を教習中の大魔法使いの先生だよ。

 この魔道具の馬車も先生の持ち物で、まだまだアタシタチひよっこ魔法使いを鍛えてくれるんだよ。

 ね、イリヤ。」

 「先生がいなければ、あたしたちではこんな魔道具を動かせません。」


 マロンちゃんの突っ込みにしどろもどろのユンカーに、出まかせフォローで押し切るロゼッタさん。

 シレッ、と出まかせの波に乗る元聖女。


 まだ、子供たちには”魔力”、が分かっていないからの大嘘。


 もちろん、メイドさんたちは知っている。

 何故か、ユンカーに1かけらも魔力が無いことを。

 理由は?だが。


 「坊ちゃま方、この馬車は地上に降りるそうです。

 最後かもしれない、”空の上の景色”、しっかりと見て目に焼き付けてください。」

 マチルダさんの声がカーテンの後ろから聞こえる。


 「姉さん、ロゼッタさん。降下を開始します。

 1分間に100メートル、5分後に街道に重力0状態にて着地します。」

 ユンカーが小声でロゼッタとイリヤにそう言って、馬車はゆっくりと効果を始める。


 「うわー、落ちてゆくよ。

 地面が大きくなってくる。」            (ヒルド君)


 「スゴーイ、地面に吸い込まれるみたい!」     (マロンちゃん)


 「少し、気持ち悪いカモ、・・・」         (ピジョン君)








 


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